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二章プロローグ

いつまでも投稿する詐欺をするわけにはいかないので、ストック不足ですが投稿を再開します。


更新は19時を予定しております。


そして【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です10巻】の発売日は【5月30日】!!


既に書店さんで見かけるかもしれませんが、ネタバレは控えていただけると助かります。

 小惑星が幾つも漂う宇宙。


 そこには、宇宙戦艦や機動騎士の残骸が漂っていた。


 残骸になったばかりの機動騎士は、破壊された部分から放電している。


 ぎこちなく頭部を動かしながら、自分たちを殺そうとする存在を見ていた。


『薄汚い傭兵共が』


 破壊されたのは、統一軍の辺境守備隊だった。


 この周辺宙域の見回りをしていた彼らに向かって、敵である機動騎士のパイロットはコックピット内部で冷ややかに笑っている。


「私にとっては褒め言葉よ」


 返事をした直後に操縦桿を動かすと、機動騎士の右手に握った剣が相手のコックピットを貫いた。


 パイロットの女性がヘルメットを脱ぐと、輝くような白い髪が無重力状態のコックピットでふわりと広がる。


 肌は白くてきめ細かく、パイロットスーツの上からでもスタイルがいいのが見て取れる。


 とても美しい魅力的な女性パイロット――しかし、彼女の瞳は濁っていた。


 輝きを失った緑色の瞳は、自分が倒した機動騎士を見ている。


「さっさと降伏すれば殺さないであげたのに」


 傲慢な台詞を呟くと、彼女の味方である機動騎士たちが集まってきた。


 機動騎士たちの左肩には傭兵団名にもなっているキク科の花「ダリア」のマークが描かれている。


 巨大傭兵組織「ヴァルチャー」に所属する傭兵団の一つだが、女性パイロットが率いるダリアは実力者集団だ。


『シレーナ団長、こっちも終わりましたよ』

『統一軍の部隊は交渉できないので面倒ですね』

『帝国なら、小銭をチラつかせれば見逃してくれるのにね』


 集まってきた機動騎士から聞こえてくるのは、女性パイロットたちの声だ。


 先程まで戦闘をしていたのに、随分と陽気だった。


 それを【シレーナ】は咎めない。


 むしろ、そんな部下たちを気に入っている。


「全員無事なようで何よりだわ。それにしても、海賊の護衛なんて引き受けるものじゃないわね。報酬は悪くなかったけど、統一軍の辺境部隊とやりあうなら二割増しにしておくんだったわ」


 シレーナが率いるダリアが引き受けた依頼は、統一政府内で活動する海賊団の護衛だった。


 彼らが輸送しているのは、統一政府が禁止している品ばかり。


 つまりは密輸だ。


 その護衛をダリアが引き受けていた。


 仲間の一人が尋ねてくる。


『でも、この依頼もそろそろ終わりですよ。次はどこかの戦場に売り込みに行きますか?』


「次の依頼なら決めているわ」


 機動騎士たちが戦場を離れて母艦へと向かっていく途中、シレーナは次の依頼について話をする。


「――帝国の第七兵器工場への襲撃よ」


『本気ですか?』


 帝国の兵器工場を狙えという話に、部下たちが尻込みしている。


 随分と危険な任務だと思ったのだろうが、シレーナは肩をすくめて内容を話す。


「ある機体の鹵獲、もしくは破壊を依頼されたわ。依頼を果たしたら、即座に撤退して終わりよ」


『それなら、まぁ。でも、なんでそんなことを?』


「理由なんて探る必要はないわ。ただ、破格の報酬が用意されたわよ」


 前金も随分な大金であったのをシレーナは思い出す。


(何か特別な機体なのかしらね?)


 モニターを操作して依頼された機体のデータを確認する。


 シレーナは対象となった機体名を呟く。


「新型のネヴァンか。機体名は――アタランテ」



 一人の少女が液体で満たされたカプセル内で目を覚ます。


 緑色の液体は僅かに粘着性を持っており、体を動かす際には抵抗を感じる。


 目覚めた少女――【エマ・ロッドマン】中尉は、自分の手を動かす。


(あぁ、そうか。教育カプセルに入っていたんだ)


 自分がどこにいるかを思い出すと同時に、カプセル内の液体が排出された。


 カプセルがゆっくりと起き上がると、ハッチが開いた。


 そこに待っていたのは、白衣を着た女性職員たちだ。


 彼女たちからバスローブを受け取り、寝ぼけながら着用する。


 女性職員たちが、そんなエマに結果を報告してくる。


「短期教育お疲れ様でした。今回は一週間でしたので、リハビリも必要ないです」


「どうも」


 フラフラと歩くと、部屋の中にある他のカプセルも次々に開く。


 そこから出てくるのは、主にメレア――軽空母メレアの女性クルーたちだ。


 エマの友人でもあるモリーは、出てくるなり裸のまま床に倒れ込んでいた。心配した女性職員たちが駆け寄って声をかけている。


「大丈夫ですか!?」


 エマも気になってそちらに向かった。


「モリー!」


 モリーはエマに気付くと、顔を上げて涙目になっている。


「エマちゃん――うち――うち」


「どうしたの!? 何か問題があったら、とにかくお医者さんに――」


 慌てるエマだったが、モリーは倒れた理由を話す。


「――お腹空いた」


 直後、空腹であるエマのお腹が鳴り、周囲も頬を引きつらせる。


 女性職員がため息を吐いた。


「最初は胃に優しい食べ物を選んで下さいね」



 教育施設にある食堂。


 そこで粥のような食べ物を不満そうに食べるモリーを見ながら、病衣に着替えたエマが端末を操作する。


「次の任務は第七兵器工場か」


 エマの呟きに反応するのは、隣に座っていた同じ小隊に所属する男性パイロット【ラリー・クレーマー】准尉だ。


 前髪が長く、片目が隠れている。


「わざわざ兵器工場に行く理由があるのかね?」


 皮肉屋なラリーに、エマは騎士学校で学んだ知識を披露する。


「ありますよ。バンフィールド家は第七から兵器を購入しているので、オーバーホールや改修をする際は送る必要があります」


 話に興味を持ったのか、モリーがエマに尋ねる。


「第七の新型が見られるのは嬉しいよね。けど、うちらも一緒に送る意味とかあるのかな?」


 モリーの疑問に対して、エマは騎士学校で習っていたはずだが――思い出せずに考え込む。


「待ってね。それは聞いたような気が――」


 教育カプセルで知識を叩き込まれようと、使わずにいれば思い出せなくなる。


 日々の継続がいかに大事かというのを思い出したエマだったが、そこに思ってもいない答えが出てくる。


 トレーを持って現れたのは、小隊最後の仲間【ダグ・ウォルッシュ】准尉だ。


 短髪に髭を生やした中年男性に見える男は、軍隊で長年暮らしている。


 そのためか、答えは騎士学校で教えているものとは違っていた。


「受け渡しが面倒だから、人員ごと送るのさ。貴族様たちからすれば、俺たちも艦隊を動かす部品と同じってことだな」


 ダグの答えを聞いて、モリーもラリーも納得した表情を見せた。


「あ~、そういう」


「でしょうね」


 そんな二人に、エマは立ち上がって否定する。


「違います! それは違いますからね!」


 軍が兵士を部品扱いしているなどと思われては迷惑――というのもあるが、エマにしてみればバンフィールド家の軍隊は憧れへの第一歩だ。


 頂点に君臨する領主様に対して強い憧れを持っているため、否定されたくない気持ちが強かった。


 強く否定するエマを呆れた顔で見ているラリーは、持っていたスプーンを向けてくる。


「どうだかね。うちの軍だけでも億単位の人間が所属しているんだ。上の連中は兵士なんて数字としか見ていないはずだよ」


 エマが否定しようとすると、話を変えたかったのかダグが頭をかいて話題を逸らす。


「お嬢ちゃん、俺が悪かったから話を変えようぜ」


「お嬢ちゃんじゃありません、隊長です。隊長!」


「それなら隊長さんにお知らせだ」


 ダグは自分の腕時計型の端末を操作すると、エマたちの目の前に第七兵器工場へ送られる艦隊の一覧を表示した。


 四人が同じスクリーンを凝視する。


 モリーは艦隊の規模に驚いていた。


「三千隻? こんなに送ったら第七も迷惑じゃない?」


 ラリーは何か思い出したのか、しきりに頷きながら話す。


「改革後に買い漁った艦艇じゃないかな? 耐用年数が迫っている艦艇も多いし、下取りで買い換えるつもりか?」


 送られる艦隊の中には、軽空母メレアの艦名もあった。


 ただ、こちらは「改修予定」という文字も付け加えられている。


 ダグはため息を吐く。


「うちの母艦はとっくに耐用年数が過ぎているのに改修だ。左遷先には相変わらず冷たいよな」


 メレアが所属している辺境治安維持部隊は、バンフィールド家内部では左遷先と呼ばれていた。


 その扱いの悪さに三人が不満そうにしているのを見て、エマは何も言えなくなる。


(レメアはとっくに耐用年数が過ぎて、破棄されていてもおかしくないのに)


 何百年も前の戦艦だ。


 ついでに劣悪な環境で運用されたため、幾つもの問題を抱えている。


 何世代も前の軽空母であるため、性能面にも問題がある。


 四人が意気消沈していると、ダグが気分を変えるためかスクリーンを切り替えた。


「――それで、今回の指揮官様はB級騎士のクラウスって奴だな」


 クラウス・セラ・モント。


 その名前を見て、ラリーが眉をひそめる。


「聞いたこともない騎士ですね。というか、中佐? この規模を率いるには、実力と階級が釣り合っていませんよ」


 名もなき騎士の一人が率いるには、随分と規模が大きい。


 モリーはどうしてクラウスが選ばれたのか予想する。


「上にコネがあるとか? もしくは、どうせ第七に行って戻ってくるだけだし、誰でも良かったんじゃないの?」


 ダグも納得した様子で頷く。


「うちは騎士も人手不足だからな」


 人手不足と言ったダグの視線は、エマを見ていた。


 それに気付いたエマは、ムッとするが言い返せない部分もあるため何も言わない。


 自分には足りない物が多すぎる自覚はあった。


 ただ――。


(クラウス・セラ・モント中佐――どんな人なのかな?)


若木ちゃん( ゜∀゜)ノ「みんなのアイドル苗木ちゃんよ。今回もあとがきで宣伝するからよろしくね」


若木ちゃん( ゜∀゜)「【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です10巻】が今月30日に発売よ! Web版にはないエピソードだから、誰でも楽しめるわね! 【モブせかのアニメ】も放送中だから、そっちも応援してくれると嬉しいわ」

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― 新着の感想 ―
これ、彗 星の魔女の初期プロットの元ネタじゃね?
[気になる点] 若木ちゃん( ゜∀゜)ノ「みんなのアイドル苗木ちゃんよ。~ 若木ちゃんなの?苗木ちゃんなの?どっち?
[一言] クラウス
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