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第78話 合宿2日目

 

 合宿2日目。

 朝早くに誰かの携帯のアラームが部屋中に鳴り響く音で目が覚めた

 今回の合宿は朝早くにラジオ体操が行われる。と言っても参加する奴なんてほとんどいない

 なぜなら、ラジオ体操するぐらいなら寝る方が大切だと思っているからだ

 俺もその1人なのに誰かの携帯のせいで目が覚めてしまった


 携帯のアラームの音を消すために音の聞こえる方へと歩いて行くと宗太の携帯だけが鳴り響いている

 そして、その近くには宗太が居て、これで起きるつもりなのかと思いたくなるほど爆睡していた


「っち…起きる気無いならアラーム設定するなよ…」


 今流行りのスマートフォンのアラームの止め方が分からず、どうしようもない…

 再び寝る気にもなれない為、旅館の足湯へと向かう


 誰もいない足湯に足を付け、ぼんやりと時間が過ぎていくのを待つ

 この時間帯はまだ夏の蒸し暑さというよりは心地いい暑さで気持ちが良い

 空気はシンと冷たく、息を吸うと頭の奥からシャキッと起きてくるような感じがする


 どのぐらい時間が経ったんだろうか?

 少しずつ気温も上がり始めてくる頃に遠くの方からラジオ体操の音楽と朝ごはんを作る音が聞こえてくる

 そして10分ぐらい経つとラジオ体操の音は聞こえなくなる


「何してんの、智ちゃん」

「ん?あ~姫、早いな。おはよう」

「うん。それより」

「足湯入る?まだ時間あるし」

「うん」


 姫はラジオ体操の終わりなのか少し息を切らしているけど、俺の横に座るとズボンの裾が湯に浸からないようにまくりあげる


「気持ちいい…」

「一家に一個欲しくなるだろ?」

「それは無いけど、気持ちいい」


 時々バシャバシャと足を動かす姫の横で寝転ぶ

 この足湯はこれが一番気持ちいい。と言っても姫に推薦すれば「バカっぽい」と言うから何も言わないで寝転ぶ


「智ちゃんは大学どうするの?」

「推薦。もうほぼ決まってるようなもんだけど」

「ふ~ん」

「姫はどう?この合宿上手くやってる?」

「うん。皆みたいに夜遅くまで起きてられないけど…」

「そっか、明日で終わりだけど頑張りなよ」

「うん」


 思っていたより時間が経ったのか眠たそうな顔をした生徒たちが食堂へと続く廊下を歩いている

 そろそろ食事の時間らしい。

 俺と姫は足を拭いて食堂へと向かう

 食堂の中に入ると自分たちの席へ座り、生徒の1人が前で「いただきます」と言うと一斉に学生たちが食べ始める


「そういえばさぁ、朝早くから足湯で何してたの?智」

「千鶴…足湯で足浸ける以外に何があるんだ?」

「いや、ほら、1年生の優等生ちゃんと話してたじゃん」

「普通に合宿どう?みたいな感じだけど?」

「ふ~ん……そういやさ、これ終わったら夏祭りあるじゃん?」

「だな」

「一緒に行かない?」

「隼人と一緒に行かないのか?」

「行くよ。でも今日は智も一緒にね」

「まぁ別に良いけど」


 夏祭りにいけるかどうかは千鶴がこの夏合宿で夏休みの宿題を終えれるかどうかで決まることはこの時、俺は考えもしなかった…


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