79話:食堂と薬草園見学
※言い訳:最近体調が悪くて風邪薬を飲んでも頭が痛くて、おでこに保冷剤くっつけて書いたので、なんだかよくわからないことになっていたらごめんなさい!(言語能力が限界きてる)
一通り実技を体験したところでお昼の鐘が鳴った。
めし処は食堂と、お高いサロンがあるようだ。
私はお友達になった桃色髪のふわふわ少女のソルティアちゃんをご飯に誘った。
「ご飯いっしょに食べよっ!」
「はい!」
「食堂いこっ!」
「え? 食堂ですか?」
え? 食堂だめ?
学校らしさを味わうにはやはり学食だと思うんだけど。
おーいビリーとヴァイフ少年も食堂いこうぜー!
「わたすも一緒に言ってもイイのですか?」
「サロンじゃなくて食堂なのか?」
うむ。ロアーネは呆れてるけど。ソルティアちゃんも困惑してるけど。
「あの、そちらの黒い方は……」
「ハイ! はじめますて。わたすビリーです。趣味は美白ケアです。ヨロシク!」
笑いづらいネタかましやがって! ロアーネがぽぽたろうに顔を埋めて隠している。またツボったらしい。
私はソルティアちゃんの手を取って食堂へ向かう。
ソルティアちゃんはクリトリヒの西の地方から来たらしい。シビアン山脈のすぐ麓だ。
「そこって三年前に四本角大鹿が出なかった?」
「オルバスタとの国境沿いの話ですね。私の村はその近くなので、オルバスタの援軍に助けられました」
「そうなの? あれ私のパパの部隊だよ!」
「まあ! ほんとですか!」
あんなのがうろうろしてるところに住んでるなんてすげえお姫様だな。魔法の実力がすでに高いのも、魔物が日常な所で住んでいるからだろう。
と、いうことは、私よりも田舎者なのでは? ド田舎同士で競っても無意味であるが。
学食は二階建てで大ホールな広さだった。そこへ長机と椅子がずらりと並び、籠にバケットがどーんと詰まっている。
配膳に生徒がずらりと並び、おばちゃんが木のお皿にこんもりとひき肉とトマトスープのパスタを乗せて渡していく。お金のやり取りがないからどうやら学食は無料のようだ。
「わー!」
この雑な感じな炭水化物取れ! って感じの学食感! 良い!
「野菜が足りなくないですか?」
「そうですね。漬物を加えたいです」
メニューにダメ出しするソルティアちゃんに、ロアーネがおばあちゃんみたいな返しをしている。
「わお! 豪華な食事デスね!」
「バケットは勝手に食っていいのか? よし!」
アフロビリーとヴァイフ少年には好評だ。バケットにひき肉とパスタを挟み始めた。あ、それいいな。
じゃーん! パスタパン!
しかし口が小さいのでもきゅもきゅ口に突っ込めなかった。気をつけないとトマト汁がドレスにだばーしてまう。んぐんぐ。
「ビリーはどこから来たの?」
「わたすは西の国から来マシタ」
「西というと、ティンクス帝国?」
「んノノ。スパルマ共和国デス。王様いなくなて、わたす売られました」
あらー。なんかセンシティブな話だった。
私はふとマヨソースロードのカルラスを思い出した。
「もしかしてそこって数年前に革命があったとこ?」
「ソソ。わたす資格なしで魔法で仕事してた。新しい主人に言われて学校来ました」
「へぇ。なんの魔法使えるの?」
「みんなに秘密ヨ。わたす氷魔法使えます」
おお!? 魔法使いで重宝されるやつじゃん!
「ティアラは何デキル?」
「えと、魔力弾しか撃てないけど……」
私はロアーネに「魔力を事象に変換する能力がない」と昔に言われた。あれからやっぱりメジャーないわゆる属性魔法は一つも成功していなかった。
「わお。ということは、めずっらしい系統魔法なのデスね!」
はっ!
なるほど。カンバの精神操作魔法とか、そういう特殊な魔法なのかもしれないな!
いやでも、カンバもそれとは別に風魔法が使えたりするんだよな……。その理屈はおかしい……。
「みんなは?」
「おれは炎と風魔法だ」
「私は水と土魔法です」
おや、みんな分かれたな。ロアーネは……そういえばロアーネの得意魔法ってなんだ? 回復魔法って系統なのか?
みんなの視線がロアーネに集まる。
「私ですか? 私は光ですよ」
おー! 光魔法! やっぱ回復は光なのか!
「ひ、光ですか……」
「ま、まあ魔力弾すごかったし、なあ?」
「元気だしてクダさーい」
え? 光魔法ってそういう扱いなの?
「ろ……ドロレス。光魔法って?」
「名前の通り、光を出す魔法ですよ」
ロアーネの手のひらに、ぽっと豆電球のような光が灯った。
「このように熱を持たない光を出せるのです」
「へー。夜にトイレに行く時に便利だね」
私も覚えたいなそれ。
「でもみんなの反応からすると、そんな不遇なの?」
「まあ、今は魔石照明を持てばいいですからね」
確かに!
ヴァイフ少年はそれに対し、「光魔法も昔は重宝されたっておばあちゃんが言ってた」と口にした。
少年! そのワードは危険だ!
「今じゃ使い手のいない年寄り魔法って言われてる」
追い打ちをかけるな少年!
「わ、私ちょっと校内探検してこようかなー!」
ぴゅうん。私は食堂から逃げ出した。
しかしロアーネに回り込まれてしまった!
「一人で探検とか絶対に迷子になりますよ?」
「ろ……ドロレスの私への信頼感がすごい」
「自覚はあるんですね?」
ふう。とりあえず怒ってないみたいだ。
私はロアーネを連れてぴょっこぴょこと敷地を歩くことにした。先におトイレに寄ってからね。
まずは薬草園らしき場所へ向かった。
ううむ。草だ。まるで草。
ちっこい花が付いていたりする。うーむ。私には雑草と区別が付かない。しかし、柵で囲ってあるから研究対象なのであろう。
なんか見知らぬ器具が畑に刺さってたりするし。アンプルかと思ったら、なんかメモリが付いてた。
「なんだろこれ」
「おや~? 勝手に入ってはダメですよ~?」
おわっ!
後ろから白衣の巨乳お姉さんに声かけられた。えへへ。すみまおっぱい。
「君たち新入生~? 薬草とか興味あるの~?」
「ないです!」
キリッ。
美味しくない植物には興味ありません!
「あら~残念。それじゃあ何を見ていたのかしら~」
「この道具なにかなーって」
私は畑にぶっささったメモリの付いた金属棒を指差した。
「これはね~、魔力測定器よ~。それでこっちの大きい箱は土の魔力を吸収してるの~」
「吸収?」
「そうよ~。植物が育つのに必要な魔力を吸い上げてるのよ~」
ふむ? 必要という割にはちゃんと育っているように見えるが。
しかしなるほど。箱が置いてある方とない方では、なんだかキラキラが違って見える。
「面白いでしょ~? 実は魔力はなくても植物は育つのよ~」
それはそうだろう。植物に必要な栄養素は窒素とリンとカリウムだったか。むしろ魔力をぶっこんだ土でじゃがいも育てたら玉がでかい令嬢芋なんて品種ができちゃうようなことが、魔法のない世界からきた私にとっては不思議だ。
「それでこの草はどうするの?」
「ポーションにするのよ~」
「ぽしょん!」
ポーション! ファンタジーアイテム来た! 飲むのかかけるのか使い方がわからない傷薬なやつ!
「でもね~。こっちの魔力がない薬草で作ったポーションは、効果がないの~」
ふむ? それは当たり前では?
私がこてりと首をかしげていたら、私の代わりに今度はロアーネが質問をした。
「こちらの日除けをしている方はなんですか?」
太陽の光が屋根で遮られて、へなへなと、ひょろひょろと、ふんにゃりしてるゾーンがあった。
「これも研究対象よ~。魔力なし、魔力ありと、魔力注入の三つよ」
あ、光がなくても育ってるのは魔力注入されてるのか。へえ。どうりでなんかキラキラしてると思った。
「魔力があると陽の光がなくても育つんだね」
「あら~。君はそちらの方が気になるの? 面白い子ね~」
そうかな? まあでもファンタジーだと光の当たらないダンジョンでも植物が茂ってたりするから、魔力パワーで植物は育つんだろうな。
草には興味ないけど面白い研究だと思った。
「なるほど。つまりあなたは異端者というわけですね?」
なんでそうなるのー!? またロアーネの悪いとこ出てる!
「世界を作っているのは月の光ではなく太陽の光である、だっけ~。違うわ。私はただの研究員。君はおばあちゃんみたいなことを言うのね~」
おっぱい白衣も地雷を踏みおった!
「わ、私ちょっと用事を思い出したでありますのよ。おほほー」
ぴゅうん。私はロアーネの手を引っ張って薬草園から逃げ出した。
それにしてもますますロアーネのロリババア疑惑が深まってしまった……。
緑髪三編み眼鏡泣きぼくろむちむちおっぱい白衣のんびり声先輩




