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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
真紅の牙
53/57

53話

 






 献上品が完成したので、アイテムストレージに収納して王都に向かう事にする。

 移動手段は片手間に軍用のトライクを元に設計して開発したホバークラフト仕様の物だ。普通の方法じゃ空は飛べないが、道ならどこでも時速780キロまでは安全に出せる。そして、分解する危険があるが、最高速度は900キロまでだ。当然、風避けから始まり各種障壁を完備し、武装は高周波ブレードを両サイドに一つずつとビームライフルを標準装備している。動力炉は円環魔導炉ではなく、ただの並列循環式魔導炉だ。円環は小型化にコストが掛かりすぎるので、クトゥグア達にしか搭載していない。

 そう、クトゥグア達は搭載しているので、ほぼ無尽蔵の魔力が生み出されている。ただ、各機が近くにいないと意味がないけどね。だから、基本的には11機を自分の近くで操っている。


「フィア、ダンジョンの設定は頼むよ」


『任せてください。死なないダンジョンを作ってアデールに設置するのですね』


 ヴォーカロイドみたいなマイクを着けて、トライクのエンジンを入れる。ヘルメットなんてかぶらない。


「うん。訓練用としてね。もちろん、普通のダンジョンも入口を別にして設置する。そっちは普通に死ぬようにね」


『わかりました』


 ダンジョンで新たに判明した事は、外部から入った人間がモンスターを殺しても少しだけど経験値がダンジョンに入るという事だ。もちろん、冒険者を殺した方が入る量が多いが、魔力をダンジョンに吸わせればそれが経験値に変換されるので円環魔導炉さえ有ればダンジョンの経験値なんていっぱい入るし、いくらでもモンスターが殺されても問題無いのだ。さらにその魔力を死んだ冒険者の復活に充てれば問題無く死なないダンジョンが完成する。まあ、死ぬ方も造るのはそちらしか最下層に進めない仕様にするからだ。ダンジョンの設定的に二つは一つとして扱われる。つまり、どこかには最下層に通じる通路を造らなければいけない。ならば、死亡する方にダンジョンマスタールームへと続く道を作り、ボスとして魔王エリザを配置する。普通の死なない方は通常のエリザがボスだ。どちらもあの神社で、転送は順番としてあるので問題無い。第一段階のエリザを倒せれば景品を与えて帰らせる。それでも進む奴には死んでもらう。これが新しいダンジョンの計画だ。


「システムチェックは問題無いし、魔力残量も充分。摩耗した部品も無いし、予備パーツも積んだ。ミラーの位置も大丈夫。よし、発進準備完了」


 確認したらアデールの街へと移動して、自動で門を開ける。護衛というか、監視が止めようとするが無視だ。


「クレハ様、馬車の用意が…………」


「そんなトロイので行けるかっ! アタシはこれで行くから勝手に王都に来い」


 俺は門が開くと同時にブラックライトニング(トライク)のアクセルを入れる。それと同時に空中に50センチメートルくらい浮いていたのが、ジェットエンジンから生み出される推進力で急激に前へ進んでいく。


「ハスター!!」


 そして、加速すると同時にハスターの力で地面に風を叩きつけて、ブラックライトニングを更に上空へと上がり、空から王都へと向けて一直線で進む。

 チェリム森林と山脈を超えれば王都へは結構近いのだ。ただ、邪魔は居るが。




 20分も走ればその邪魔者が存在する山脈に着いた。ここでの邪魔者…………それは空飛ぶトカゲ。俗に言う飛竜ワイバーンだ。


「みんな出てこい!!」


 11機の遠隔操作浮遊式小型魔導砲を取り出して、円環魔導炉の力を使う。すると、各魔導砲は己の属性の光を身に纏いだす。


「ルリム!」


 氷を司るルリムのレーザーはワイバーンの魔法防御をモノともせずに命中した箇所からワイバーンを氷漬けにしていき、地表に落とす


「アザトース」


 落下する氷漬けのワイバーンを別空間に収納する。ワイバーンは調教すれば機獣として使えるからだ。そう、騎獣じゃなくて機獣だ。ワイバーンの肉体を改造して機械仕掛けならぬ魔導仕掛けのワイバーンに改造するのだ。作ったアレには艦載機が存在しない。ならば、ワイバーンを艦載機に改造してしまえば良い。せっかく近くに沢山居るのだから。

 進むに連れて群れで沢山出てくる。よって、戦闘はルリム、シュブ、ノーデンス、アトラク=ナクア、ヨグ=ソトースによって行われる。

 ルリムは氷漬け、ジュブは石化、ノーデンスは麻痺、アトラク=ナクアは毒、ヨグ=ソトースはワイバーンの時を止める。これらで動けなくなったワイバーンをアザトースが回収していく。

 高速で移動するルリム達から放たれるレーザーを次々と受けて、BSTのオンパレードを貰えばワイバーンとてまともに戦う事なんてできはしない。ましてや、動きが止まったら、即座に空気の無い空間へと繋がるゲートが開かれて吸い込まれるのだから。

 その間に俺がする事は分割思考で各自を操作しつつ、臨機応変に戦術を組み立てて効率良くワイバーンを仕留めて回収し、ワイバーンから放たれる多種多様なブレスをブラックライトニングを操作して回避する事だ。

 ナイアルラトホテップとクトゥルー、クトゥグアは俺の護衛兼牽制としてレーザーを撃たせている。ハスターはブラックライトニングの高度を維持する為に使っている。




 山脈を超えて少しすると、ワイバーンが出現しなくなるが55匹も捕らえられたので良しとしよう。倒した訳ではないので経験値は入らないが仕方無い。

 森の中に人の手は入っている様で、眼下にはワイバーンなどの山脈から降りてくるモンスター対策か砦が存在している。

 こちらの目的は終わったので、高度を下げて砦から離れた位置に着地して、整理されている街道を王都に向かって移動する。

 流石に日が暮れてきたので、光の魔法を閉じ込めて作ったライトを付けて進む。


「おっ、今日の晩御飯発見!!」


 夜なので速度を落として、爆走していると前方で大きな体長5メートルはある馬鹿みたいに大きな熊居た。ただし、冒険者と戦闘しているが。冒険者は馬車を守っているみたいだ。

 でも、流石に人の物を取るのは悪いので、ちょこっと待機してみる。

 冒険者の人達は必死になって暗い中、焚き火の灯りで戦っている。しばらく、アタシはブラックライトニングを停車してボーと見てる。なんだか、奥にももう一体居るみたいだ。


「おい、冒険者だったら逃げるか手伝ってくれ!!」


 そんな事を言われたので、ブラックライトニングを発進させて、彼らの後方にまで高速で移動して、もう一体の熊をドリフトを決めて吹き飛ばしつつ反転する。


「報酬しだいで倒してあげるけど…………んー、アタシが判断する高価な品物をくれたら倒してあげる。どうする?」


「わっ、わかったから助けてくれっ!!」


 馬車で震えて居る男が了承したので、アタシは参戦する。


「あ、ベアの肉は貰うよ」


「構わないから早く助けてっ!!」


「よーし、実験だっ!!」


 イオドとナイアを出してからアクセルを全開にして前方に居る熊へと突撃する。突撃しながら高周波ブレードを展開する。熊は俺に向かって拳を放って来る。それを身体を傾けて、軌道を変えて高周波ブレードと熊の拳が丁度正面衝突するようにちょっとウィリーする。その結果、熊の拳と高周波ブレードがぶつかり、少し高周波ブレードが食い込む。


「にゃろ、ニトロだ!」


 ジェットエンジンの出力を一時的だが急激に上昇させて高周波ブレードで熊を腕から入って胸まで完全に切断する。


「っと」


 かなり進んだ所の空中でドリフトして反転。再度ニトロを使って加速して、今度は闇と雷の属性付与までして完全に切断する。

 流石にこんだけ時間が掛かると最初に吹き飛ばした熊が起き上がって馬車に突っ込もうとしていたのを確認し、ナイアで其処ら辺の闇から手を出現させて固定し、イオドのレーザーで熊の目を焼く。


「ほい」


 後はブラックライトニングの高出力ビームライフルから帯電する闇の奔流を放ち、熊の胴体を貫いて、腹の部分1メートルを完全に消滅させた。

 後はブレーキを掛けて、驚いて固まっている冒険者の前で停車した。


「さて、報酬を貰おうか。もちろん、払わなかったらお仕置きだよ?」


「「「ひぃっ!!」」」


 不気味に帯電する高周波ブレードに恐怖する冒険者達。俺の周りには改めてクトゥグアとクトゥルー、アトラク=ナクアが浮遊し、ナイアとイオドがそこに合流した。ブラックライトニングから降りた時の保険は充分だろう。








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