初めてのバイク
初夏の朝。
天気も良く、重ね着は必要ないくらいの良い陽気だ。
迎えに行くから、と指定された最寄り駅のロータリーで麗香さんを待つ。
何でとは言ってなかったが、やはり車だろうか。
まぁ約束の時間まではまだある、ゆっくり待とうか。
そうしてロータリーの入り口が見える場所で座っていると、一台のバイクが入ってくるのが見える。
すごい、綺麗な真紅だ。とても目立つ。
ぽけーと眺めていると、そのまま私の前で止まる。
「ごめんなさい!待たせました?」
メットを外すと、麗香さんがそこには居た。
革ジャケットにジーンズとラフな格好だ。
「すごいバイクですね。」
「ふふ、バイク、好きなんですよね。」
「アニメとかで出てくるピッチピチのライダースーツじゃないんだ…。」
「エナメルっぽい奴ですよね。あれ着てる人いるのかな?」
麗香さんは座席を開けると中からメットをもう一つ取り出す。
「リアキャリ埋まってるんですけど、そのカバンならトランク入りそうですね。入れておきますか?」
麗香さんはすっと手を差し出す。
「あっ、ありがとうございます。」
荷物(といっても衣装と小道具なのだが)を渡すと丁寧に受け取り、仕舞ってくれる。
そしてメットを被りひらりとバイクに跨がる。
いちいち絵になる人だ。
「乗れますか?遠慮なく肩とか掴んでくれていいですよ。」
「あっ、はい!」
私は急いでメットを被り麗香さんの肩に手をかけると、引っ張るようにして後ろに乗り込む。
「重くなかったですか?」
「全然。むしろいつ乗ったんですか?」
「オーバーですね。」
「ふふっ。ではそのまましっかり掴まっててくださいね。」
そうしてバイクは走り出す。
初めて乗るバイクは、さわやかな風と前方の髪から漂う良い香りでとても気持ちよかった。
ごめんなさい、若干立て込んで短めです。
なるべく更新しますが、少し定期更新がとぎれる可能性があります。




