表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いずれ覇王と成る君へ  作者: エマ
自浄自刃編
47/73

第46節 イカれたオルゴール



「せんぱーい、息苦しいし暑苦しいです〜。これとっていいです? 」


「ダメに決まってんだろ、作戦が台無しになる 」


 ヘレダントへと繋がる平原。

 そこを1000人を越える大量の部隊で走り続ける。


「というかこの布ってなんの意味があるんっすか? 気味悪いっすよ〜 」


 周りを見ても、みんなが顔に布を巻いて誰が誰だか分からない。


「お前、作戦聞いてなかったのか? 」


「聞いてましたけど忘れました〜、脳みそ半分溶けてほとんど覚えられないんっすよ〜 」


「……じゃあ簡潔に話す。今回の目的はアキラと2位との接触、あともう一つの計画は本人しかしらねぇ。俺たちの任務はそれが果たされるための時間稼ぎ。顔を隠してるのは、アキラが俺たちに転生したときに悟られないためだ。いくら不死身とはいえ、1位をその気にさせたら何が起こるか分からないからな 」


「ふーん、じゃあ私たちって囮なんですね 」


「……1位を殺すためだからな。まぁアキラは誰にも強制しちゃいねぇ、お前も逃げたかったら今すぐ逃げろ 」


 顔は見えないけど、その声はとても優しかった。

 まるで私に死んで欲しくないと言いたげな……そんな声。


「……いやー、大丈夫っすよ別に。身内なんてみんな死にましたし、私ももうすぐ死にますからね〜。まぁあれですよ、1人で死ぬよりみんなで死にたいって感じです 」


「……すまんな 」


「謝んないでくださいよ〜、私たちの仲じゃないっすか〜 」


 ヘラヘラと笑い、先輩の服をつまむ。

 今死んでも、離れ離れにならないように。


「っ、見えてきたな。散開用意!!! 」


 先輩の大声で顔を上げると、布越しにあれが見えた。

 巨大な壁……ヘレダントを囲む壁が。


『あーあー……この警告を聞くもの、一切の希望を捨てよ 』


 瞬間、脳内に声が聞こえた。


「おいでなすったな……10位!! 全員散開!!! 生存者を一人でも残せ!!!! 」


 遠目にある壁の上。

 そこに誰かが立っている。


 桃色の髪……そしてその手にはマイクが握られている。


『能あるものは自害せよ、愚者なるものは武器を持て。私はすべてを殺すもの、私はすべてを平すもの。そして……あなた達にとっての死神となるものです!!! 』


「来るぞ!! 衝撃に備えろ!!! 」


『天陸宇下 第10位 【十の切り札(テン・ジョーカー)】 さぁ! 大虐殺の始まりで……え? 』


「おいどうした!? なんで止ま……は? 」


 いつの間にか、自分の足が止まった。

 みんなの足が止まってる。


「なに……あれ…… 」


 とつぜん夜になった空。

 そこにある『何か』から目が離せない。


 数千はある黒く長い手が、花弁のように咲いている。

 その中央には長い足が雄しべのように開き、その中央には……夜よりも闇よりも深い、黒がある。


『ちょっとぉ!? なんで2位のあなたがここに来るんですかぁ!!!!? 』


 黒がドクンと脈打った。


(何この……音は? )


 物寂しい、音の外れたオルゴール。

 騒ぐようなカラスの声。

 誰かを呼ぶような……赤ちゃんの声。


「ぁえ? 先輩? 」


 先輩がいた場所には、ハエが集る赤紫色の肉塊があった。

 それを人の歯をもつカラスが食べている。


「ぃっ……え? 」


 お腹に痛みが走った。

 気がついた。

 赤ちゃんの声は……私のお腹の中から聞こえてる。


「ぁ…… 」


 あまりの痛みで地面に倒れる。

 すると無数のカラスが、私のお腹の方に集まってきた。


「……ダメ 」


 重い手でカラスを払う。

 それでもカラスは群がり、私の手を噛みちぎった。


「ダメ……私の赤ちゃんだから……ダメ…… 」


 手を払うたびに、手が軽くなっていく。

 足をばたつかせるたびに、骨に風が当たる。

 白いカラスの歯が、赤く染っていく。


「ぁ……ぁ…… 」


 気がつけば、お腹は破れていた。

 何かがゆっくり……内蔵をかき分けながら顔を出した。


「アァ!! アァ!!! 」


「ふふっ、ふふふ 」


 見えない赤ちゃんが産声をあげ、ゆっくりと胸の方に這い上がってくる。

 その子を骨で抱きしめ、ゆっくりと夜に掲げる。


 すると赤ちゃんは、夜から降りてきた腕に潰された。


「ごぼっ!! わだじの……あがぢゃ…… 」


【『夢恐魔術(むきょうまじゅつ)』 】


 必死に息をしようとしても、赤ちゃんの血のせいで息ができない。

 もがこうとしても、いくら咳をしても、血は肺を埋めつくした。


「ぁ……ぁぁ……ぁぼ…… 」


溺愛(できあい)


 最期に……頭を撫でられた。


 


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] オウフッッ、黒背景回!案の定の怖さ!!!(゜ε゜;) 2位もまた別の思惑ありですかねえ。盤面荒れまくってますね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ