52話
あと8話くらいの60話で完結させる予定です。後は後日談的なのを書くつもりです。まあ、もっと増えると思いますが。ちなみにタイトルの冒険記はタイトルが思い浮かばなくてかなり適当につけた物です、ごめんなさい。
少し修正させていただきました。
復活なしにして、自重部分を変更しました。
まず考えたのが、原因である豚野郎をどうにかしようという事だ。全部破壊するには力が足りないし、どうせなら道連れにしてやろうと考えた。だから、わざと捕まったのだ。思考の一つに絶望やら憎悪やらを押し込んで、残りの思考でどうするか考えていたのだ。
「よっ、要求はなんだ?」
「そうだねー先ずはアタシを伯爵の養子にして、財産を全部継げるようにしてもらおうか。もちろん、他の貴族や王族に認めさせたらさせてあげてもいい」
「本当かっ!!」
もちろん、嘘だ。やっぱり馬鹿だな。
「ああ、後工房も用意して。その近くに広い土地をくれ」
「うむ、任せろ」
それから要望を伝えていくが、その殆どが叶えられた。やっぱり、豚は所詮豚だった。豚としても、俺が利益を出すのなら構わないと思ったのかも知れない。
その後、正式にラセルナの養子になってクレハ・ラセルナになった。
伯爵の養子になってから1年。半年は色々と勉強させられたが、アデール村の跡地に作った工房を使ってコンロや冷蔵庫などを作成、量産して売りまくったり、伯爵の要望に従ってエロアイテムを作ったりした。どちらもバカ売れだったが。そんな事で、俺が稼いだお金を使って豚は貴族などに根回しをしている。
ダンジョンも拡張して、完全な工場にしてしまっている。
カメラアイを多数の貴族にばら撒いて情報を収集しながら復讐の準備を着々と進めている。中には性転換薬についての嬉しい情報もあった。
「ただいまや」
「お帰り」
レティシアには別のダンジョンを攻略して貰っている。流石に俺には護衛という名の監視が付いているので、ダンジョン攻略には出れない。なので、レティシアが単身でダンジョンを攻略している。装備も振動破砕を使えるようなとんでも兵器だ。
「ギリギリやったけど、フィアの望む通りにはしてあげたで」
「これでフィアも大丈夫だね。それと、準備は?」
「こっちは抜かりなくや。でも、ホンマにやるん? 被害はかなり出るで」
「構いやしないよ…………害虫駆除に多少の被害が出ても仕方無い事だよ」
俺が疑われないように豚どもを纏めて消す計画だ。この1年、何度豚に迫られたかわからない。
「本音は性転換薬が欲しいってのもあるんやろ」
「もちろん。まさか、王家が所有しているとは…………」
性転換薬は王家に女しか生まれなかった時に使われる秘薬みたいだ。その為、余程の事がない限りは外に流れてこない。
「まあ、それを手に入れる為でもあるよ。でも、一番の目的は復讐してもう一度、ちゃんと願いを叶えたいしね」
この施設でティルヴィングを解析して判明したのは、使用者の心のあり方によって叶える方法が違う事だった。簡単に言えば、負の感情で願いをかければ魔剣として破滅やら破壊やらで願いを叶える。逆に正の感情で震えば聖剣として願った通りに叶えてくれる。つまり、俺がやる事は一つだ。心に巣食っている復讐心を消してから、ティルヴィングを使って皆を蘇らせて幸せにする。その為にティルヴィングを使う…………なんて事はしない。あの事件前まで巻戻しても色々と大変な事になるだろうし、そもそも蘇生まで可能かと言われると無理だと思うから。その代わりにこの国に巣食う害虫を処理する。
「んで、お求めのカードや」
「ありがと」
レティシアから受け取った6枚のカードで魔法適性を増やしてしまう。それぞれの浮遊魔導砲に装備する。水属性はクトゥルー、風属性はハスター、氷属性はルリム・シャイコース、闇属性はナイアルラトホテップ、毒属性はアトラ=クナクア、時属性はヨグ=ソトースと名づけた。これで全属性が揃った。
「それにしても、多いね?」
「ああ、ちょっと横暴なプレイヤーも狩ってきたからや。まったく、女の子を無理矢理なんてひどいわ。しかも、ダンジョンに連れ込んでとか…………つい、後ろからこっそり近づいて頭潰してやったわ」
「うわぁー」
可哀想なのは女の子だな。記憶とかあったら最悪だ。
「もちろん、女の子の記憶は消しといたけどな」
闇属性には精神系も有るからそれを使ったんだろう。
「それと、目的の人は見つけたで。この国に恨みの有る奴や」
「なら、そっちは任せる。これがゴーレム系のモンスター、ブラストゴーレムのカードだ」
「了解や。なら、うちはパーティーの準備に入るで」
「うん」
レティシアに頼んだのは悪役の確保だ。レティシアは俺の言葉を聞いて直ぐに闇の中に消えた。聞いた話ではサードジョブを習得した奴を殺して奪い、暗殺者を手に入れたみたいだ。かなり危ない存在になっている。
まあ、そちらも問題無いみたいだし、俺は気晴らしがてら外に出る。
アデール村跡地は既に村の形をしていない。どちらかというと港湾都市だ。どうせだからと工房を造る時に下水道を整備し、港を作り、防壁や街を作った。今は殆ど人が住んでいない。住んでいるのは俺の世話と監視役や、港に居る連中くらいだ。
港は一部開放して、宿屋と補給、休憩の為に人が居る。といっても、殆どの仕事をゴーレムがやっているし、宿屋でも女将とコックが居るぐらいだ。積み込みや荷降ろしなどは全部ゴーレムがしてくれる。
アーデル村の時の事を考えて、防衛戦力はチートクラスにしてある。防壁は外や内にも魔導砲が取り付けて有る。普段は隠してあるが、ほぼ壁一面に配置してある。警備も空を飛び、ビームライフルを撃つアーマードゴーレムなども置いてある。彼らの動力は都市の中心部に配置した連結式円環魔導炉だ。これは魔導炉を円状に繋げて、魔力がパイプを通る毎に無尽蔵に増幅していく仕掛けとなっていて、膨大な魔力を作り出してくれる。もちろん、パイプが分かれていて、回る奴と外に出る奴で作られている。全ての建物に障壁も展開しているし、魔力の結晶も作り出せている。
御蔭で工房の維持費がかなり少ないし、大量のアイテムが作れる。はっきり言おう。この国の戦力を既に凌駕していると。いや、だって魔力さえ有れば作り出せるんだし、ダンジョンにも円環魔導炉を設置したらゴーレムなんて沢山出てくるんだぜ。そのゴーレムを使って、発掘と工場の増築を繰り返したら、生産能力の向上が凄まじい事になった。
もちろん、豚には都市の事も内緒だ。ただ、趣味と便利だからと作っただけだ。なので、ここはほぼゴーストタウン化している。
そんな都市の中で俺の元家に近い崖の上には滑走路が作られている。その先に行けば大きな工場が広がって居る。空間魔法で内部の広さを広げた物だ。
「何だ、マスターか」
「エリザ、侵入者は?」
「居る訳ない」
その工場の入口で護衛のアーマードゴーレム(3メートル)の近くで椅子に座り、俺が作ったゲームをピコピコとやっているエリザが居る。隣に有るテーブルには常に冷えているグラスに入れられたジュースとお菓子が置いてある。エリザは片目を眼帯で塞いでいるだけの簡易封印状態だ。その為身長は170cmのボンキュボンになっている。あの眼帯は頑張って作った。この港湾都市内でしかエリザは行動できないが問題無いだろう。本人もゲームが出来て、美味しいものが食べられれば問題無いと言っている。ちなみにゲーム機を作っただけで、ソフトはダンジョンマスターの通販で購入している。高いけど、それでエリザの力が使えるなら問題無いだろう。
「そっか、ありがとう」
「うむ。それと、完成は間近だ」
「わかった」
この工房で作られているのは王様への献上品と個人用の物だ。超高価で、円環魔導炉を一つ丸事搭載しているし、その他もろもろこの世界でのオーバーテクノロジーのオンパレードだ。
自重?
何ソレ美味しいの?
自重しなくてもあんな事になったんだし、もうやりたいようにやる。この世界は化け物だらけなんだから。
「ああ、完成したら王都に行くからこの都市の警備よろしくね」
「任せろ。お土産を期待している」
「はいはい」
王都への旅は転移で済ませる。時間は有限だ。だから、豚との約束の日までに完成してこいつを王都に運ぶ。ちなみに俺は面倒だからこの国を奪う気はない。滅ぼすかも知れないが。




