事の始まり その2
本日この前にもう一話更新してます。
この出会いは運命だったのかもしれない。
◆ ◇ ◆ ◇
「私、東京の大学に行こうと思うんです。」
「女が親元を離れて勉強?そんなことより花嫁修行でもしていろ。」
「ここの大学であれば学歴が高い殿方ともたくさん繋がりが持てると思うのですが。官僚になられる方も居ますし。」
「…好きにしろ。」
京都の名家と言えば聞こえは良いが、ただの頭の堅い時代錯誤の親の元に生まれた私。
愛情がないとは思わないが、その時代錯誤の感覚にいまいちついていけない私はあまり親とソリがあわなかった。
深窓の令嬢であることを強制された私は、ただひたすらに本を読み、勉強することを選んだ。
その結果、それなりの大学に推薦を貰い、私はこれ幸いとばかりに東京へと出て行くことにしたのだ。
「ついに東京…か。」
東京へ行けば親とも少し距離を取ることが出来る。
もちろん、向こうでも勉学に励む--
「まずはコミケに行く!絶対!」
訳もなく。
高校生までを読書で過ごした私は、すっかりオタクと化していた。
東京に行くのも、親と距離を取りたいというのもあったが、イベントが多い関東に行きたいというのが本音だ。
ヲタ活、頑張るぞ~!
◆ ◇ ◆ ◇
こうして親元を離れ、東京のしがないオタク大学生として生活を始めた私は、すぐに運命的な出会いをすることになる。
それはゲーム「剣戟の先に」の発売である。
今までゲームも興味はあれどプレイできる環境になかった私は、新発売のこのゲームを真っ先に買い、どっぷりプレイすることになる。
そこで出会いハマったのが、レベッカ・ローエンリンデ、悪役令嬢だった。
私と違い、強く何物とも戦ってみせるその姿は大変美しく、凛々しい。
数多く居る攻略対象の男たちよりずっとかっこよくて、プレイすればするほど私は彼女に惚れていく。
気がつけば私は彼女の虜だった。
もちろん他の作品に推しなども居たが、彼女に勝るものはいない。
あまり人気とは言えないこのゲーム、ましてや攻略対象ではなく悪役令嬢ともなるとどうしてもグッズや創作は限られてくる。
自分の栄養素は自分で供給するほか無かったのだ。
こうしてレベッカの創作に励みだしたころ、一人のファッションモデルの写真が目に入る。
その人は、見れば見るほどレベッカに似ているのだ。
まるで作品から飛び出してきた彼女のようで、私のテンションはあがる。
コミュ力には自信のない私だが、いつの間にか私は彼女のSNSにあったメールアドレス宛に一通のメールを送ることになる。
「コスプレ撮影のお仕事を依頼したいのですが。」




