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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
真紅の牙
44/57

44話

誤字は明日修正します。

 






 さて、生き残れればCランク。一人前どころじゃなく、ベテランとして認められる。報酬としては有りだ。自宅は先にレティシアを帰して危険な物は仕舞って貰っているし、平気だ。

 しかし、野犬共の他にも探知魔法の範囲外に厄介な存在が居たみたいだな。エリザが気付いてそちらに向かってくれなかったら不味かった。今もエリザとその何者かは戦闘を行っている。あのエリザ相手にこの時間まで耐えきれて居る時点で化け物だ。

 俺は現在魔力を消費し続けているが、こっちとら自分の魔力も合わせて6300×6だ。37800も有るのだから、戦闘行為に支障は無い。エリザ召喚など召喚系の魔力は自分の分からしか払えないが、攻撃とかはクトゥグア達も使うし、ステンノ&エウリュアレなら撃つだけなら魔力はいらない。弾丸に既に込められているからだ。


「さて、クレハちゃんの足止めは結構えぐいぞ?」


 フロートボードを取り出して、時速200キロも出してブッ飛ぶ。風避けの結界が無かったら風圧で転倒し、大惨事になる事間違い無し。

だが、ぶっ飛ばした御蔭で野犬共に接近出来た。

 炎で雪を瞬時に溶かして落とし穴を作る。そこに野犬共が入ったら、両手に持った手榴弾を投げ込む。その後、さっさと後退する。

 クトゥグアを放って、殿をさせつつ数を減らす。


 一定の距離を取ったら雪が退けられた街道に土の魔法でしゃがむと姿が隠れる程度の土嚢替わりを沢山作っていく。村までだ。

 退けられた上の方には地雷を大量にセットしておく。


「ああ、くそ…………お金掛かるなーーー」


 だが、出し惜しみは出来ない。相手にはエリザを押さえる程の存在が居るのだから。

 アザトースは緊急避難用として残し、残りのノーデンス、イオドを放つ。3機の同時操作は何とか可能だ。



 3機は連携させて前と左右から襲いかからせる。野犬達はクトゥグア達の突撃により、数を減らしていく。そう、レーザーも放つが、障壁を展開したクトゥグア達が時速600キロで衝突し、対象を貫いていく。それも敵の群れの中心に入ると、レーザーを四方にばら撒いて虐殺しながらだ。

 数はどんどん減っていくが、それを上回る量で増援が来ている。

 経験値は野犬程度じゃ全然手に入らないというのに、本当に無駄な連中だ。


「ちっ、来たか。早くこっちまで走れっ!!」


 こちらに向かって逃げてくる同業者に土嚢の上に立って叫ぶ。それと同時にステンノ&エウリュアレをホルスターから抜いて、即座に冒険者を追って来ている野犬に向かって発砲する。


「キャィーンっ!!」


 的確に一発で撃ち殺しながら、冒険者の撤退を援護する。周りが雪の壁で覆われているから相手の位置は確定されて助かる。雪の上を走る奴らはもれなく地雷で死亡する。


「すまん、助かる」


「ありがとうございます」


 女性の魔術師と男性の剣士のペアみたいだ。


「お礼は良いからさっさと下がって。余裕が有るなら手伝ってね。ギルドから緊急依頼が発令されてるから」


「強制じゃないかよ…………」


「仕方無いじゃない。それで、何をすれば良いの? 貴女の方が実力は上みたいだから、やる事を指示して」


「おい、子供相手に…………いや、そんな事を言ってる場合でも無いか。どうすればいい?」


 どうやら、お二人共こちらの味方になってくれるようだ。


「何ができる?」


「俺は前衛で盾だな」


「私は攻撃魔術と治癒魔術かな」


 なら、やる事は決まっている。


「なら、お姉さんは詠唱してこっちのマガジン交換時の隙を埋めて」


「ええ」


「お兄さんはマガジンのセットをお願い」


 そう言いながら、ステンノと大量のマガジンを取り出して預ける。


「おい…………いや、近づかれる前に殺せるならそっちの方が良いか」


 エウリュアレを立て続けに引いて弾丸を放ち、野犬の脳を撃ち抜いて殺しながら、指示する。


「頂戴」


「おう」


 ステンノを受け取り、エウリュアレを渡す。お姉さんはその間に風の魔術を放って野犬を殺していく。


「やばい、スノーウルフよ」


 奥を見ると、野犬ではない灰色の毛をしたウルフを引き連れた真っ白な毛をしたウルフがこっちに走って来た。


「強いの?」


「ああ、強い」


「私の魔術じゃ効かないわ」


「そっかーーじゃ、これはどうかな?」


 ステンノをスノーウルフに向かって放つ。スノーウルフは頭を下げて回避する。俺はそれを見た瞬間に次弾を放って頭部を撃つ。流石に1発は避けられても2発は避けられないようだ。しかし、命中してもふらつきながらもこちらに走って来た。


「ちっ、石頭め…………硬すぎっ!」


 ふらついている所にもう1発の弾丸を叩き込んで、今度こそ殺す。しかし、スノーウルフに砲撃を集中させていた為にある程度までウルフが接近して来ている。


「残念、また来週っ!!」


 空いている片手で手榴弾のピンを抜いて投げ込み、ウルフ達の中心で爆発を起こさせる。

 爆発によって弾き出された鉄の刃はウルフ達を確実に殺していく。そして、濃密な血の匂いに惹かれて他のウルフ達がどんどん集まって来る。

 そこをクトゥグア達に強襲させて一網打尽にしていく。

 合間合間にマジックポーションを飲んで何とか耐えているが、エリザの消費が半端なさすぎる。


「一端引くよ! 目を瞑って」


「おう」


「了解」


 土嚢に遠隔操作式の爆弾をセットしながら、フラッシュボムを叩き込んでウルフ達の目を壊す。


「後退!」


 急いで次の土嚢が有る200メートルを走る。走りながら追加で現れたウルフ達が合流してこちらに向かって来る。


「耳を抑えて全身を隠して!!」


 隠した事を確認してスイッチを入れる。すると、後方で大きめの爆発が起きてウルフ達を皆殺しにした。


「「っ」」


 この爆発によって、雪の壁が崩れたが問題無い。直ぐに雪の上を登って来るウルフ達を撃ち殺していく。入れ替えの間は魔術をお願いする。そして、弾丸の補充が済めば突撃して、雪の上に上がり、的確に司令であるスノーウルフやウルフを殺す。すると、野犬達は狼狽えるので放置で構わない。溜まった所で手榴弾で一気に殲滅する。

 探知魔法も使って、逃げてくる冒険者も分かるので援護して仲間に入れる。

 ファンタジーなのにやってる事は支援機を使ったFPSファーストパーソン・シューティングゲームだ。


「くっそーーーガトリングガンが欲しいーーーー」


「そんなの、遺跡から運良く発掘するしか無いぞ」


「フリオ?」


「ほら、補給物資だ」


「「「よっしゃぁっ!!」」」


 フリオがヒットポイントポーションやらマジックポイントポーションやらを持ってきてくれた。


「これでまだ1年は戦える」


「いや、無理だろ」


「単なる意気込みやから気にせえへんでええよ」


 我が家の低コストの主戦力が来てくれたようで、戦線は安定する。


「おーし、ちょっと休憩。レティが囮になってくれるし」


「おい、大丈夫なのか?」


「平気平気」


 皆が心配そうにする中、ウルフ達の方向へと悠々と歩いて行くレティシア。ウルフや野犬達はレティシアに群がり、噛み付く。


「ん? しっかり味わうんやよ、犬っころ。それが最後の味やからな」


 ネタをアレンジして言いつつ、もう片方の手で胴体を貫いて殺すレティシア。そして、おもむろに捨てて一言。


「精々気張りや…………さもないと何も出来ずに皆殺しやで?」


 その言葉通りに襲いかかって来るが軽く殲滅するレティシア。ただ、一体一が基本なので、数は溜まっていく。そこにレティシアは手榴弾を取り出して、ジャンプしながら落とし、爆発させる。自身も喰らうがダメージはゼロなので、それの繰り返し。スノーウルフ相手だって一撃でも命中させれば殺してしまう破壊力。


「凄いな」


「レティは硬いから。あっ、回復したら魔術撃っていいよ。特に溜まったらレティごと」


「非道いでっ!! いくら、ダメージゼロやったり、直ぐに回復するからって…………」


「どうぞ、遠慮無く。実際手榴弾喰らってもピンピンしてるんだし」


 俺の言葉で範囲魔術を恐る恐る撃つ魔術師の人達。


「熱っ、冷たっ、うわっ」


 レティシアは何か言っているが、範囲魔術を喰らいながら平気で動いてスノーウルフを撲殺していく。


「信じられんが、Bランク並の硬さだな」


「といっても、体力の限界が有るからね」


「だな」


 それから2時間。後退と殲滅を繰り返しながらアデール村の近くまで俺達はやって来た。


「ん? 狼煙が上がっているな。住民の避難は完了したようだ。全員、撤退だ」


「んじゃ、皆逃げて。アタシとレティはフロートボードで一気に逃げるから」


「わかった。無理はするなよ」


 フリオさんが冒険者の人達を連れて戻って行く。


「了解した」


「やっとか…………」


「助かった…………」


 冒険者が居なくなった後で、クトゥグア達を呼び戻す。


「さて、レティ。このうざったい撤退戦ももう終わるよ」


「せやな。でも、大元はまだなんやろ?」


「データの収集は終わった。なら、後はこちらから反撃するまでだよ。でも、流石に疲れてるし、帰って休憩しよ」


「んーーうちも流石に疲れたわ。身体は大丈夫なんやけど、飽きが来てしまうんやね」


 既に俺もレティシアもスノーウルフの回避能力には適応して、先読み出来るので唯の雑魚だ。

 なので、ティルヴィングを取り出して剣のスキルを鍛えに掛かる。フォローはレティシアがしてくれるので平気だ。

 そして、しばらくするとまた別の狼煙が上がったので、俺とレティシアはアザトースの結界で攻撃を防ぎ、フロートボードに乗る。


「んじゃ、これはプレゼント」


 手榴弾を何個も入れて作った特別製のクラスター爆弾を置いて、俺とレティシアはその場から離脱した。後方で爆発が起こったが、それは充分にウルフ達を巻き込んで戦火を上げてくれた。

 しかし、聞いた話より明らかに多いな。













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