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何年目かのバレンタイン その1

前回から時間が空いてすいません。

現在100000pv記念のストックを作って更新しようとしているのですが、決闘者の血がうずいてしまって…

なるべく早く更新できるようにします。


レベッカ視点です

リシアが伴侶としてローエンリンデの屋敷に来てから数年の時が経った。

つまり、バレンタインデーも共に何度も過ごして来たのだ。

ともすればもう半ば恒例行事となり、新鮮味の欠片もない…はずなのだが、未だにこの日は慣れない。

だいたい毎年共に肩を並べてチョコを手作りし、当日に贈り合うのが常なのだが、それでも当日になってそれを手に取るまではそわそわするのだ。

ましてや、今年はスケジュールの都合で二人で共にのんびりする時間があまり取れず、チョコを作り合うことができなかった。

果たしてリシアは今年も私にチョコを作ってくれたのだろうか…。


◆ ◇ ◆ ◇


2/14 早朝


朝、目が覚める。

腕の中に確かにあるその人を目にして、人心地つく。

寝ている間もある程度身の回りで起こっていることは気配から認識しているのだが、それでもこうして目で見ると安心する。

もう二度と、リシアを失いたくない。私はリシアが目覚めない程度に抱く力を強める。


私とリシアはどちらが先に起きるか決まっているわけではないが、たいていはリシアが先に起きることが多い。

少し早く起きて、私を観察したり触ったりした後、時がくれば起こしてくれる。

私はそれを何となく感じながら、幸せな気持ちで目覚めるまでの時間を過ごすのだ。


だが、今日は私がいつもより早く起きてしまったようだ。

これは偶然か、はたまたバレンタインの魔力か。

今日という日を認識すると、そわそわ落ち着かない。

とはいえ起こして、チョコを寄越してくれとは言えるはずもなく。

リシアが目覚めるまでの永遠とも思える時間を過ごすことになる。


◆ ◇ ◆ ◇


「おはようございます。今日はお早いですね。」

「あぁ、何となく目がさめてしまってな…。」

「そうでしたか。」


リシアは体を起こすとベッドをぽんぽんと手でたたく。

私はそれを受けて同様に体を起こし、ベッドの上で胡座をかく。

リシアは私の後ろに回ると、慣れたように私の髪をとかしていく。

大切なものを触るようなその手つきがとても心地良い。


「最近はお客様が多くてシニヨン続きだったから…今日は思い切って…」


リシアがぶつぶつとつぶやきながら髪をセッティングしていく。

私は何も言わずされるがままだ。言ったところでだいたいリシアの考えが優先されるというのもあるが。

方針が見えてきたのか、リシアは独り言を終えると私に話しかける。


「そう言えば今日は大きな予定は入ってませんよね?」

「ああ、平常通りだ。」

「では、午前中にお姉さまの執務室にお訪ねしますね。」

「あ、ああ。」


そこでチョコを渡してくれる、ということだろうか。

いつチョコの話を出すか迷っていた私は機先を制される。

結局、何の用事か、チョコは貰えるのか。言い出せず悶々としながら午前の執務を過ごすことになったのだった。

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