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第42話 清水の挑戦。

 

「お、おはよう。佐藤」


 清水が昨日、俺に言われたことを実践している

 俺は本を読んでいるふりをしながら前にいる佐藤さんと清水の行方を見守る

 もしかすると、親の気持ちはこんな感じなんだろうか…


「おはよう、清水君」

「う、うん!」

「…?どうしたの?」

「え?えっと…」


 うわぁ…こっちをチラチラ見てくる…

 本で顔を隠そうとすると佐藤さんが清水に視線に気が付いたのか俺の方を見てくる

 そして、不思議そうに俺と清水を交互に見た

 俺はこの場をどう乗りぬけようかと精一杯頭を働かせる


「…いや、あのぉ…非常に申しにくいんだけど、昨日の数学のノート見せてくれない?」

「え?」

「清水のノート見ても全然書いてなかったから、ここは佐藤さんのノートを頼りにしようかなぁと」

「あ、うん。いいよ、どうぞ」

「ありがとう。んじゃすぐに写すね」


 俺は佐藤さんから数学のノートを受け取り、サラサラと昨日の分のノートを写していく

 しかし、昨日はちゃんとノートを取っていたからこれは2回目だ…

 結局、俺は同じ内容のノートを写して、佐藤さんにお礼を言い、清水に俺のノートを渡す

 もちろん、ノートには「昼ごはん奢れ」と書いておいて



 放課後、俺は脱力しながら机の上に座りながら窓から家に向かって帰って行く生徒たちを見る

 今日は本当に疲れた…

 あのノートの件もそうだが、あのあと清水はめげずに努力したのは良いが毎度途中で脱落し、フォローしないと行けない状況

 昼休みには千鶴も混ざってしまい、俺は2人に振りまわされる事態だ。

 それも、途中からテンションのおかしい宗太も混ざり、最終的には3人

 佐藤さんは苦笑いしかしていなかった気がする…


 俺はふか~~いため息を吐きながら、清水の協力役を辞めようかと悩んでいると教室のドアが開いた


「あれ?なんで智がいるわけ?」

「千鶴か…お前こそなんでいんだよ」

「いやぁ宿題出せてなくて、職員室でやらされたんだよ」

「………お前、進学組とは思えない行動してるんだな」

「わ、私だって普通科の時は優等生だったんだから!」

「はいはい」


 こいつが優等生って…苦しい言い訳過ぎる…

 普通科は俺たち進学組よりは学力が劣るが、それでもこの辺の高校よりレベルは高い

 俺は適当に流しながら、もう一度窓から外の風景を見る


「そういえば、清水くんだっけ?あの子って理紗ちゃんのこと好きなの?」

「見た通り」

「やっぱり。見え見えだよね、あれ」

「佐藤さんは気が付いてんの?」

「ん~…理紗ちゃんはどっちかって言うとそういうの鈍感っぽいね」

「あれだけアプローチされて気が付かないとかないだろ…」

「まぁいつかは気が付くんじゃない?」


 千鶴は他人事のように携帯を開き、ポチポチと何かメールを打っているようだ

 俺は沈んでいく夕陽を見ながら清水が今後、どんな風にしていくのかと思いながら見続けた






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