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主人公は悪役令嬢と仲良くなりたい  作者: SST
第七章 次は私が
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二人

それから、たくさんのことがあった。

まず、私の血に癒しの力があることはその場に居た人以外伏せることにした。

下手に公開すると、妙な人体実験だったり事件に巻き込まれる可能性があるからだ。


それからエドワードの処遇。

私たちは肉体的に仕返しすることはしなかった。

ただただ王都にて、カイト様やシンシア様、その他側近たちの証言と共に事態をつまびらかにし、正当な裁きを要求した。

結果、エドワードは廃嫡され、弟のヒューバート皇子殿下が王位を継ぐことになった。

王族ということで、死刑になることはないが、ほとんど幽閉みたいなものだ。

ちなみに、処遇が決まったときのエドワードの錯乱ぶりはすごかった。

「また僕にだけ選ぶ権利がないのか!!」

と鬼気迫る表情で暴れ、お姉さまに即座に取り押さえられ王宮の兵士に連行されていたが、ずっとお姉さまに対して呪詛を吐いていた。


お姉さまの当主継承はすんなり決まった。

私の血を大量に浴びたお姉さまは完全に全盛期の力を取り戻し、有無を言わさぬその実力ですべてを叩きのめし、結果を出した。

それに異論を挟むものは居なかった。


学園での一年は目まぐるしくすぎた。

たくさんの約束を果たし、新しくたくさんの約束をした。

勉強もちょっとは頑張った、かな?

お姉さまは当主になるための教育もばりばり頑張っていた。


シンシア様とカイト様は、ついにお付き合いを始めたらしい。

家格的にも問題なく、派閥も近いため家としても歓迎ムードのようだ。

ただ、無口なハリス伯爵と爽やかなハミルトン侯爵がかなり仲良くなり、二人でよく呑んでいるのにはみな意外そうにしていた。

人間とは不思議なものだ。


お父様とお母様、そしてお兄様は私がローエンリンデに入ることを大変喜んでくれた。

娘の選択であればなんであれ受け入れるが、こうして公爵家と渡りをつけてくれたのは天晴れだととても褒めていただいた。

見ず知らずの平民の私を受け入れ、家族として過ごしてくれたこの家に、何か返せたのだとするとそれは大変幸せなことだった。


そして、今日。

私はシロツメクサの花冠を被り、純白のAラインドレスを着て、お父様に手を引かれ皆の前を歩いていく。

道の先には、同じく純白のマーメイドラインのドレスをすらっと着こなすお姉さま。同じく頭にはシロツメクサの花冠。


「大変お似合いになってますね。お姉さま。」

「リシアこそ。天使かと思ったぞ。」


私たちは、二人ウェディングドレスを着て牧師の前に立つ。

どちらかがタキシードを着ることも考えたのだが、二人とも相手にはウェディングドレスを着て欲しいと譲らずこうなった。

事実、ウェディングドレスを着て誓いの言葉を言うお姉さまは、これまで見たどんな原作CGよりも美しかった。


「リシア。私は、まだ何も返せていないんだけども。」

「はい。」

「私を貰ってくれるか?」

「返しませんよ?」

「もちろんだ。」

「ではこれを。」


私は手に持っていた薔薇のブーケから一輪薔薇をお姉さまのドレスに刺す。


その日、私たちは誓いのキスをした。





これにて本編最終話です。

連載開始からちょうど2ヶ月。

長いようで短いような日々でした。

勢いで書き始めたこの作品。積み上げた文字数が増えていくほどに作品への愛も増し、終盤には自分の子のように思っていた二人を苦しめるというのもあり、勝手にプレッシャーに押しつぶされそうになることもありました。

結果生み出されたものが、それに見合ったクオリティがあったかは私にはわかりません。

ですが、私のペン先から生まれたこの二人が、自分たちの描く世界を生ききってくれたことが何よりも嬉しく思います。


この後は不定期更新にて、いくつか二人のエピソードを書いていく予定です。

また新作についてもディテールは出来ており、こちらに終了の目処が立ち次第そちらの更新を始めたいなと考えております。

もうしばらく、二人の物語を共に見て貰えれば幸いです。

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

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