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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
真紅の牙
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エピローグ

残り3話は適当な後日談もしくは後に考えているのに繋げます。

 






 1年。それで領内の面倒事が全て終了した。残るは街道……道路の整備と各地に空港建設くらいだ。ドックの増設も終わり、半年で10隻の魔導戦艦がロールアウトできる規模になった。もちろん、素材はダンジョンから回収し、無数の魔導ゴーレムを導入した御蔭だ。導入した数は万を超えるしな。ちなみにこの10隻は全力稼働で生産ラインを動かした状態だ。なので、基本的には5隻で武装が減った魔導船のラインになって半年で30隻製造している。はっきり言って、こっちの方が小さいしコストも低いのだ。この魔導船は普通に輸送関係の仕事に携わっている者達が利用できるよう、帝国内を行き来している。御蔭で帝国内の経済活動は活発化している。俺も魔導船の収入でうはうはだ。


「よう、頼まれてたものを持ってきてやったから、感謝しやがれですよ」


「ああ、ありがとう。ヘイゼルは?」


 現れたジルニトラに聞いてみる。


「マスターなら、真紅の牙の新人たちを鍛えてやがります」


「わかった。ありがとう。後で報酬をあげる」


「なら、解放を……」


「それはヤダ。あと、報酬はアジ・ダハーカの欠片だろ? そっちは手に入った。ダンジョンに存在しているらしい」


「なら、さっそくマスターと行ってみるか」


「うん。しばらく休暇をあげるから、好きにしていいよ」


「あいよ」


 ジルが転移して消えたので、俺は受け取った素材をニマニマしながら、研究所に行き、暗器したレシピを元に作成する。6時間。休まずにひたすら調合して性転換薬が出来た。思えば長い道のりだった。犠牲も非常に多い。主に俺の精神がだ。この頃になると、女という事を受け入れている事もあるのだから。だから、これでおさらばできる。


「予備も含めて多く作れたし問題無いな」


「なぁなぁ、薬できたん?」


「レティシア。できたよ」


「なら、早速飲んでみいな」


「うん。それじゃあ、行くぞ!」


 出来た緑色の薬を飲む。非常に不味い。男臭いし、生臭い臭いもする。味と臭いは最悪だ。


「どうなんや?」


「っ!? きた、キタァァァァァッッ!!」


 微かにあった胸が……なくならず、アソコだけ盛り上がった。


「どれ、確認してやるで」


「ちょっ、待て、レティ!!」


「また変!」


 瞬時に接近されたレティシアに足払いをされて床に倒され、そのまま馬乗りの状態にされる。そして、アソコを触られる。


「ちょ、何して……」


「ホンマに生えてんな……よし、クレハ。子作りすんで」


「馬鹿か!」


「あっはっはっ、うちはクレハの事、大好きなんや。だから、うちのカードもわたしたった。その責任、とってもらうで」


「何それ! や、やめ……」


「問答無用や!」


「あっ、アーーーーーーーーーッ」


 そのまま襲われた。うん、気持ちよかったけど、地獄はまだあった。


「なんや、戻ってしまったやん」


「げっ……ホントだ……」


 見ると、有った物がなくなっていた。喪失感がまた訪れた……でも、前ほどじゃない。


「もしかして、同性同士の子作り用なのかよ! だから、陛下ももしもの時に居るって……そういう事!」


「王族にどっちかの性別しかいいひんかったら不味いみたいやしな。今の時代、血を濃くするんやろうし……」


「はぁー改造するか……」


 目の前にある薬を見ながら、隣に寝転がっているレティシアに腕枕をしながら改造案を考える。俺自身も嫌いじゃないしな。


「それが性転換薬なん」


「もーらい」


「おい、何する気だ……」


「もちろん、今度はクレハの処女を貰って、孕ませるねん」


「っ!?」


 性転換薬をなんの躊躇もなく、飲み干すレティシア。


「さあ、お互いの子供を孕むんや」


「や、やめてぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」


 抵抗むなしく、奪われた。まさか、こっちの世界に来て、童貞と処女を奪われる事になろうとは思わなかった。つまり、俺はどっちにしろ逃げられなかったのか。


「男と女の快楽、どっちもええもんやん」


「それは、まあ……って、一つ思ったんだけどさ。未完成……いや、この状態で問題無いって事は……確実に孕むのか?」


「せやろうな……」


「……」


「まあ、ええやん。クレハとうちの子がこのラセルナを継ぐんやし」


「それもそうか。しかし、ムードもへったくれもないな」


「ええやん別に。うちはうち、あっちはあっちや」


「逆だろ。まあ、いいや。子育てや家族ってのにも興味はあるし……でも、この場合って、二人共母親か?」


「せやろうな。それと父親でもあんで。つまり、どっちでもあるんや。けれど、どっちでもないという事はありえへん。確実にうちとクレハの子やし」


「まあ、もういいや。なんかこだわるのも馬鹿らしい。アタシはアタシで、俺は俺。そして、同時にアタシは俺でもある。よーし、こうなればクレハとして徹底的にこの世界で面白おかしく生きてやる!」


 なんだか、レティシアに引っ掻き回されて、全てがバカバカしくなってきた。


「そうやそうや」


「どっかのダンジョンに攻めに行くか……」


「ドラゴンに喧嘩売るのも楽しそうやけどな」


「それなら……よし、レティシア。結婚するか」


「っ!?」


「どうせなら、結婚して新婚旅行がてらにダンジョンツアー行こうぜ。魔導戦艦乗って!」


「おもろそうやな! 邪魔する奴はボタン一つでアボーンやね!」


「いいな、それ」


 ダンジョンの留守はフィアとエルザで問題無い。ヘイゼルもアジ・ダハーカの欠片に喧嘩売りに行っているし……いや、どうせなら結婚式も空でやるか。


「レティシア。結婚式だけど、一ヶ月……いや、二ヶ月待って」


「何する気なん?」


「空中空母を作る魔導戦艦の補給基地がてらにな」


「それ、色々と文句言われへん?」


「衛星軌道に配置するから問題無い。そもそも、魔導戦艦とかは宇宙を駆ける戦艦だからな」


「まあ、文句言ってきたら喧嘩を買えばええだけやしな」


「じゃあ、結婚式場は楽しみにしてるで。うちは結婚指輪と服を作ってくるから」


「任せた。よーし、どんなのを作ろうかな……十字架か、空飛ぶ島……決めた。グランドクロスの形にしよう。結婚式場にするんだから、それで問題無いや」


 設計図を用意し、魔導ゴーレムを数十万単位で急速無しに働かせて、教育が終わった者達にも手伝わせる。これは俺……アタシが溜め込んだ大量の資金を湯水のように使って、大量の資材と人も使い、バブルを巻き起こす。好景気が商人達を呼び込み、お金はすぐに回復し、それをまた即座に使う。空間転移も使った買い出しにより、面白い事になっている。

 結婚式の招待状をいろんな人に配り、皇帝陛下にも参列をお願いした。陛下も予定調整に入るという事なので、世話になった人達も呼んで盛大に行う予定だ。

 そして、2ヶ月後、空中母艦グランドクロスは完成した。その姿は動く島といった感じで、非常に巨大だ。その甲板で結婚式を行う。その為、参加者は魔導船で移動する事になり、護衛は魔導戦艦が担当している。

 そして、アタシとレティシアは……


「おい、どうなってるんだこれ!」


「何って、ウエディングドレスやで」


「アタシが聞いているのは、なんでアタシがウエディングドレスで、レティがタキシードだってことだ!」


「似合ってるで、クレハ」


「ごまかすな」


「まあ、簡単に言えば、式場ではクレハがウエディングドレスで、うちがタキシード。パーティーでは逆にするんや。そして、明日は身内だけで神社にてもう一度結婚式や。そん時は逆やで」


「おい、神社ってまさか……」


「ええとこがあるやん。それも近場に。神主ならぬ魔王の巫女様もおるしな」


「はぁーわかった。好きにしろ」


 それから、私達は盛大な結婚式を行った。1回目は各国含む多数の来賓を招待し、グレスベルグ帝国とラセルナ辺境伯の圧倒的な軍事力を見せつけながらの結婚式になる。これは政治的にも有効だ。2回目はダンジョン内で行われる身内だけの結婚式で、こちらも楽しんだ。




 そして、数ヶ月後……アタシとレティシアは元気な赤ちゃんを生んだ。黒髪赤目の男の子と女の子だ。アタシが男の子で、レティシアが女の子。どちらにしろ、同じタイミングで生まれてきた双子の兄弟になる。


「名前はレンだ」


「じゃあ、女の子は日本っぽくして……千影やな」


 生まれた子供達に名前をつけた瞬間、アタシは幸せだった。本当の意味でこの世界の住人になれた。そう自覚し、思った。



【聖剣ティルヴィングが第二覚醒を果たしました。制限が解除されました。願いは何度でも叶えられます】



 むかくつくことに第二覚醒の条件が子供を生み、幸せを感じるという意地悪な内容だったようだ。だから、アタシは迷わずにティルヴィングを二つに分けて子供達へと溶け込ませた。子供達が夢を叶え、幸せな人生を歩めるように。







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