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第25話 夏休み突入

 

 -学校に来い-


 たったこの短い文が来たのは夏休みに入って、3日経った日のお昼だった

 俺はそうめんを食べながら、メールの主を見る


「ん~…これは…めんどくさいなぁ」


 メールの主は宗太で、おそらく千鶴関係のことだろう。

 俺は箸でそうめんを取りながら、考えて定期券がまだ続いていたので学校に行くことにした



「こんな暑いのに…よくクラブなんてやってんなぁ…」


 俺は校庭を見ながら私服で校内を歩く

 校庭ではサッカー部、野球部、陸上部と様々な部が暑い中頑張っている

 俺はそのまま中庭を超えようとすると同じクラスの人を見つけた


「こんにちわ、佐藤さん」

「え?あ、祠堂くん」

「どうしたの?制服姿で。あ~、勉強?」


 うちの学校は夏休みが始まっても最初の1週間だけは任意で授業を受けることができる

 といっても、ほとんどの人は行かないから意味が無いと俺は思ってたんだけど…


「凄いね、ちゃんと行ってるなんて」

「うん。私以外居なかったけど」

「あはは」


 佐藤さんは苦笑いをしながらカバンを肩に掛け直して、俺の方をじーっと見てくる


「ん?俺の顔になんか付いてる?」

「う、ううん。えっと…」

「あ~…なんで俺がここにいるかってことね。ちょっと呼ばれたんだよ、めんどくさいけど来ないと後がめんどくさそうだったし」

「そ、そうなんだ」


 なんだか聞きたかったことと違ったみたいだ

 佐藤さんの小さく「あはは」と笑っていて、俺は何が聞きたいのかよくわからない

 とりあえず、これ以上佐藤さんとこの炎天下の中、話すのもかわいそうなので俺は宗太の件を済ませるために話を切る


「それじゃそろそろ行くよ。また合宿で」

「はい」

「あ、そうそう。千鶴と仲良くしてもらってありがとうね、あいつと付き合うと色々大変だけど…これからもよろしくしてやって。それじゃまた今度」


 俺は佐藤さんに背中を向けながら歩いて、宗太のいるテニスコートまで歩く

 テニス部はちょうど部活が終わったのか部員たちは木陰でぐったりしていた

 そんな中で宗太はテニスコートのど真ん中に仁王立ちをし、俺を見つけると睨みつけてくる


「そんな睨まなくても俺は逃げないって」


 俺はテニス部員の注目を浴びながら、テニスコートに立っている宗太の近くへ向かう

 すると宗太は俺にテニスラケットをグィっと差し出してくる


「これは?」

「勝負しろ。俺が勝ったら木島さんとお前のこと全部聞く。俺が負けたら木島さんを諦める」

「それ、俺にメリットなくない?」

「あるだろう」

「いや、無い。んじゃお前が勝ったら俺は千鶴と別れて、俺が勝ったら…そうだなぁ…まぁ勝ってからいいや」


 俺は差し出されたラケットを受け取り、宗太の状態を見る

 そして、俺は宗太にある提案を出した


「部活で真剣にやってる奴に遊び程度でやってる奴が勝てるわけないからいつもみたいにハンデくれない?」

「ああ」

「んじゃ6ゲーム1セットマッチな。んで、コートは変わるのめんどいからこのままで、最初のサーブ権は俺から。あと俺が3ゲーム取ってるって形でよろしく」

「ああ、いいだろう」


 宗太は頷いてコートの奥の方へ歩いていく

 俺はボールをポンポンとラケットで遊びながら位置について、サーブを打った



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