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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
10万pv記念 二部二章 友達
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君の好きなところ



「麗香さんはどうしてわたしを一番の友達って思ってくれるんですか?」


熱が引いた後の回ってない頭でそう問うてみる。

少し重い問いかもしれないが、今の麗香さんならきっと気にも止めず答えてくれる。

そんな気がしたのだ。


「どうして、か。ううん、どう説明したものか。難しいな。」


予想に反し麗香さんは難しそうな顔で考えこんでしまう。

不味い質問だったろうか。


「あの、やっぱり今のは聞かなかったことに…」

「ああ、違う違う。本当にどう説明したものか悩んでるだけなんだ。」


麗香さんは大きく手を振って否定してみせると、また少し考え込む。


「そうだな。本当に最初は、私…じゃない、私に似た風貌のレベッカを好きと言ってくれる□□を喜ばせたかっただけなんだ。私が好きと言ってもらえてるようで、嬉しかったから。」

「最初にご連絡したときですね。」

「そう。それで□□に会ってみたわけだが…ううん。」


麗香さんはそこで再度言葉を詰まらせる。

まだ悩んでいるようだ。


「昔、私の命を救ってくれた恩人に、よく似ていたんだ。□□が。見た目が、というよりは好きなものなどを語るときの目とか、雰囲気がかな。」

「私がですか?」

「ああ。観察すればするほど、似ていた。故あってもう会えない恩人と、本当に、よく。」


もう会えない。その言葉を吐き出す時の麗香さんは辛そうで。

私はそんな麗香さんを見て、少しもやっとしてしまう。

私はこんなにヤキモチ妬きだったのか。己の嫉妬心に驚く。


「君が恩人に似ていると気づいた時から、私はずっと恩人の姿を重ねて居たように思う。いつか、謝らないといけないと思っていた。すまない。」

「そんな、私は気づいてなかったくらいなので…頭を上げてください。」


深々と頭を下げる麗香さんに私は慌てる。

麗香さんにそう言われても、私は謝られる理由がないように思える。


「□□は□□だから。失礼な事だと私は思った。だからやっぱり謝らせて欲しい。」


そうして麗香さんはしばらく頭を下げ続ける。

そして頭を上げると笑顔を向けながら続けて口を開く。


「でも、□□と付き合うにつれて、□□の素敵なところをいっぱい見つけたんだ。」

「うう、聞きたいような気恥ずかしいような。」


麗香さんがこんなに良い笑顔をしているときはろくなことがない。


「□□が話してくれとねだったんだろ?」

「そう、ですけど…。」

「まず挙げるなら、つついたら噛みついて来そうなところかな?」

「それ、褒めてます?」

「私は褒めてるつもりだぞ?」


麗香さんがツンツンとつつくそぶりをするので、私は噛みつくように口をカチカチさせる。

麗香さんは愉快そうにケラケラ笑う。


「それから、波長が合うところ。紫杏によると、私たちは女の子らしくないことをしているらしいが、そんなこと思ったことあるか?」

「ないですね。楽しかったです。」

「だろ?私もだ。楽しかった。」


出会ってから2ヶ月足らず。

ここまで色々二人で出かけたが、そのどれもが楽しかった。


「それがまず一つ。それから、私の話をいつも真剣に、楽しそうに聞いてくれるところ。」

「だって、実際面白いですし…それに、真剣に聞かない方が失礼じゃないですか?」

「そういうところもだよ。□□はいつだって他人に真摯だ。とても好ましく思う。」


そう言って麗香さんは私を見て頷く。


「日に日に生意気になっていくところも私は好きだぞ?うりうり」

「もー!!やめてください!!」


麗香さんが私のほっぺをツンツンする。

なんだか反抗出来る雰囲気でもなくて、されるがままになる。 


「他にもいっぱいあるんだ。□□だけの良いところが。…私は見落とすところだった。」


そう言って私の頭を一度、優しく撫でてくれる。

熱でも上がってきたのだろうか、体の奥底が熱くなるような気がした。

私的な都合で今週いっぱい更新が不確実になります。

来週からは定期更新に戻るかと思います。

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