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みねちゃん視点

私の名前は、峰山祥子

血のつながりの半分しかない家族との、針のむしろのような生活をしていた


そんな言葉を覚えてしまう小学生なんて、すごくいやで

自分が可哀想に思えて、ううん、可哀想だと知るのが怖くて

いつも小さくなっていた


「いくわよ」

「はい」

吐き捨てられるように命令されても私は従うだけ

義母には行き先も、名前も呼んでもらえないけど

しょうこ、としょうもない子だからだーなんて弟が言い

そこから嫌いになって、泣いてしまって

また、怒鳴られて私は離れに逃げ帰った

家が広くてよかったとおもうけど

母屋から聞こえる賑やかな声

それが、怒鳴り声でも、喧嘩してる声でもうらやましかった


家族してるって、そう感じられて、それがうらやましかった


父は本当の父だけど母のせいなのか、私のせいなのか

父も私を煙たがり、我の強い義母だからお手伝いさんたちも私のことは

腫れ物に触るような扱いだった


本当の私っていうものは、わからないけど

そんな環境でいるから、私は静かに本を読み、唯一でき、与えられる勉強

そして、義母の買い出しにつきあった


そんな時、素敵な出会いがあった

義母たちの井戸端会議に飽きた男の子

それが、裕人くんだった


ゆうとくんは、にこーって光り輝くような笑顔でこちらをみて

きちんと挨拶をしてくれた

すごく可愛くて、素敵だったから、えらいねって褒めると

来年小学生だから、できるのは当たり前なんだぞーって

男の子らしい憎まれ口を聞きながらも、うれしかったみたいで

ぎゅって抱きついて、にこにこ笑って、好きーって言われてた


好きって言われてたのは初めてかもしれない

同じ年頃の弟妹は、いつしか義母と同じように距離を取り

蔑み嘲てきたから

子供らしい、素直な感情が、一筋の光みたに私の中に差し込んできた

それくらい、綺麗で可愛かった


男の子ってすごく素直で、残酷だから

次あったとしたら、きっと、もうこんな風にはならないだろうな

だから、この一瞬がすごく大事で宝物に思えた


学校の友達も、いつしかそうなっていったもの

弟が入って、義母たちと関わると、私の回りから友達が減っていった

それでも、学校でいじめられるとか、グループ学習の時、一緒になりたくないとか

そういうのはなかった

私が学級委員長をしてたからかもしれないけど、ね

だから、勉強だけはしっかりして、中学は無理でも

高校、大学は、遠くにいこうと、あの時からずっと思っていた


ふふ、なんてお利口さんにいってるけど

全部受け売りなの

少し離れた所に住んでいる祖父が、父のことを、すまない、と謝り

私に生きる道を示してくれた


目立たぬように、最後までなす力をと

祖父らしい言葉は、私にしみこみ、その努力だけは怠らないようにした


それに、素敵な思い出という宝物もできたし、この場所で私は恋のしようもなかった

そして、そのきっかけにすら気付けないでいた


だけど、少しずつ解ってきた

それは、ゆうとくんが、教えてくれた

そんな中学生の時だった


私を見つけて、一直線に駆け込んで、ぎゅってあのときみたいに抱きついてきた

おねーさん、おねーさん、一緒にかえろうって

手を握って、にこにこ笑顔で、可愛いままだった


すぐに引き離されちゃったけど

次あった時には、手を振ってくれて可愛かった

だけど、ゆうとくんには、まだ家庭事情がわからないだけで

迷惑かけてはいけないから、と思ってたのに

手を振り返すぐらいのは、って我慢が出来なかった


中学三年間の下校は楽しかった

ゆうとくんは、私の針で示したような帰宅時間に必ずいるようになって

それからは約束して毎日一緒に帰った

遊びにいかなくていいの?って聞いたら、帰ってからいくって元気な返事

おねーさんと一緒がいいって、ぎゅって抱きつかれ

すりよられて困った


だって、少し、大人になってきたから

それを言えなくて、まだブラジャーもしてない時だったから

なおさらだったかもしれない

あの後いうきっかけになったから、そう言う意味でもゆうとくんには感謝かも


お勉強も一緒にした

ゆうとくんは、少しばかり集中力がなくて、あきっぽいところがあったけど

解るとぐんぐん進む子で

種が芽吹くみたいなその様子が楽しかった


おねーさん、先生みたい

そう言われて、嬉しかった

先生になりたいなって少し思ってたから


まだ、将来の夢が決めかねてる

先生は、私みたいな子もみんなみないといけないし

元気な子も、我が儘な子もだ

そう思うと、ちょっと辛いかな、無理かな?

なんて思っちゃうのは、弟妹のせいかもしれない

たぶん、子供でも私は萎縮しちゃうから

そう思って先生の道はあきらめた


そうして、私は、東京の女子大に入学した

寮と下宿があり、最初は寮で暮らしていた


料理ができるなら下宿がおすすめとなんだけどーと途中で言われ

家賃の安い、ほんとにぼろぼろなアパートだけどそこに入った

そのおすすめしてくれた人が今住んでいて

そのまま、冷蔵庫などおいていってくれるらしく

そういった引継ぎが、例年行われてて伝統と歴史のある女子大ならではでしょと

とても親切にしていただけた

見た目がすごく、ぼろぼろだから、最近の子はちょっとね

と言われ、次が決まってよかったってその方はほっとしてた

大学で借り入れしてるわけじゃないけど、大学の子ばかりでいるから

かってできるけど、他の方がはいるとねーと

下宿ルールや、生活リズムがっておっしゃってた


私にとって、初の下宿だし

一人の大事な場所、お風呂もトイレもあるので十分だし

大学の方ばかりで安心できるのもある

大学内でのバイトも始め、仕送り以外のお金もできたので

少しずつ、好きなものを増やしていった


お友達もできたし、そういうお付き合いでもお金は必要だし

いろいろ初めてで楽しかった

お酒は、ふわふわして気持ち良くていいけど、すぐ寝ちゃうらしく

危ないよって、みんなから笑われた


そして、携帯電話も手にいれ、ゆうとくんとのメールが始まった

男いるのー、やっぱりーとか言われたけど

近所の子だよ?といいつつ

少しだけ、ううん、かなり、嬉しかった

合コンは苦手だったから、ゆうとくんには悪いけど口実にさせて貰った


そのゆうとくん、先生してーって、こちらに来ることになり

まさか、お部屋にお泊まりすることになった

男の子と初めてお部屋にいるから最初緊張したし

むしろ、お迎えの時から緊張しっぱなしだった


来なかったらどうしよう、からかわれてるだけだったら

そう思っちゃう自分がいやで、だけど、払拭出来ずにいたら

当の本人のゆうとくんが、昔みたい、叱られて

仲直りさせてもらった

男の子に抱きつくのはかなり、恥ずかしいけど、私が悪かったので頑張ったら

ゆうとくんは、かっこよく、嘘はつかないって言ってくれた

基はかわらないけど、どんどん男の子になってかっこよくなっていく


だから、だから、蓋をした

私がゆうとくんを好きだっていうことに

そして、ここまで来てくれるという行動力の意味にも蓋をした


もう、知ってるでしょ?

わかってるでしょ?

私はあなたと釣り合わないことを・・・


そう思ってるのに、ゆうとくんと会うのを止められなかった

たかだか二時間とはいえ、電車賃もかかるし

どう言う理由でこちらに来てるのかはしらないけど

ゆうとくんのお母さんにしられれば、きっと、止められることだろう


だから、せめて、せめて、名目であるだろう勉強の結果だけは残しておきたかった


高校は、私が通ったところに合格し

その後も、月に一回は、来るようになった

私も大学院に進み、将来を見据えていた


大学受験の勉強しなきゃなのに、行くって言われ

教えられないよっていうのに、来てくれて、嬉しかった

みねちゃん分補給って言われ

私も、ゆうとくん分補給と素直に言葉がでて

それもびっくりしたけど

ゆうとくんといると、素直になれる


それに、お隣にはいってきたちかちゃんのおかげかも

やっと私に親友ができて

昔の話をしたり、ゆうとくんの話をしたり

そして、こっそり蓋をしたはずの恋心を話したりした


もう、好きって自覚しちゃったんだね~

ってちかちゃんはいう

だけど、駄目なのっていうと、駄目って出来てないよ

ってけらけら笑われた


だって、ちかちゃんからお布団まで借りる算段してるんだもの

そう言われても仕方なかった

終わらなきゃいけないんだけどね・・・というと

どうなるかは、任せてみるのもいいかもよ

なんてちかちゃんは、笑う


お任せしてたら、ゆうとくんは私の隣にいつの間にか立ってた

きゅっと指につけられた、シルバーリング

え、と思い、目を開けてしまった


ちゅっとキスされ、慌てた

手を取られ、プロポーズされた


昔から、あの出会った時から、ずっと好きだと

忘れてないよって

そして、これからもと・・・


もう、もう・・・

蓋は溶けてなくなった

私も、ゆうとくんが好き

その思いは溢れでて、ぎゅっとゆうとくんを抱きしめる

とくとくと心臓の音が聞こえ

ゆうとくんも緊張してるのがわかった


ありがとう

私は、涙が滲む顔を隠すように埋める

そして、ちゃんと応えた


私の好きです、結婚して下さいと・・・


もう、もう、幸せになりたい

そして、ゆうとくんの事を思って辛い思いをしたくない


誰かと結婚するのかな、お付き合いしてたよね

そんな風におもって、心がずきずき痛む日々はさよなら


私は、初恋の人にすべてを捧げる

これからはずっと一緒と、手を繋ぐ

世界一幸せなお嫁さんになれた


ありがとう、ゆうとくん、ありがとうおじぃちゃん


逆視点をといわれましたので書き下ろしてみました

おしまい印ついてなかったんですね、この話

ということで、おしまい印つけて、完結です

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