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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
真紅の牙
45/57

45話

感想で教えて頂いた誤字を修正させていただきました。

皆様、ありがとうございます。

 






 帰った我が家は避難所になっていた。門の前には機械人形が存在し、門の上には冒険者の護衛が警戒している。そして、機械人形の横には大剣を持ったフリオが待って居た。


「無事だったか」


「もちろん。でも、疲れたから休む」


「そうやね」


「わかった。警備は任せてくれ」


「よろしくー」


 俺とレティシアは家の敷地内へと入る。内部は暖かく、人が沢山居た。


「温度上げたんだね」


「どう考えても村人全員は入れへんから、外にテントを張ってもらっとるよ。室内は怪我人や子供、病人やね」


 レティシアは結界内の温度を調整する魔導器クーラーを使ったようだ。これは作物を育てる為に配備したんだよね。面倒だしコストも高いから、畑にしか使ってないけど。部屋では俺が居るし、体温を上げて居ると俺の近くは暖かいしね。難点はレティシアがくっつき過ぎるくらいだ。


「お帰りなさい。炊き出しをやってるから、食べてから休憩した方が良いわよ」


 玄関に向かうと、玄関近くで炊き出しをしているライサさんに見付かった。


「安静にしてなくて良いの?」


「これぐらいなら大丈夫よ。それに適度な運動は身体にも良いから」


「そっかー」


「そんじゃ、うちは貰おうかな。もう、腹ペコやねん」


「わかったわ」


「アタシも」


 野菜がたっぷりと入ったスープとパン、干し肉を貰ってお腹を満たす。


「お疲れ」


「助かりましたー」


 助けた冒険者の人達に何度もお礼を言われたりしながらご飯を食べ、確保しておいた自室でゆっくりと眠った。





 お昼過ぎまでぐっすりと眠ってしまった。セットしておいた警報がならなかったから問題無かったのだろう。


「おい、レティ…………お昼だけど朝だぞ」


 俺に抱き着いて眠っているレティシアを起こしにかかる。この頃は一緒に寝る事にも慣れてきた。今は同性だし、変に意識するのも馬鹿らしくなってきたのだ。


「んーもうちょっと…………8時間くらいー」


「どこがちょっとだ…………起きないと揉むぞ」


「構わへんー」


「そうか」


 俺には選択肢が与えられた。揉む場所を決めよう。

 1.頬っぺた。

 2.胸。

 3.太もも。

 4.お腹

 この中で俺が選んだ選択肢は…………4だ。

 理由としては簡単で、手も抱きしめられているので、まともに触れるのが3か4だけなのだ。

 よって、レティシアの寝間着が着崩れて丸出しになったお腹を触る。そして、摘む。そして、電撃を流す。


「ひゃうっ!?」


 しかし、起きない。だから、思った爆弾発言を投下する。


「…………あれ? レティ…………太ったんじゃ…………」


「太ってへんよっ!! 太ってへんよなー?」


 がばっと、俺を抱いたまま起き上がったレティシア。そして、徐に自分でもお腹を掴んでみる。


「やばいっ、どないしよ…………少し太っとる…………ご飯が美味しすぎて食べ過ぎたんや…………」


「正月太りか…………クレハどないなん?」


「ああ、アタシはいくら食べても太らないから変わって無いよ」


「なんやてっ!!」


「うひゃっ!?」


 そして、レティシアは俺のお腹や足などを触って確認する。そして、驚愕の表情をし、四つん這いになって、拳を握り締めてわなわなと震えだした。


「なんでやっ、なんでなんっ!! そんなんずるいやんっ!!」


 こちらを四つん這いのまま上目遣いで見てくるレティシア。目尻には若干、涙まで流れいるし、瞳はウルウルとしている。


「いや、スキルだし」


「っ!? そんな便利で夢の様なスキルが有ったんっ!!」


「老化遅延ってスキルなんだけど、アタシはベストに引き締めたこの姿で固定してるから、寿命が尽きるまでこのままだな」


「おのれ、こうなればクレハを殺して…………」


 危ない瞳でこっちを見てくるレティシア。余りのプレッシャーと殺気に思わず後ずさる。レティシアの拳にはいつの間にかアイゼンまで召喚されている。


「れっ、レティ…………ひっ、一つ言っておくけど、レティにアタシは殺せ無いよ?」


 レティシアのプレイヤーカードを具現化させて取り出す。


「せやった…………しかも、クレハを殺したら美味しい料理が食べられへんやん…………くっ、これが負のスパイラルかいな…………」


「いや、そこまで気にする事も無いんじゃ…………」


「男やったクレハには分からんのやっ! 世の女性が痩せる為にどれだけ苦労してるのかっ!!」


「ごっ、ごめん。そっ、そうだ。ほら、運動しよう運動。ヘルシー料理とか頑張って作るから、ね?」


「せっ、せやな…………痩せるしかあらへん」


 立ち上がったレティシアはさっさと着替えて外に出る。俺も急いで着替え、レティシアを追っていく。

 朝から…………いや、昼からだが大変だった御蔭で一つの教訓を得られた。体重の事は話題にしてはならないという教訓をしっかりと刻んだ。それ程までに先程のレティシアは怖かった。本当に殺されるかと思った。






 遅めの朝御飯兼昼食を食べた俺達はお爺ちゃん達に呼ばれたので、会議室の代わりであるほぼ使われていないレティシアの部屋へとやって来た。一応、この部屋の防音はしっかりとしているのだ。


「さて、お主らが寝てからの状況じゃが…………コールドウルフ率いる連中はこちらにもやって来ておる」


「幸い、ここの防衛施設の御蔭でウルフ達は防げているが、食料などの関係で何時までもここに篭っていられない」


「後、3週間程は持ちますが、それまでに増援が来てくれるかが心配です」


 お爺ちゃん、フリオ、シェアーさんの順で教えてくれたのだが、確かにどうにかするしかないな。


「さて、現状は絶望的じゃが、お主らには約束通り、Cランクにしておいた。ギルドに戻れたらカードを更新してくれ」


「わかった。じゃあ、アタシから提案が有るんだけど、良いかな?」


「なんじゃ?」


 3人はお互いの顔を見た後、こちらに聞いてくる。


「アタシとレティ…………レティシアで空から偵察をしてくる。アタシ達が持っているフロートボードなら空を飛べるしね」


「本当かっ!!」


「それなら、お前達が使っていた爆発する奴を空からばら撒いたらどうにかなるか?」


 お爺ちゃんが驚き、フリオが空爆を提案してきた。


「それは出来るけど、流石にコストが…………」


「今回の撤退戦かて、結構な額を使ってんねんで?」


「だよなぁー」


「まあ、偵察もだけど、アタシとレティシアがコールドウルフを倒したら、Bランクにして欲しい。それでいいなら、アタシとレティシアだけでコールドウルフを倒してあげる」


「「「出来るのか(出来るの)っ!!」」」


「出来る」


「むぅ…………Bランクにはできんが、Bランク昇格試験を受けられる紹介状を出す事は出来るのじゃが、それで勘弁してくれんかの? Bランクともなれば、街のギルドでないと任命出来んのじゃ。ちなみにAランクは王都じゃな。Sランクはギルド本部だけじゃ」


 まあ、Bも有れば充分か。基本的にどこにでも行けるし、貴重な資料を見られる。つまり、性転換薬の情報を的確に探せるのだ。


「じゃあ、それでいいよ」


「わかった」


「危ないと思ったら直ぐに逃げるのよ?」


「うん」


 俺とレティシアは部屋から出て廊下を歩く。


「で、どないする気なん? うちらの実力じゃ、多分コールドウルフはきついやろ」


「決まってんじゃん。アタシの本領は射撃だよ? ビームライフルとアザトースの力を使って心臓を直接狙撃してやんよ」


「うわぁー」


「まあ、直接は無理でも高威力の一撃が空間を超えて至近距離から放たれれば普通は死ぬよ」


「せやな。じゃあ、偵察と行こか」


「うん」


 それから、俺達は空へと飛び出して、敵の情報を探る。

 しかし、お爺ちゃんにさっさと約束させて助かった。何故なら、空を飛んで救援を呼んで来いと言われたら面倒だからだ。








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