22話
ダンジョンを発見してから13日。突貫作業で崖の辺りまでの渡り廊下を作り上げた。そして、崖の部分には離れを作って、そこを倉庫にした。
普通なら素人作業で時間が掛かるんだろうが、天賦の才がチート過ぎた。普通に職人並みの建築レベル2まで技術が成長している。力仕事はレティシアが居るし、何も問題が無い。
今は工房でちまちまとレティシアの魔導器を作っている。レティシアは壁を破壊している。
ちなみに各レベルの目安はこんな感じだ。
レベル1:初級レベル
レベル2:中級レベル
レベル3:上級レベル
レベル4:伝説レベル
レベル5:神様レベル
そして、今現在の俺のステータスが、こちら。
【ステータス】
Name:クレハ
Class1:魔導技師Lv.6↑
Class2:戦術家Lv.4↑
Class3:魔導師Lv.3↑
HP: 400/ 400
MP:1100/1400↑
Str:110↑
Agi:50↑
Vit:40
Int:40+100↑
Dex:60+100↑
Luk:60↑
【パッシブスキル】
《魔導知識Lv.3》《戦術眼Lv.2》《部隊運用Lv.1》《魔力回復(小)Lv.1》《魔力操作Lv.2》《分割思考Lv.2》《戦闘の才能Lv.MAX》《天賦の才Lv.MAX》《獲得経験値上昇Lv.MAX》《老化遅延Lv.MAX》《寿命増加Lv.1》《第六感Lv.2》《体力回復(中)Lv.1》《魔力回復(中)Lv.2》《体術Lv.2》《剣術Lv.1》《魔術Lv.2》↑《射撃Lv.2》《火属性魔法適性Lv.MAX》New《木工Lv.2》New《建築Lv.2》
【アクティブスキル】
《魔導器召喚Lv.MAX》《魔導器生産Lv.3》《火属性魔法Lv.2》↑
【装備】
ティルヴィング(剣、封印)
ステンノ(銃、封印)
エウリュアレ(銃、封印)
クトゥグア(浮遊魔導砲、封印)
七色の断罪者セット
そして、お分かりだろう。ビックラビット達を倒した御蔭でレベルが上がった。でもさでもさ、筋力上がりすぎだろ~~~~っ!!
なんか、統計を取ってわかったんだけど、レベルアップ毎に3ヶ所がランダム(6面体のダイス3個で決定)に10点上がるんだ。
「全く、なんでこんなに力が付くんだよ…………アタシは脳筋じゃないぞ…………」
工房に有る作業台の椅子に座りながら、目の前に置かれている物を見る。それは黒色のガントレット。所々に金色で線が引いてある。もちろん、ただのガントレットでは無い。腕の部分が少し膨らんでいて、前には取って置きが入っているし、後ろにはブースターというか、フロートボードと同じジェットエンジンを搭載してある。ちなみに自動修復の回路を刻みまくってあるし、指の部分には爆破の術式回路が刻んである。
「普通なら腕がもげるんだろうけどね…………使うのはレティだし…………」
試作型を渡してみた所、壊れたのは試作型だった。なので、硬度の強化と自動修復を付けた。取りあえず、完成したので外に出る。
外に出ると丁度、門に取り付けた呼び鈴がリーン、リーンと鳴る。俺は防壁の上に梯子で登って来客を確認する。そこにはシェアーさんとライサさんが居た。知り合いだったので急いで門を開けた。ちなみに門の開閉は鎖の巻き取り機で、魔力で動いている。
「こんにちは。何の御用かな?」
「こんにちは」
「はい、こんにちは。ええ、この砦に付いて説明を受けに来ました。好きにしろとは確かに言いましたが、まさかここまで改造するとは思いませんでしたから。村人から何事か調査して来て欲しいと要望が来ましたので伺わせて貰いました」
「あ~~やっぱ、やり過ぎたか」
来るとは思ってたんだよね。無茶苦茶好き勝手に改造してるからね。例え村が壊滅してもここだけは無事に耐えきる程度にはなっている。
「私は挨拶ね」
「これはご丁寧、ありがとう。取りあえず中に入ってよ」
「「お邪魔します」」
2人を案内して自宅へと向かう。
「なっ、何これ…………」
「畑かしら? って、アレは危険な物じゃない!!」
ライサさんは貯水場所に驚いて、シェアーさんは栽培しだしている稲に驚いている。こちらの稲は無茶苦茶強く、植えて新鮮な水と太陽光さえ与えておけば凄い速度で育っていく。まさに魔法の稲。御蔭でお米は沢山手に入る。
「大丈夫。対策は取ってる。風の魔術で外に匂いを漏らさないようにしているから、ここにビックラビットが襲撃する事は無いよ」
「じゃあ、あの長い廊下は? 流石にあそこまでは想定していなかったんだけど」
長い渡り廊下は防壁を貫通している。なので、追加であちらにも防壁を造らなければいけない。
「やっぱ、駄目? あっちは倉庫なんだけど」
「駄目ね。ちゃんと買ってくれるなら良いけど」
「ん~~なら、買うから手続きよろしく」
「それと、クレハちゃん達は木を使いすぎよ。どうにかしてもらわないと、困るわ」
まあ、採伐しまくってるから、植えないと駄目だよね。
「村の人達だって、薪とかで必要なんだから」
「なら、薪がいらないで湯を沸かせたり料理出来る魔導機械を売ろうか?」
「有るの?」
「うん。あっ、靴はここで脱いでね。そして、これを履いて」
玄関の扉を空けて、なかに招き入れる。
「靴を脱ぐなんて変ね」
今まで黙っていたライサさんが不思議そうに聞いてくる。仕事の話しだから黙ってたのかな?
「それは簡単だよ。中が汚れにくいようにする為だよ。外のは汚いしね」
「そうなんだ」
「確かに掃除が楽そうね」
2人を案内してリビングに行くと、レティシアが湯を温めていた。
「アレがそうだよ。加熱術式を刻んだ石の上に鍋を置いて温めているの」
「便利そうだけど、魔力が要るんじゃない?」
ライサさんが質問して来る。
「必要魔力はほんの微かだよ。実際、使ってみると良い。レティ、変わってあげて」
「うん。こっちは沸いたし、ええよ」
レティシアはコップを人数分並べて、その中に湯を入れていく。そして、改めて鍋に水を入れてヒートプレートの上に乗せた。
「この赤い魔石に魔力を流したらええで」
「そう…………確かに少ないわね。湯を作るのに魔力を1も使わない…………これなら、一般の人でも使えるわね」
「ん? 一般の人って、魔力無いんじゃ?」
「そういえばそうだったわ」
そうか、一応そういう事になってるんだったね。本当は違うんだけど。
「まあ、魔力を持ってる人には使えるわね。良いわ、それを村人16人に譲ってくれるなら木の件は問題無いわ。それと、崖までの土地だけど、100万でどうかしら?」
シェアーさんが地図を出して、指で範囲を教えてくれる。
「高すぎる。崖も全て含んでいいならそれで良いけど」
俺は俺で大きめな円を書く。その円は崖も含んでいて、ダンジョンも含んで全てこちらの物だと主張する為だ。
「いいわよ。でも、そんな所に何を作るの?」
「物見台を作ろうかなって。高い所って好きだから」
「そういえば、良く馬車の上に登っていたわね」
ライサさんが、こっちに戻って来た。
「やっぱり子供ね。それじゃあ、これが必要書類よ。こちらとこちらにサインしてね」
「うん」
しっかりと契約内容を読んだ後に指さされた場所にサインして、しっかりと契約する。これであそこは俺の物だ。
「ほい、紅茶が入ったで」
「「「ありがと」」」
4人でレティシアが入れた紅茶を堪能する。この紅茶は嗜好品なだけあって、結構高い。
「食料の備蓄は大丈夫? 未成年2人で冬越えなんて心配だわ」
「大丈夫だよ、ライサさん。しっかり準備してる」
「せやな。食料も3ヶ月分くらい箱買いしたし、後は届くのを待つだけや」
「買いすぎでしょ…………街からの取り寄せよね?」
「もちろん。村の皆の分を取る訳にもいかないしね」
ニウスさんに全部頼んでおいた。ついでに冒険者用の道具もだ。ダンジョンに必要そうなのは粗方購入しておいた。
「そういえば、ダンジョン攻略に使う道具を集めてるみたいだけど、どうして?」
「本当? その辺を詳しく聞かせてくれないかしら?」
ライサさんの不用意な発言でシェアーさんがこちらを睨んできた。
「えっ、えっと…………それはやな…………」
バラしてしまいそうだから、さっさと俺が言ってしまう。
「事前に買って、来年に備えているんだよ。日頃から触れて練習しておけば来年になったら直ぐにでも行けるからね。それに冬は暇だから」
「そういう事や」
「成程。そうね、そういう事なら問題無いわ。良い、来年からちゃんとした冒険者になれるんだから、焦らないのよ」
「「は~い」」
「ライサ…………何か凄く不安なんだけど…………」
「シェアー…………私もよ。でも、冬でここから行けるダンジョンはチェリム森林の奥だし、あっちはギルドが管理、運営しているから入るのは無理よ」
ハモって答えたら怪しまれた。
「それもそうね。防衛隊も居るし、大丈夫よね」
「ダンジョンを管理しているの?」
「正確にはその入口だけどね。魔物が外に出ないようにダンジョンの入口に防衛拠点を作って防いでいるの。そこに在中する冒険者が冬の間、ギルドの依頼で定期的に掃除しているのよ。だから、春を安心して迎えられるの。魔物が溢れ出すなんて最悪の事態だけは避けられるからね」
ライサさんが丁寧に教えてくれた。
「それにいざとなったら狼煙が一箇所に多数上がって、救援要請を受けるわ。そうしたら、ギルドが冒険者を緊急招集するのよ。そして、直ぐに冒険者の追加が送られるわ。でも、貴女達はそんな事が無いから安心してね」
「うん。ありがとう」
「了解や。うちらは大人しく鍛えておくで」
大人しくね。確かに大人しくダンジョンで鍛えるね。
それから、4人でしばらく雑談した後、シェアーさん達は帰っていった。
「レティ、完成したよ」
「ん。どんな感じや?」
「結構えぐいよ。まあ、レティなら大丈夫なはずだ」
「わかったで」
俺はレティシアに作った魔導器を渡す。
「じゃあ、この黒い魔石に血を流して契約して。名前はアイゼン」
「そっか。んっ…………よろしくや、アイゼン」
レティシアが指を噛んで血を流し、黒い魔石に血を流すと魔法陣が浮かび上がって、アイゼン全体から低い重低音が聞こえて来る。そして、アイゼンと同じ魔法陣がレティシアの手の甲にも現れてアイゼンが光に包まれて消滅する。それと同時にレティシアの手の甲に現れた魔法陣も消えた。
「後は呼ぶだけで装着出来るよ」
「便利やね。あっ、魔導師のクラスも増えとるわ」
「んじゃ、これから楽しみだ。トンネルはどう?」
「一応、ぶち抜いたけど補強しといてな」
「わかった。じゃあ、そっちは防壁を増やしておいて」
「了解や」
それから、俺達は各自の仕事に戻った。俺は倉庫の壁からレティシアが開けた崖の穴へと入る。そして、岩を火の魔法で溶かしながら、鉄の棒で補強して行く。そして、本格的に冬に入った時、トンネル内に何個も扉を設けて、ダンジョンの入口までの通路が完成した。




