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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部三章 恋とは
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二人きりのトレーラーハウス その1

『お姉さま、ついに衣装完成しましたよ!』

『お、本当か!?』

『夏の装いなんで夏の内に完成させたかったんですが…フリフリが多くて苦労しました…』

『ははは…すまないな。』

『お姉さまが謝る必要あります?』

『いや、なんとなく。』


私は手元の衣装をカメラに映すと、お姉さまはぱちぱちと拍手してくれる。


『ここんとこ毎度通話の度に頑張って作ってたものな。偉いよ。』

『もっと褒めてくれて良いんですよ?』

『なら褒めの気持ちでワンセット増やそう。』

『わー、何も嬉しくない…』


お姉さまは今やっている筋トレをワンセット増やしたようだ。

数えていないからわからないが。


『で、撮影しようと思ってるんですけど…』

『けど?』

『舞台が避暑地なので避暑地ぽいとこ、ですよね。浜辺とかになるんでしょうか?』

『ああ、なるほど。場面作りは大事だな。』

『そうですね。なので、場所を考えようかなと思ってます。』

『としたら、拠点があった方が良いな。』

『拠点?』


拠点とは。

言葉の意味はわかるがいまいちぴんとこない。


『野外だろ?前みたいに着替え用にテントがあったりした方が良いんだが、この季節だ。テントみたいな急拵えのものより、しっかり空調の効いた拠点が一つあった方がいいと思う。』

『なるほど。そういうことですか。』

『しかも、たぶんそれ…暑いだろ?』

『あー…暑いと思います…。』

『撮る方も暑い中だと体力を使う。私もさすがに暑い。』

『んー、近くに貸し切れる建物かぁ。』

『ロケ車って手もあるが…』

『ロケ車…キャンピングカーとかどうですか?』

『キャンピングカーか…普通免許じゃダメだよな?』


二人で相談しながら決めてゆく。

そんな時間が楽しくて好きだ。


『お姉さま、これ良いんじゃないですか?』


私は目に入ったサイトのurlをメッセージに貼り付ける。


『浜辺のトレーラーハウスか!』

『シャワーもあるんで着替えて浴びれますし、良さそうですね?』


値段もそう高くない。

ページをじっくり見る。


『あ、グランピングコースってのもあるらしいですよ。』

『ああ、あの食材とかを向こうで用意してくれて自分たちは調理するだけの奴か。』

『良い食材いっぱいありますねえ…美味しそう…。』


かなり豪華な食材の面々。

厚切り特上カルビ、ムール貝、有頭エビ、殻付きホタテ、骨付きソーセージ…

見ているだけでよだれが出てきそうだ。


『良いんじゃないか?終わったら一緒にバーベキューでもしよう。』

『じゃあこのAコースで良いですか?』

『ふんふん、なるほど。食材付き二人でトレーラーハウス貸し切り一泊二日…一泊二日!?』

『夜空バックとかでもちょっと撮りたいので泊まれたらと思ったんですが…ダメですか?』

『ダメではない、ダメではないんだが…』

『何か、気になることでも?』


大変残念だが、嫌がるなら無理にやることもない。

別に日帰りとかでも良いわけだし。

本当に残念ではあるのだが。


『んん…いや、行こうか。せっかくだもんな。』

『本当ですか!?やった!』

『そうと決まればいつにしようか。』

『そうですねぇ…』


そうして次の予定が決まってゆく。

いつもこうやって少しずつ二人の予定が増えてゆくことが嬉しい。

これからもずっとこうならな、なんて思った。

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