47話
レティシア
さて、クレハを逃がしたんやけど…………目の前の此奴は化け物過ぎんで。
「お姉さん、レベルいくつなん?」
「ん? 私か? 私の総合レベルは195だ」
一回りどころと違ったわっ!!
「ちなみにエリザはいくつなん?」
「私は155だな」
「格上やん!」
うちらの中で一番強いエリザでもレベルが足りてへん。40レベルの差をうちが覆す?
30前のうちが?
無理やてっ!!
「さて、お話は終わりだ。私はさっさと追いたいのでな。悪いが、死んで貰う。前回の様な遊びも無しだ」
そう言いながら、魔剣を二本取りだした女性。エリザも日本刀ではなく、自身の爪で戦うようや。
「うちが盾になるから、エリザが一撃で決めてな」
「わかった」
「行くぞ」
一瞬で目の前から掻き消えた。
「正面だ」
「っ!」
エリザの指示通りに真正面に全力で殴り付ける。手応えは有った。でも、防御されとる。
「予想外に重い一撃だが…………大した事ではない」
次の瞬間にはうちの肘から先がなくなっとった。
今の間にエリザが攻撃を仕掛け、それを片方の剣だけで防いでしまっとる。
「うぐっ!?」
激痛に我慢しながらも再生を待つんやけど、傷口が再生しよらん。
「なんでや?」
「魔剣の効果さ」
「がはっ!?」
うちの疑問に答えながら、強烈にキックをお見舞いしてくれよった。うちの防御を完全に無視した威力は尋常やあらへん。
「ちっ、なんで大悪魔クラスがこっちに居る」
「渡ってきたからに決まっているだろう」
吹っ飛ばされたうちをよそに人外の斬り合いを行う2人。レベル差が有り過ぎんで。
平気で音速を超えとるし、一撃の余波だけでもクレーターを量産しとる。しかし、このままやったら本当にクレハは逃げ切れへんな。しゃあない、ちょっと危険なもん、使わせて貰おうか。
うちが這いながら近づいていると、流石のエリザも大量の傷を受けて血を流し続けとる。それを操って戦っているんやけど、流石に限界みたいで、姿が霞んできとる。
「どうやら、時間か?」
「万全の状態でやりたい…………なっ!!」
エリザは自分から剣を身体に突き刺して動きを止めた。そして、うちもどうにか到着したんや。だから、問答無用でスイッチを押したる。
「さて、行かせて貰うか」
「…………させ…………へん…………」
うちとエリザは必死になって女を押さえ込む。
「無駄な足掻きを…………」
女の足を掴んで居ると、時間が来て装置が空間に歪を作り出す。その空間に大量の風が流入し、木や土が吸い込まれていく。
「おい」
「いくらアンタが化け物でも、宇宙空間に放り出されれば死ぬやろ?」
「馬鹿が、その程度で死ぬか」
「ちょっ、なんやてっ!」
女は自ら進んで空間の中に入り、出口である宇宙空間にでよった。むしろ、死にかけのうちは意識がだんだんとなくなっていきおる。
「さて、邪魔者は消えた。追うか」
あかん。逃げて、クレハ…………。




