二人のピクニック その1
先ほどワクチン三回目打ってきました。
二回目まで毎回しっかり副反応出てるので小説の方も土曜日まで休暇をいただこうと思います。
軽快に山道を進んで行ったバイクは次第に速度を落とし、止まる。
「ここですか?」
「ああ、ここなら気兼ねなく撮影出来るんじゃないかな。」
やってきたのは麗香さんがたまに使うというキャンプ場。
レベッカの領地は自然豊かであるという描写が諸所に見られるため、こういう自然の中で撮るのが良いだろうという提案だ。
「ん、どうして片手にタマネギを?」
「麗香さんが買って置くとこ無いから持っててって渡したんじゃないですか!!」
「ふ、ふふ、そうでした。」
私はタマネギを投げつけるフリをすると、麗香さんが笑いをこらえられず吹き出す。
この人、無人販売所に野菜を並べているおじいちゃんを見かけるなりバイクを止めると、唐突に「後で炒めて食べよう」とタマネギをおじいちゃんから買い談笑した後私にタマネギを持たせたのだ。
落とさないように必死に持ちながら後ろに乗ってるのがいかに大変だったか。
「楽しみですね。醤油で炒めましょうか。」
「本当に食事が好きなんですね。」
「□□さんはあまりお好きではないのですか?」
「んー、そういう訳じゃないですけど。好きでもないですね。食べれたら良いです。」
「そうなんですか。」
「あ、でも麗香さんとの食事はちょっと楽しいです。あれだけ楽しそうに食べてたら作ってる側も嬉しそうです。」
「そう思っていただけるなら私も嬉しいですよ。」
麗香さんが着替えなどに使う拠点にテントを建て始める。
日帰りではあるが準備は万端だ。
私も手伝いをしながらのんびり雑談する。
「そういやレベッカも意外と濃い味のもの好きそうだなって思うんですよ。」
「…それはどうしてですか?」
「イラストとか背景絵でトンカツ食べてたりするんですよね。リシアも花見にカツサンドとか持って行けば案外食べてもらえたかもしれませんね。」
「カツサンド、ですか。」
「麗香さんの解釈とは違いましたかね?」
「いえ!私もそうかもなと!」
良かった、解釈違いで揉めたりはしたくないもの。
「しかし、そういうことも考えてらっしゃるんですね。」
「ええ、大好きですから。」
「ふふ、そうですか。」
そうして私たちは用意を組み上げていく。
ひとしきり用意ができた頃、麗香さんは自慢気に組み上げた薪をこちらに見せる。
「じゃーん。実はここは規定の場所なら直火での焚き火がオッケーなんです。直火なら後で違和感なく撮影にも使えるんじゃないかなと。」
「良いですね、野営って感じで。これ、火はどうやってつけるんですか?」
「実はですね、ここに取り出したりまするはメタルライター!」
そういうと背中に隠していた金属の棒らしきものとナイフをこちらに見せる。
「このメタルライターをナイフで上手く削ると火花が出て火種になるんです。素敵でしょ?」
「でも難しいんじゃないですか?」
「そこはプロ、ですので!」
何のプロか判然としないが、麗香さんは謎の効果音を口で唱えながら手を動かすと、用意していた火種に一発で火を移して見せる。
「見てくれ、ほら!」
「すごいですね。」
テンションが上がって少し素が出たのだろうか、いつもとは違う口調で話しながらニコニコと笑ってみせる。
今のはなんだか、とてもレベッカぽい話し方だったな。
「ふふ、お腹空きましたね、お昼ですからね。衣装についてはいけませんし、撮影前に早速ご飯にしましょう。料理は出来ますか?タマネギを切って欲しいのですが。」
「ええ、基本的なことくらいは出来ますよ。」
「良いですね!では一緒にお料理しましょうか!」
そうして私たちはそれぞれ料理に取りかかる。
楽しそうに、かつテキパキと料理をする麗香さんの横で料理をすると、それはとても楽しいものに感じられた。
麗香はリシアとして楽しかった料理やピクニックを□□に返すようにまた共に出来るのが大変嬉しいようです。




