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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
はじめてのダンジョンアタック
34/57

34話

 




 レティシア




 さて、クレハには何か考えが有るみたいやし、ここはうちが守らなあかん。先ずはフィールドの確認や。これは幸い、クレハとパーティーを組んでる御蔭で、クレハが調べた物がMAPに表示されとる。


「しかし、あの砦に設置されとるもんって、なんやろ…………」


「カタパルトやバリスタじゃない? 普通の射程なら400メートルって聞いたけど、この世界じゃわからない。警戒してね」


「了解や」


 それから30分すると、相手に動きが有った。そう、防壁の上に設置されていたバリスタに魔力が集まりだしたんや。


「撃ってくるみたいやね」


「魔力は魔力でも火属性の魔力が集まってるって事はアレはバリスタなんて生易しい物じゃない」


「例えばクレハならどんなモンにするんや?」


「打ち出す威力を上げる為に爆発か噴射機を取り付ける。別の力も働いているみたいだし、こっちに攻撃を仕掛けて来るという事は、届くという事」


「そうみたいやね」


 視界の先で爆発が起き、何かが飛来して来る。うちは身体加速も使って瞬時に近づいて、発射された巨大な杭のような木製の矢を両手でしっかりと受け止めてやった。流石にとてつもない力なだけあって、うちの足が地面を抉りながら下がっていきよる。


「この程度、うちが止められへん訳無いやろっ!!」


 所持している闇属性魔法を使い、自身の周りに重力変化を起こす。それと同時にうちの影から出した黒い矢でこのデカ物の影を縫い付ける。それでようやく止まりよった。


「ふぅ~~~」


「凄いな、レティ…………攻城兵器を止めるとか馬鹿だろ」


「非道いな~もう。でも、貰ったからには返さなあかんやろ」


 うちは笑いながら杭に重力をかけて圧縮する。メキメキという音が聞こえなくなるまで圧縮した木の杭を敵側に先端を向けて、影から出した台に置く。そして、クレハから貰った遠隔操作式の爆弾を次いでにセットする。


「闇魔法ってそんな使い方できるんだ…………というか、使えたんだ。教えてよ」


「いや、そこまで苦労もしてへんかったし、うちは数十秒は触れてな効果が発動せえへんからね。あの男には効かんかった。それにうちは魔法があんま得意やあらへん。殴った方が早いねん」


 話しながら構えを取って、魔力を拳に集中させる。


「そりゃそうだ」


 そして、思いっきり溜めた力で杭をぶん殴る。すると拳と杭の接地面で爆発が起きて、杭は加速して飛んで行く。そして、杭は敵の柵を貫き、後ろに居たゴブリン達を複数貫通し、オーク達を4、5匹殺した後に止まったんで、起爆スイッチを押して爆発を起こさせる。敵陣はそれだけで大混乱や。


「クレハ、まだなん?」


「もうちょっと。正確には粗方出来ているんだけど、ゾンビとか使ってくるじゃん。それの対策をしてる」


「成程や。なら、うちはもうちょっと遊んでるわ」


「うん」


 そして、敵さんから懲りずにもう一発、バリスタから矢が放たれ…………いや、2本飛んできとるね。仕方無いので1本ずつ脇に抱えて、先程と同じ方法で止めたった。


「熱っ、痛いって!!」


 脇の服が摩擦で破けちゃったわ。御蔭で皮膚も裂けてもうた。まあ、自己再生の御蔭で皮膚も服も戻るんやけどね。


「やっぱ、バリスタ…………うざいわ」


 先程と同じように台に乗せて、溜める。


「ブッ壊れれてやっ!!」


 バリスタに向けて打ち込む。ゴブリン達は前方に防御魔法の盾を使って防ごうとしていたみたいやけど、狙いが違うねん。


「よ~し、一機壊したったで」


「いや、そのせいでアイツ等、こっちに飛んで来たけど」


 防壁の上に設置されたカタパルトから、岩ではなくオークが乗せられて投げられて来る。


「人間大砲ならぬ、オーク大砲かいな…………」


「大砲ではないけど、厄介だな」


「まあ、クレハはそこで待っててや。うちが蹴散らしてくるから」


「無理しないように。それと、突撃のタイミングはこっちで指示するから」


「了解や」


 クレハはアイテムストレージから、筒がいっぱい有る機械を取り出して、地面に置いた。そして、片手だけでマジックポーションを飲んだ。クレハは片手を地面から離さずに片手だけで準備しとる。


「距離、300メートル…………250メートル…………」


 オーク達は必死にこっちへと走って来おる。その数は65体もおる。


「200メートル…………150メートル…………」


 クレハは小さい塊を3つ取り出すと、ピンの様な物を口で引き抜いて筒に入れた。その後、直ぐに筒から入れられた3つの塊が発射されて、放物線を描きながら、オークの中心へと入って、大爆発を起こしおった。オーク達はあんま死んでへんようやけど、その破片で録に動けへんようや


「レティ、良いよ」


「なんや、楽になったな~~」


 うちは身体加速で瞬時に接近して、オークの頭を蹴って敵陣の柵にぶつけたる。


「やっぱ、圧縮した方が効率ええな」


 オークの死体を闇魔法で圧縮してボールにした後、敵陣に蹴ってやった。ちょっとした実験も兼ねてや。蹴る時には相手の重量を減らしたらどうなるかや。圧縮した杭のように一定以上の重量が有るなら蹴っても粉々にならへんから、一端下げてからやったらどうなるか、楽しみや。問題は減らして手を離し、加重が無くなるまでに蹴らなあかん事や。そう、タイミングが命や。


「行っといでっ!!」


 思いっきり蹴ってやると、もの凄い速度で敵陣に飛んでいって、粉砕していきよった。


「これは結構良い遠距離攻撃やな」


「生物を粗末にしちゃいけません」


 クレハが立って、こっちに来た。つまり、準備が終わったって事やね。


「いや、魔物は生物なん?」


「生きてるから、生き物じゃないの?」


「ん~確かにそうやね。でも、悲しいけどこれって、生存を賭けた戦争なんや」


 これを言わしたかったんやろ?

 わかってるで。でも、ちょっと意地悪してもうた。


「まあ、そうだね~~」


 クレハと楽しげに会話しつつ、オークボールを生産していく。流石に敵さんも送り込むのは止めたようや。


「どうする? 発動すると地形が変わるけど、それをシュートするなら今の方が良いよ」


「んじゃ、セットお願いするで」


「任せて」


 クレハが何を思ったか、オークボールをエンチャントして、置きよった。


「ゴーゴー」


「殴った方が爆発して強そうやねんけど…………」


「じゃあ、エンチャントしてあげるから、脱いでよ」


 あっさりと言いよった。だから、うちも靴を脱いでアイテムストレージに仕舞ったんよ。そして、クレハが足に触れたらエンチャントを掛けられた。


「んっ、こしょばいな」


「我慢して…………はい、完成。効果時間は短いからね」


「了解や」


 敵陣を見ると、盾を持ったオークゾンビ達が進んで来とる。その後ろにはゴブリン達がるし、ゴーストが空中を飛んで接近しとる。


「はな、いくで!」


 うちはオークボールを掴んで、重力を掛けて重さを軽くする。そして、投げて回し蹴りで放つ。オークボールは瞬時に発火して、敵のオークゾンビの盾に命中し、爆炎を撒き散らし辺りを飲み込んでいきおった。


「クレハ、何をエンチャントしたんや?」


「ただのファイヤーストーム」


 あさっての方向を見つつ、答えるクレハ。


「クレハ、うちが燃えたらどないすんのっ!!」


「大丈夫、蹴るまではコントロールしてるから爆発はしないよ。きっと、多分…………」


「まあ、ええわ。どんどん行くで」


「了解」


 それから、うちはどんどんオークボールを蹴って蹴って蹴りまくるんや。

 それでも、敵は数に任せてこちらに接近して来よった。やっぱ、数の差は辛いんやな。だんだん疲れてきたし、そろそろ休憩したいわ。


「クレハ、お願い出来るか?」


「そうだね…………ゴーストも随分と接近して来たから良いタイミングだ。皆の者、見よ。これがアタシの答えだ! フォートレスタワー!」


 クレハちゃんがノリノリで叫んだ後、大体25メートル四方の地面が盛り上がっていきよる。


「レティ、急いで乗って!」


「了解や」


 盛り上がっている場所に乗り込むと、それはどんどん高くなっていく。最終的には地上100メートルの高さまで高くなっとる。


「ふはははは、誰が正面から攻城戦なんかしてやるものかっ!! お前達がしろっ!!」


 頭を出して下をよく見たら、この塔の表面は鉄でコーティングされてツルツルや。先ず登ってこれへんし、途中までの地面は剣山の様に尖った突起が敷き詰められとるし、所々に沼までありよる。


「でも、空中の敵にはどないすんの?」


「だいじょーぶ。ほら、丁度良いのが来た」


 クレハの指差した先にはゴーストの群れが100メートルくらいまでいつの間にか近づいてたようや。


「成仏しろ(パチン」


 クレハが指を鳴らすと、辺り一帯に清浄な空気が流れて、光が沢山溢れてきよった。そして、塔の周りから半径300メートルくらいまでに居たゴーストやアンデット系が綺麗さっぱり消滅して、うちらに纏まった量の経験値が入ってきおった。


「うわ、聖別結界かいな」


「ネクロマンサーが相手だからね。対策は取るよ」


 クレハは小型の魔導砲を多数取り出して、端の方に有るくぼみにセットしていく。すると、小型魔導砲から屋上の床に刻まれた術式回路が光って、魔力を供給しだしたんや。そこからは酷かった。供給を受けた魔導砲は次々と砲撃をオークゾンビの後に付いて来ていたゴブリン達に放っていく。こうなるとただの虐殺や。


「それで、これからどうするんや? 魔力は大丈夫なん?」


「魔力は集積回路が塔全体に有るから、この階層から魔力を集めるんである程度は大丈夫。そして、これからだけど、こっち」


 そして、クレハは屋上の床の一つを開けて、入っていった。うちは慌てて追っていく。

 そして、降りた所は狭いながら部屋になっとった。ベットやキッチンまでありよる。


「クレハ、この設備って…………これからも使えるん?」


「はっ、はっ、はっ、何言ってるの。そんなの…………使い捨てに決まってんじゃんかよ~~いくら掛かってると思ってんの~~~? アイスグリズリーの魔石にジュブとイオドがフル稼働して、ガチャガチャで手に入れた一度っきりの高速建築と魔力削減とか色々と使ってますとも。逃げられないし、死にたくないから必要な投資だよ」


「まあ、しゃあないな。相手が自分のダンジョンを破壊してまで倒しに来るとは思わへんかったし」


「まあ、それを予想しなかったのはアタシの落ち度だ。だけど、ここからが本格的な反撃。これで防衛力は同じになった。後は元の世界でも有効な戦術を使いつつ、臨機応変に潰していくよ。生産者の力ってものを教えてあげるんだ…………そう、アタシ達が体験した恐怖を倍返ししてやるんだ」


「ほんま、楽しそうやな。寝るのはうちからでええ? 流石に疲れたんやけど…………クレハは大丈夫?」


「アタシは良いよ。幸い、今からする事も有るし」


「する事?」


「クトゥグア達の余ってる魔力で敵を攻撃しておく」


「了解や。うちは寝てるで」


「うん。お休み」


 それから、うちはベットに入って眠りに着いた。長期戦になりそうやけど、クレハも本気で殲滅しようと考えてるみたいやし、問題あらへんやろう。むしろ、明日から更にこき使われそうや。











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