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マイグレーション 〜現実世界に入れ替わり現象を設定してみた〜  作者: 気の言
Phase2 警視庁公安部公安第六課突発性脳死現象対策室

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SS5 (1) お台場

 ある事件の捜査資料を受け取るため、事件を担当していた湾岸警察署に僕達は来ていた。

 メンバーは手塚課長と深見さんを除いた、マノ君、美結さん、市川さん、丈人先輩、那須先輩、僕の六人だ。

 諸々の手続きを終えて、事件資料を受け取った僕達が警察署を出る頃には外はすっかり夜になっていた。

 思ったより手続きに時間が掛かってしまったこともあり、皆お腹が空いていたので近くで適当に夕食を摂ることになった。

 全員が全員、食べたい物のジャンルがバラバラだっただめ、僕達は近くの大型ショッピングモールのフードコートに来ている。

 フードコートならそれぞれ好きな物を自由に頼めるという点からフードコートに決まった。


「ったく、なんで手続きをするだけでこんなに時間が掛かるんだよ。資料を受け取るだけなんだから、サッと確認してさっさっと渡してくれればいいだろ」


 頼んだご飯ができ上がるまで席に座って待っているマノ君が番号のシールが貼られた呼び出しベルを持ちながら愚痴をこぼす。


「その確認が中々サッとやることはできないんだよ。けど、もう少しスムーズにするためのやりようはあるとは思うね」


 丈人先輩も完全とはいかなくとも、概ねマノ君の愚痴に賛同している。

 正直、僕もここまで待たされるとは思わなかった。

 できれば、もう少し早く手続きを終わらせられるようにして欲しいかな。


 そういえば、カーキグリーン色のコートを着た脱サラの刑事さん見かけられなかったな。

 湾岸警察署だから、もしかしたらいるかもって思ったんだけど……

 さすがに、いないか。

 ドラマの見過ぎかも。


「ねぇ! せっかく、お台場まで来たんだから帰りに夜景が綺麗に見える公園に寄って行こうよ!」


 美結さんが力強く、そんなことを提案する。

 市川さんも美結さんの隣で力強く頷いている。

 もしかすると、六課の女性陣は事件資料を受け取った後の余った時間でショッピングを楽しもうとしていたのかもしれない。

 だけど、想像以上に時間が掛かってしまったせいで今日はもうショッピングを楽しむ時間はない。

 せめて、綺麗な夜景でも見て帰りたいということなんだろう。


「お、いいね。たぶん、それぐらいの時間はあると思うから夕飯食べ終わったら皆で行こうか」


「そうですね。東京に住んでても、こっちの方にはこういう用事でもない限りあまり来ませんしね」


 あの辺りから見える夜景は綺麗で、よく写真とかで目にしたことがあった。

 実際にこの目で見たことはないから、ちょっと楽しみだ。


「アンタもいい?」


 呼び出しベルで手遊びしていて、こちらに反応を示さなかったマノ君に美結さんが直接聞く。


「うん? あぁ、いいよ」


 わざわざ自分に直接聞いてきたことにマノ君は怪訝な顔をする。

 おそらく、原因はマノ君のイメージだと思う。

 マノ君はあまり積極的に夜景を見に行くようなタイプには見えない。

 むしろ、夜景なんか見て何が楽しいのかと嫌がりそうだ。

 事実、マノ君は夜景の話題について一切興味がなさそうだった。


「え、そう? じゃあ、決まりね!」


 マノ君があっさり承諾したことに拍子抜けしながらも美結さん達は嬉しそうにする。


「あれ? ところで、那須先輩はどこにいるんですか? まだ、注文から戻って来てないみたいですけど」


 席を見渡しても、那須先輩の姿はどこにもなかった。


「波瑠見ちゃんなら、夕食返上して7階に買い物に行ったよ。一応は止めたんだけどさ、なんか『見せて貰おうか。ベース限定のガンプラの性能とやらを!』とか叫んで走って行っちゃったんだよね」


「そ、そうなんですか……」


「相変わらずですね。あの先輩は……」


「アタシ達もそうすればよかったかな?」


「何言ってんの。買い物よりちゃんとご飯を食べることの方が優先に決まってるでしょ。買い物は買い物で、また今度ね」


 那須先輩の行方を聞いて、僕達はついつい苦笑いが出てしまう。

 美結さんだけは那須先輩の異常な行動力に揺れていたけど。


「あ、そうだ。たしか、外を出たところにユニコーンの立像があったから、ついでにそれも見て行こうか」


「言われてみれば、なんかデカいロボットみたいなの立ってましたね。丈人先輩、詳しいんですか?」


「う~ん、俺もそこまで詳しいってわけじゃないんだけど、小学校高学年くらいの時にちょうどそのアニメがテレビでやって視た覚えがあるんだよね。内容はなんとなくでしか覚えてないんだよ。皆も名前くらいは聞いたことあるでしょ。このアニメのシリーズはかなり有名だし」


「まぁ、名前くらいはありますね」


 マノ君が思い出すように言う。


「調べてみたんですけど、その立像動くみたいです。動く時間もご飯を食べ終わったぐらいになりそうなので、ちょうどいいかもしれません」


 市川さんが赤色に発光した立像の写真が表示されたスマホの画面を僕達が見えやすいように向けてくれた。


「お~夜だといい感じに光って見栄えしそうだね。なら、食べ終わったらユニコーンと公園に夜景を見に行こうか」


 丈人先輩がそう言ったところで皆の呼び出しベルが鳴ったため、それぞれが注文したお店へご飯を取りに行った。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

次話の投稿は一週間前後を予定しております。


少しでも面白いと思った方、ブックマーク、ポイントをして頂ければ幸いです。

よろしくお願いいたします。


活動報告も書いています。

よろしければそちらもご覧ください。

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