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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
はじめてのダンジョンアタック
32/57

32話

ダンジョンマスターさんはクトゥグアを見てマジで殺しにかかってます。捕まえられたら儲けもの的な感じで

 






 レティシアと一緒に改めてダンジョンに入った。だが、今度は入口の罠は壊れたまま放置されていたし、2階層まで敵がいなかった。偵察にクトゥグアを送り込んで、クトゥグアを起点にしてサーモグラフィで調べて何も無かった。

 だから、俺達は3階層に入った。3階層は床が草原で、天井までの高さは5メートル先だった。こちらも、やはり何事も無かった。


「本当に何もあらへんし、おらへんな…………」


「どういうつもりだろ? 下に固めているのかな? それにしても限度がありそうなのだけど…………」


 しかし、半ばまで探索していると、急に階層の床が崩壊しだした。


「こんな罠が有ったからモンスターがおらへんねんな。でも、うちらには無駄やろ? フロートボード有るし」


「いや、それは向こうも理解しているはずだから…………やっぱり、そうくるよなっ!!」


 俺はクトゥグアを召喚して、天井に向かって砲撃する。さっきまで何も無かったはずなのに天井から巨大な岩が万篇無く落ちてきたのだ。


「ちょっ、洒落れになってへんってっ!!」


 レティシアはクトゥグアが砕いた岩を更に砕いて防いでいくが、落ちてくる岩の数は止まる事を知らない。


「駄目だ。このままだったら戦う前に戻らなきゃいけない」


「なら、どうするん? 転移するん? 階段も無いみたいやで」


「ダンジョン全体に一定箇所意外は転移妨害されてるみたいで、使えない。だから、下に行こう。多分、待ち構えてくれてる」


「せやな。虎穴に入らずんば虎子を得ずや」


 俺達はフロートボードを下に向けてそのまま岩を追い越して進む。すると湖が見えて来た。その近くに横穴が有る。だが、その横穴は有る程度カモフラージュされてはいる。おそらく、こちらが逃げ道だろう。下に行くと湖の中を通る事になる。


「レティ、横穴に入るよっ!」


「了解や」


 俺とレティシアは横穴に飛び込んで、一息着いたら先へと進む。


「しかし、結構殺しに来てんな」


「明らかにアタシ達に合わせて対応して来てる」


「おもろなって来たやん」


「即死の罠とか絶対に仕掛けてるだろうな~~」


 進むと広めの空間に出た。そこの隅っこや真ん中には黒い砂の塊が有った。前方には別の穴が有る。だから、気を付けながら進むと、背後と前方に魔力を感じた。そして、振り返るとゴーストが土の壁を生み出して、出入り口を完全に塞いでしまった。


「なんや?」


「何する気だろ? ゴーストとゴブリンの反応は有ったけど…………ん?」


 天井が開いて2種類の壺が落ちてくる。俺達は軽く避ける。この程度は問題無い。


「危なっ!? でも、この程度は全然平気なんやけど、無駄な事すんねんな…………」


 地面に落ちて割れた壺からは黒い砂が大量に出てくる。そして、もう一つの壺からは嗅いだことのある臭いがした。そして、直ぐにもう一つの方も理解出来た。しかも、それは部屋中に存在する。


「っ!? レティ、下がって!! これ、油と火薬っ!!」


 俺は急いでレティシアに抱き着いて押し倒し、上と下を入れ替えた。そして、訪れる衝撃に耐える為の準備をした。






 ダンジョンマスター




 遂に、遂にあの2人組がやって来た。おそらくは準備万端で来ているんだろうが、こちらももちろんダンジョンの構造を変えてまで待ち構えているのだ。必ず勝ってやる。


「目標が第3階層まで到達しました」


 彼女達が3階層の半ばに差し掛かった頃、俺は指示を出した。


「ヤレ」


「はい」


 フィアが虚空で何かを操作すると、今まさに彼女達が侵入して来た階層の床が抜けた。普通なら彼女達は地面だった物と一緒に落ちるのだが、彼女達は空飛ぶ板に乗っている為にそのまま浮遊している。

 だが、こちらは前にそれも見ている。対策済みだ。


「落とせ」


「了解です」


 またフィアが操作すると、頭上から巨大な岩が万篇無く落ちだす。最初は彼女達も抵抗していたが、終わる事の無い岩に自ら下へ降りていく。

 そして、画面が移り変わり、地下の湖へと岩ごと落ちた。彼女達は唯一のルートである横穴へと進み、広めの部屋に入った。その部屋の天井にはある仕掛けがしてある。


「出入り口を封鎖しろ」


「はい。ゴーストα、β。出入り口を封鎖してください」


 直ぐに彼女達が入った部屋の後ろと前方に地面を透けて出て来たゴーストが土の魔法を使って壁を作り、完全に封鎖した。


『なんや?』


『何する気だろ? ゴーストとゴブリンの反応は有ったけど…………ん?』


どうやら、天井に気づいたようだ。なら、容赦はいらない。どちらにしろ、するつもりも無いが。


「作戦開始」


「ゴブリンα。罠を発動させなさい」


 フィアの指示の後、天井が開いて2種類ある大量の壺が彼女達目掛けて乱雑に落とされる。そして、直ぐに天井が閉じられる。


『危なっ!? でも、この程度は平気なんやけど、無駄な事すんねんな…………』


 少女達は軽く避けるが、こっちとしては問題無い。


『っ!? レティ、下がって!! これ、油と火薬っ!!』


「ゴースト∑。やりなさい」


 そして、その部屋に現れたゴーストがフィアの指示で火の魔法を使う。密閉された空間に放たれた火の魔法は油と火薬に引火し、画面を光で埋め尽くして轟音を轟かせて大爆発を起こした。床にも火薬を撒いておいたから、上級魔法に匹敵する威力だろう。その証拠に通路やダンジョンの壁が一部崩壊している。


「ゴースト∑とゴブリンα、カメラアイ23号の死亡を確認しました」


「目標は?」


「生命反応は…………有ります。どうやら健在のようです」


「どれぐらいのダメージだ?」


「普通なら死にますが…………」


 新たにカメラアイを送って画面が回復した。今もなお燃え盛っている炎は押し広げられて供給を再開された酸素によって、激しさを増して行く。

 そして、その次の瞬間には全ての炎が一箇所に集中して集められた。











 何か有るとは思っていた。でも、まさか本気でここまで殺しに来るとは思って無かった。だから、あの瞬間にアザトースを呼び出して、全力全開の結界を展開した。そう、空間を捻じ曲げて強力無比な結界を俺とレティシアに施したのだ。御蔭で、俺達はここに居て、ここに居ない。つまり、俺は俺とレティシアの居る空間を切り取って、部屋の空間を元に戻した。御蔭で、大爆発の衝撃は俺達に関係無く、部屋だけが無残に破壊された。もちろん、こんな魔法を使えば魔力はアザトースも含んですっからかんだ。

 更に部屋には炎が燃え盛っている。だから、俺はマジックポーションを飲んでクトゥグアを召喚し、炎を俺とクトゥグアに集めさせる。集めた炎はクトゥグアの魔力結晶に吸収されて魔力として蓄えられる。


「何とか生きてるみたいやね」


「密閉空間での爆発で、衝撃を全てアタシ達に喰らわせようとするなんて、やってくれるじゃん。御蔭でアザトースはしばらく使用出来ないよ」


「リソースが削られてしまったんやな。でも、これってデストラップやろ」


「うん。殺しに来てるよ」


「魔物を使うんじゃなく、トラップで殺しにきとんのは流石や。うちらが一番嫌がる事やで」


「経験値がはいんないからね~~」


 でも、これだけの品を用意するのはもう無理だと思うけどね。流石に被害がデカ過ぎるでしょ。ああ、でも悔しいな。








 ダンジョンマスター







「おい、無傷ってどうなってんだっ!! いくら使ったと思ってやがるっ!!」


「彼女達がやった事でしたら、簡単に言えば別空間に一時的に逃げただけですよ。しかし、リソースは削りました。次です」


「といっても、次は力押しだがな」


「そうですね。でも、その力押しっていうのはかなりえぐいですけど」


「まあ、やってる事は戦争だからな」











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