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クレハの異世界冒険記  作者: ヴィヴィ
はじめてのダンジョンアタック
25/57

25話

誤字修正させていただきました。ありがとうございます。

 





 ダンジョンマスター





 こないだ侵入して来た少女がまた来た。今度はもう1人、赤色の髪の毛をした美少女を連れている。これは人質にすれば容易く手に入れられると思った。だが、現実は甘くなかった。

 2人の少女は装備からして前衛と後衛に別れているようだ。

 そして、侵入して来た黒い少女がまた落とし穴に自ら飛び込んで、せっかく修理した鉄杭を奪って行った。赤い少女は黒い少女を見送った後、少女には不釣り合いな大きな拳銃を取り出してカメラアイを破壊した。

 その後は詳しい情報が入ってこず、マスタールームに有る階層の地図で侵入者の位置が分かるだけだった。


「追加の兵力を送るのですか?」


「いや、無駄な事はしない。2階層と3階層の全兵力を引き上げさせて4階層のオーク達と合流させる」


「1階層のスケルトン達は囮ですか?」


「そうだ。ゴブリンはオーク達の飯になるだろうが、有る程度は残る」


 相手にならないなら、数で押すしかない。その為にも色々と準備しないと行けない。


「…………命令を出した所、ゴブリンの大半は拒否しました。オークに食われるのは嫌みたいです」


「ちっ。それなら仕方無い。囮になって貰おう。それと5階層からスケルトンウォーリアとオークゾンビどもを上げさせろ。もちろん、ゴーストやバンシー達もだ」


「了解。4階層に戦力を集中させるのですね。しかし、有る程度は空けないとパンクしてしまいますよ」


「わかっている。残りの連中も5階層に待機させて空き次第投入する。もちろん、背後からの襲撃も考えている」


「背後からの襲撃は誰がなさいますか?」


「俺がする。俺なら直ぐに2階層へと飛べるからな。そこで大量の戦力を追加召喚して下に送り込む。これで詰みだろう」


 このダンジョンに存在する全ての戦力である3658体を投入する作戦だ。容赦はしない。


「どうやら、3階層に降りる気は無いみたいですね」


「そうなのか? わざわざボスまで下げたんだが…………」


「いえ、2人は帰るようです。代わりに小型の魔導器が3階層に入っていきました。偵察みたいですね」


 精霊少女フィアがそう言いながら、画面を映し出してくれた。その小型の魔導器は水晶のようだ。だが、それは激しく燃えている。その水晶はどんどん進んで行く。その進路は残っていたゴブリンの集落へと一直線だった。

 そして、到着と同時にその水晶が微か開いて、光を噴射した。その光はゴブリン達を軽々と撃ち抜いて燃え上がらせた。ゴブリン達は恐怖し、パニックとなったが次々と光…………レーザーが発射されて殺されていく。

 しかも、ゴブリン達から出た黒い霧みたいなのと光る霧みたいなのを吸収している。


「おい、アレは何だ?」


「あの黒い霧みたいなのはゴブリン達が持っている魔力ですね。それと経験値です」


「いや、あの魔導機械とか言った奴だ」


「該当データには遠隔操作浮遊式小型魔導砲と出ています。古の時代に失われた戦略級殲滅兵器の一つですね。作り手が未熟なのか、使用者が未熟なのかわかりませんが、当時のよりスペックは低いですよ。そもそも、1つだけで運用している時点で駄目です」


「あんなのが数有ったら恐ろしいわっ!!」


「いえいえ、昔はうようよしていましたよ。浮遊型魔導強襲艦に搭載されている艦載機ですから」


 あんなのがうようよいるのかよ。ヤバすぎるだろ。


「あの時代は空中戦が主流でしたからね。魔法使いも精霊も神や獣人達も空を飛びました。地上で戦争すれば大地が破壊され、大陸の消滅が起きるので、空中で地上への攻撃禁止という取り決めがされたくらいです」


「何、その超人共…………」


「神の時代でしたから。結局はその大戦で修復不可能なくらいに文明レベルが下がってしまい、技術や力が失われたんです。もちろん、世界其の物の力も随分下がってしまって、このままでは消滅してしまうとの見解が神達の間で出ましたので、それを回避する為に異世界より皆様をお呼びしました。だから、どんどん殺して、どんどん増やしてください。異世界の異分子が混ざる事によって、増幅されるので使われた力より帰って来る力が多くなるのです。プレイヤーを1人殺すだけでも世界はかなりの力が回復しますし。ああ、もちろん産めや増やせやでも構いません。むしろ、こちらを推奨します。流石にあちらの世界から頂ける命の数は決められておりますので」


 とんでも無い暴露情報だが、今は良い。あの少女を自由に出来る世界なんだからな。


「そっちはもう良いから、あの魔導砲の対策はねえのか?」


「普通なら魔力切れが基本戦術でも有りますが、アレは自動で魔力吸収も付いていますのでオススメできません。それと術者が帰っている事を考えると自動モードですのでいくらでも手は有りますよ」


「レーザーって事は鏡で反射…………いや、無理だろうな。自動か…………何で対象を識別している?」


「それは簡単です。見た感じでは動く物体ですね。それと自動でついている熱源探知かと」


「なら、適当に石とか投げて魔力切れを狙うか。殺され無ければマシだろう。後は魔法には代わり無いんだから結界や障壁で防げばいいか。高いけど準備するか」


 さて、とんでも無い連中だが、MMOのMVPBOSSとして狩れば良い。本来は冒険者側がする手段だが、そんな事知ったこっちゃない。しかし、しばらく元の世界に帰れそうに無いな。




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