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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
はじめてのダンジョンアタック
33/57

33話

ナイアを闇に変更し、ジュブを土にしました

 




 俺とレティシアは今、大爆発が有った所で休憩をしている。主に俺が落ち着く為にだけど。

 そう、思いっきり嵌められた事が悔しすぎるんだ~~~~~~~~~~~っ!!

 考えれば考えるほど悔しさが出て来る。斥候が居ない俺とレティシアのパーティーでは探知するのは魔法使いである俺の役目なのだ。それが、罠を見つけられず、パーティーを死地に追いやった。今回はアザトースの御蔭で何とか防げたが、次も上手くいくとは思えない。本当に常時発動型の探知スキルが欲しくなる。俺が使っているのはあくまでも魔法だから、魔力が結構喰うのだ。だから、常時発動なんて出来ない。


「それで、どないする? 見た感じ、戻れへんねんけど…………」


「進むしか無いけど、魔力を回復するまで待って。それとちょっと探知系の魔法を改めて作るよ」


「了解や。ゆっくりでええよ。うちは紅茶でも入れとくから」


「ありがと」


 岩に座りながら、考える。今で出来る探知魔法を改めて調べる。

 純粋な魔力による魔力探知。

 火属性魔法による熱源探知。

 土属性魔法による振動探知。

 雷属性魔法による電磁波探知。

 光属性魔法による光の反射などで探知する光量探知。

 空属性魔法による構造や広さ、隠し部屋などを調べる空間認識。

 これらを全て魔法で使える。全てを同時に使う必要なんて無いが、全てを使えばかなりの精度で判明する。空間認識と電磁波探知、光量探知でそこにある空間全てを認識し、構造を事細かに理解する。そして、熱源探知や振動探知、魔力探知で物品や動く者を生物、非生物関係無く探知出来る。

 ただ、やはり問題は魔力だ。1つの魔法を発動するのに魔力を10点使い、継続させるには1点ずつ使う事になる。つまり、6属性を使い、3つを常時維持するとなるとかなり魔力を使う。60点と毎分3点ずつだ。広さはINT×1メートルなので現状は220メートル。範囲を倍にするには追加で2倍の魔力を支払えば可能だ。この場合、60点+追加分の120点で180点消費して440メートルの範囲が理解出来る。

 もう、徹底的に魔力を節約して戦ってやる。


「レティ、荷物運びって頼める?」


「それは荷車とかで? はい」


 レティシアは質問しながら紅茶を渡してくれる。俺は受け取って、砂糖を入れる。砂糖はかなり高いが仕方無い。


「ふぅ…………そうだよ。大丈夫?」


「いけるけど、結構雑になんで?」


「大丈夫だよ」


 俺は腰に付けている四次元ポーチからではなく、アイテムストレージから荷車を取り出す。そして、そこにクトゥグア達を召喚して置いていく。


「えっと、飛ばさへんの?」


「飛ばしたら操作しなくても魔力使うし勿体無い。それに召喚するのにも魔力がいるから、召喚して置いた方が便利。何か有ったら直ぐに操作すれば良いしね。操作するとアタシの精神力がガリガリ削れるけど、一度起動してしまえば多少は自動で動いてくれるし、魔力節約になる。この際、かっこよさは放置する」


「まぁ、そっちの方がええね。なら、うちも初めからアイゼンを装備しておこうかな」


 レティシアも紅茶を飲み終わった後にアイゼンを召喚して、手に装着した。


「それじゃ、探知魔法使って丸裸にしちゃうぜ~~」


 有る程度回復したので、全魔力を探知魔法に使って行う。使った魔力は60+120+240+480+960の1860点。自分を中心に半径1100メートル内までの探知を一気にしてしまう。それは上も下も例外では無い。


「ここは7層で出口は無し。奥に行くと階段が有るからそこから降りれば広大な空間に着く。そして、そこを全て探知しきれないけど馬鹿みたいな数の敵が居る」


 目を瞑りながら、脳裏に表示されたジオラマの様な立体的な建造物を見る。

 それは俺の考えで自由に分解され、敵や罠を光点で示してくれる。ただ、俺が罠と認識出来ない物は罠として認識されないままなので、精査が必要だ。敵の光点に目線を合わせると、身長、体重、魔力の多さとレベルが表示される。もちろん、一度でも魔石を手に入れた連中は名前まで表示された。

 さて、そいつらは探査範囲のギリギリ端に少しだけ入っている拠点の様な…………いや、これは完全な砦だな。それも中世西洋や古代中国に有ったようなちゃんとした防衛拠点だ。その中とその前に大量の魔物が布陣している。その砦は階段を降りた所から1000メートルの場所に有る。そして500メートル先から1000メートルまでの500メートルにびっしりと防衛用の柵や堀、落とし穴などが掘られている。完全な防衛布陣だ。更に言えば、この砦の防壁には巨大な何かが設置されている。


「レティ…………」


「なんや?」


「相手はたった2人相手に戦争する気なんだけど…………どうしたら良いと思う?」


「馬鹿やろっ!! 何考えとんねん…………」


「それ程、アタシ達を脅威と考えてるだろう。でも、相手が戦争をしたいなら、こっちもそれ相応の手段を取るだけだよ」


「勝つ手段は有るん?」


「有る。でも、実際に降りてから判断しよう」


「せやな」


 準備してから、俺達は8階層へと踏み込んだ。そして、改めて探知を発動し、遠目で確認したのは砦の内部に存在する膨大な数の敵とその前に布陣する魔物の軍団だった。


「レティ、防御よろしく」


「構わへんけど、何すんの?」


「こっちが攻撃するのは3倍の戦力がいるし、付き合う気はない」


 俺はシュブを取り出して、地面に手を付けて魔法を発動させていく。

 ここからは楽しい戦争の時間だ。









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