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第77話 ナースさん。

 夏休み恒例の勉強合宿。

 3年の俺たちにとっては最後の勉強合宿だ

 周りの皆は行きたい大学を目指し、必死で勉強をしている。あの宗太まで。

 もちろん、俺も指定校推薦がほぼ決定されたとはいえ、まだ何があるか分からないため勉強はするんだけど……


「今日の時間は終わりだ。さっさと寝て明日に備えろ」


 前で先生が言うと皆は疲れたように一斉に動き出す

 朝この旅館に来てからずっと勉強詰め。凄い奴は休憩中の間も勉強をし続けていた


「ふぁぁ~…眠っ…」

「宗太がそこまで勉強するのも凄いよな…」

「そりゃ親に行けって言われてる大学あるから頑張らないといけないだろ」

「お金でなんとかなるんじゃないの?」

「さぁ?でも勉強はしておいて損は無いだろう?」

「確かに」


 まさか宗太の言葉で納得する日が来るなんて…

 部屋に戻る間、宗太と話しながら廊下を歩く

 前には千鶴と佐藤さんが歩いていて、それを見ていると横にいる宗太が小さな声で話かけてきた


「なぁ、理紗はどこに大学行くか知ってるか?」

「さぁ?頭良い所だろう?」

「ちょっと聞いてくんない?」

「はぁ?自分で聞けば良いだろ」

「まぁまぁ、ほら聞いてきて」


 宗太は後ろから押してくる

 俺は大きなため息を吐いて、前にいる2人に話かける


「佐藤さんはどこの大学行くの?」

「何?智。いきなり」

「なんとなく気になったから」

「え?えっと、私は看護学校で大学は…」

「あ~そうなんだ。将来は看護婦さん?」

「智、今は看護師って言うんだよ」

「佐藤さんが看護婦かぁ…」

「あ、あの…似合いませんか?」

「いや、ピッタリだと思うよ。なぁ宗太」

「うんうん。理紗ならできる。ピッタシ!」


 宗太はグッと親指を立ててグーサインをする

 すると佐藤さんは恥ずかしそうに笑いながら千鶴と一緒に部屋の中へと入って行った


「佐藤さんが看護婦かぁ…」

「ナース服着て、痛い所はありませんか~って聞いてくるとか萌えるな」

「…宗太、勉強のしすぎで欲求不満か?」

「いや、一般的意見として。智樹は無いわけ?ナースさんへの憧れ」

「ナースの憧れ?」


 確かに佐藤さんがナース服を着たら似合うだろうけど萌えは無い

 というか、アレを小さい時に散々見たせいもあるのかもしれないけど…


「俺、怪我とか病気とかしたこと無いから一回で良いから入院してみたいなぁ…ナースさんとかに看病してもらってさ」


 横で宗太は夢を見ながら語り出し始める

 やっぱり宗太は欲求不満なのかもしれない…

 語る宗太をほっておいて歩く。あーいうのが近くに居ると仲間だと思われてしまう

 俺は足早に宗太から離れようと歩いていると廊下の向こう側に姫と友達らしき子達の姿が目に入った



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