38話
レベルアップが低すぎという指摘を受けたので修正させていただきました。
あれから数日。現在、ダンジョン発掘作業が急ピッチで行われているのだけど、俺は俺で忙しい。俺の仕事は大量に出る土を運んで、海の一部を埋め立てていく事。ちなみに埋め立てている理由は、水から土が出ていれば魔法で一気に閉じてしまえるからだ。
ちなみに、ダンジョンの方は種族が指定出来るモンスター製造機事、自動召喚門でゴーレムを次々と生み出して働かせている。生み出されるゴーレムは召喚門のレベルによって違う。例えばこんな感じだ。
召喚門(ゴーレム版)
レベル1:ゴーレム
レベル2:ストーンゴーレム、ウッドゴーレム、ブロンズゴーレム
レベル3:アイアンゴーレム、クリスタルゴーレム、コランダムゴーレム
レベル4:ファイアゴーレム、アースゴーレム、ウィンドゴーレム
レベル5:アクアゴーレム、ダークゴーレム、ライトゴーレム
レベル6:ダイヤゴーレム、ゴールデンゴーレム、
レベル7:オリハルコンゴーレム、ミスリルゴーレム
レベル8:メテオライトゴーレム
レベル9:不明
ちなみに、俺達はレベル6のだ。召喚門のレベルを上げるには魔力を蓄積させなくてはならない。だから、エリザの魔力を全て与えて、レティシアから吸血で補給。後はそれをひたすら繰り返すだけだ。この方法は、これ以外にも特典が有った。レティシアが死ぬと、プレイヤーだからダンジョンで死んだ人数にもカウントされた。つまり、ダンジョンのレベルが上がったのだ。まあ、程々にしとくようには言っておいた。
「よし、埋め立て完了。続いて、アースウォール!!」
外に出て、外から埋め立てした土を使って亀裂を塞いでは焼いて固める。そして、外から見てバレないように海底に有る細い穴を除いて完全に塞いでしまったら完成だ。塞いだら転移で戻る。後は海水が入るプールと真水を入れるプールを2個ずつ作る。こちらの区画は土の魔法で完全に区切っておく。
明かりが無くなったので、魔力で灯る魔導ライトを取り付ける。ここは後々、倉庫や遊び場にするつもりだ。
こちらは完成したので、ダンジョンマスタールームへと戻る。
ちなみに、ダンジョン1階層はゴーレムが出る鉱山エリア。2階層は牧畜と畑エリア。3階層は工場エリアで、1階の直ぐ横にダンジョンマスタールームへの直通ルートが有る。そこはお店の形にリフォームしてあるので問題無い。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「おかえりや。お雑煮あるで」
「ありがとう」
俺はマスタールームに置かれたコタツの中に入る。レティシアが横に置いてあるお鍋に入っているお雑煮をお椀に入れて渡してくれた。もちろん、お餅入りだ。
「もう直ぐ年が明けるね」
「せやな~~」
ちなみに、コタツの中にはエリザもフィアもいる。2人はボードゲームに夢中だ。エリザはアイマスクが有っても普通に見えるようだ。
「そうや、クレハ。年越しそばを作ってくれへん?」
「醤油は…………買えば良いか」
ダンジョンマスターになって何が良かったかと言われれば、醤油などの調味料がダンジョンマスター専用サイトで買える事だ。御蔭で御節も食べられる。
「まあ、作ってやるか」
「私も欲しいぞ」
「私もです」
「はいはい、皆の分も作るよ」
エリザは食べ物を与えていたら問題なかった。餌付けが可能だったのだ。我がダンジョンの最大戦力なのだけどね。レティシアとエリザが戦ったら、エリザが余裕で勝った。それぐらい戦闘能力の差が有るのだ。流石借金で買っただけ有る。
「生け簀も出来たから、今度釣りにいかないと…………」
「ムニエルが食べたいで」
「それも良いね。そうだ、誰かエビを取って来てよ。天ぷらにするから」
「いやや、寒いもん」
「私、ここから出れませんし…………」
「本音は?」
「寒いです」
誰も動く気がないみたいだ。なら、なしかな。
「私が行くぞ。海老とはどんな物だ?」
「エリザ?」
「マスター、それが有れば年越しそばという物は美味しくなるのだろう?」
「そりゃ、美味しくなるよ」
「なら、問題無い。とってくる」
「わかった。魔力のイメージで送るね」
エリザは視覚を魔力で補っている。魔眼を開放すると普通の視力みたいだが。
「では行ってくる」
エリザがダンジョンの外に出ていった。
「って、エリザが出ていったら、アタシの魔力がっ!!」
「ご愁傷様や」
「諦めてください」
モンスターは外に出すと一定量の魔力を払い続けないといけない。つまり、召喚獣と同じなのだ。
「うぁ~~~どんどん抜ける~~~」
「ベットで寝とく?」
「いや、ここで寝る」
俺はコタツの中で丸まって寝てやる。このコタツは魔力回復を増進させる効果が有るので大丈夫だ。
「マスター、起きろ。取ってきたぞ」
「ん? ああ、お疲れ様…………何それ?」
「海老?」
エリザが取ってきたのは巨大な海老。伊勢海老の1メートルクラスだ。
「小さいのはある?」
「これか?」
袋に入った、普通サイズの伊勢海老。うん、これくらいだよな。
「じゃあ、晩御飯はそっちの大きいのを使って、年越し蕎麦に小さい方を使うか。それじゃあ、下味つけてくる。エリザはお風呂いっておいで」
「わかった」
エリザから海老を受け取って、腸を抜いたり下処理をしておく。その日の晩は美味しい活け造りを食べられたし、年越し蕎麦も美味かった。
その後、新年を迎えて御節を食べた。
新年が明けて、初の朝。俺は自分のステータスを確認してみる。
【ステータス】
Name:クレハ
Class1:魔導技師Lv.19↑
Class2:戦術家Lv.18↑
Class3:魔導師Lv.22↑
HP:3100/3100↑
MP:6300/6300↑
Str:350↑
Agi:240↑
Vit:310↑
Int:260+370↑
Dex:250+370↑
Luk:370↑
【Dungeon Master】
所持数1
レベル3
階層数3
【パッシブスキル】
《魔導知識Lv.5》《戦術眼Lv.3》↑《部隊運用Lv.2》↑《魔力操作Lv.3》《分割思考Lv.3》↑《戦闘の才能Lv.MAX》《天賦の才Lv.MAX》《獲得経験値上昇Lv.MAX》《老化遅延Lv.MAX》《寿命増加Lv.1》《第六感Lv.3》↑《体力回復(中)》《魔力回復(大)》↑《体術Lv.2》《剣術Lv.1》《魔術Lv.2》《射撃Lv.3》《火属性魔法適性Lv.MAX》《光属性魔法適性Lv.MAX》《土属性魔法適性Lv.MAX》《雷属性魔法適性Lv.MAX》《空属性魔法適性Lv.MAX》《木工Lv.2》《建築Lv.3》↑《召喚隷属Lv.4》《隷属強化Lv.4》《成長強化不死Lv.MAX》《調理Lv.3》
【アクティブスキル】
《魔導器召喚Lv.MAX》《魔導器生産Lv.4》↑《火属性魔法Lv.3》↑《土属性魔法Lv.2》《雷属性魔法Lv.2》《光属性魔法Lv.2》《空属性魔法Lv.2》《魔導機人形作成Lv.4》
【装備】
ティルヴィング(剣、封印)
ステンノ(銃、封印)
エウリュアレ(銃、封印)
クトゥグア(火属性浮遊魔導砲、封印)
シュブ=ニグラス(土属性浮遊魔導砲、封印)
ノーデンス(雷属性浮遊魔導砲、封印)
イオド(光属性浮遊魔導砲、封印)
アザトース(空属性浮遊魔導砲、封印)
七色の断罪者セット
ダンジョンマスターの項目とアクティブスキルが増えている。魔法適性が有って、魔法を何度か使ったから出たか。
「しかし、ランダムとはいえ、AGIが一番低くてLUKが一番高いとか生産をするアタシには良いのかも知れない。補正を含めるとINTとDEXが一番高いのも嬉しい。しかし、調理まで増えてる」
作りすぎたか。でも、ダンジョンを攻略しただけあって、かなりレベルが上がった。これなら安心だ。何だか、嫌な予感が年越えに近づくと増えていくし。
「クレハ、あけおめや」
「はい、明けましておめでとう御座います。んじゃ、御節食って、初詣…………は無理か」
「神社がないもんね~~作る?」
「何を祀るんだよ」
「…………エリザ?」
「ヴァンパイアを祀る神社か…………それはそれで面白そうだ」
ボス部屋、その方が楽しいか?
「いや、流石に冗談やったんやけど…………あの姿に巫女服か…………結構似合うね」
エリザが今、着ている服は赤い真紅のコートだ。下には黒いYシャツとスカート。
「やるか。アタシは神社を造るから、巫女服をお願い」
「いや、うちが造んの? 買ってええ?」
「良いよ」
「なら、力入れて選ぶで」
「よろしく」
第4階層を作って第3階層と入れ替える。こちらは掘らずに一定の広さをDPで作る。大きさは500メートル四方の大きさだ。
奥の方に本殿の社を土魔法で立てる。大きさは100メートル四方の大きさだ。次に材質を鋼鉄に変化させて、魔力で魔力集積回路と供給回路、体力回復など支援術式も入れていく。
次に他の地面を鉄板にしてこちらも色々な術式を刻んでいく。この階層自体が一つの魔導兵器だ。そして、ボスがヴァンパイアたるエリザなのだから、彼女が一番使えるようにしておく。
3時間で作業が終わったので飾り付けだ。
本殿の前に有る横幅20メートルの幅で鉄板に石畳を敷き詰めて階段まで道を作る。しっかりと接着しておく。こちらは、高めにしてだ。その後、周りは砂利を敷き詰めて、綺麗に慣らす。そして、砂利には結界を貼って、守っておく。最後に特殊な薬品を混ぜた水を生成させる装置を置いて、砂利の上…………正確には透明な結界の上だが、特殊な水を階層全体に溢れさせる。これで、終わり?
「あっ、肝心な鳥居を忘れてた」
鳥居はせっかくなのでルビーで作る。土魔法を使う時に素材をルビーと指定すれば可能だ。ルビー自体はコランダムゴーレムから大量に採取出来るし、1階層の鉱山からも出ているので問題無い。
「鳥居にはどうせならエリザを守る術式を入れて、バレない様に細工するか」
本殿から階段まで400メートル有るので、20メートルずつ、20個設置する。
「ああ、要石も置いとかないとな」
左右の遠くの方に大きめの要石を設置する。中身は魔導兵器にする予定だ。後は御神木さえ有れば完成だが、流石にそれは無理だ。
今度こそ外が終わったので、中の内装を整える。木の板を貼り付けていく。内装はレティシアも応援に来てくれたので2人でさっさと済ませた。ちゃんと賽銭と鈴も用意して、神刀の代わりとしてダイヤモンド製の日本刀までお供えした。
「ここが私の部屋か?」
俺達は早速、巫女服を着せたエリザを連れて来たのだ。
「そうやで」
「頑張って作った」
「何か間違っている気が非常にしますね…………よりによって、ヴァンパイアを祀りますか…………」
「フィアの言っている事はわからんが、ここは私にとって、最高の場所だ。居るだけで力が溢れてくる」
この部屋に居るだけで、エリザにかかる支援はHPMPが10秒で10%回復する。つまり、100秒で100%。1分で60%も回復するのだ。そして、まだまだある。鳥居の数だけ常時障壁が張られるので、20枚の障壁を貫通する威力を一撃毎に出すしかなく、その殆どの攻撃が無力化される。もちろん、本来の防御力も強化されている為、例え多重障壁を突破しても、“何かしたか?”と言われてしまう。とある仕掛けを起動すると、ステータスが急上昇する。上昇値は社の中で10倍。階段近くだと通常だ。250メートルの位置で戦うと丁度良い5倍という数字だ。
「クレハ、何してんの?」
「神域を造ってみた」
「ここに入った冒険者は確実に死にますね。よりによって、ヴァンパイアですから」
「…………月が欲しいな」
「わかってますとも。でも、流石に月はDPが足りないから待って。あっ、そうそう、ここは転移して入る事は出来るけど、出る事はアタシ達の許可がいるように設定しといた」
「ああ、デストラップの出口がここやねんな」
「うん」
「しかし、クレハに拠点を資材無視して作らせたらあかんな~~~」
「魔導知識レベル5を舐めたらいけないよ。人工神域だって作れる!」
マッドな連中が多かったみたいだし、凄いのが色々と有る。作るな危険とか。
「という訳で、エリザはここに冒険者が来たら自動で本殿の前に召喚されるからね」
「わかった。ここの守備は任せてくれ」
ウキウキしながら、楽しそうにするエリザ。
「よろしく。それじゃあ、初詣といきますか」
「せやった。その為に作ったんやもんな」
「だから、激しく間違ってますよ…………」
それから、俺達は楽しい初詣を終えた。エリザ様のご加護が有りますように…………有るかは知らないけど。
ちなみに社内で戦闘するとまず勝てません。
外で戦闘すると、上級者のレイドパーティーでしっかりと準備を整えてエリザの攻撃をタンクが防ぎつつ、他のアタッカー達が要石や鳥居、地面を破壊したらまともな戦いになります。一定値を下回ると、もちろん隠し能力が発動します




