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不浄のアルバ  作者: 北郷 信羅
第6章 王都から未来を目指して
89/106

89.魔女と残香

「リンド・アルバート、及び魔女アリア・クリストン!」


 と、兵を率いる(おさ)と見られる男が声を上げた。


「アルバート王制に対する反逆を図った罪で、王より処刑の命が下っている! 観念せよ!」

「あら、もう処刑まで決まってしまったのね」


 思わずくすくす笑みを漏らすアリアに、リンドが「笑ってる場合か」と呆れ交じりの声を向けてきた。

 そして、指示を出してくる。


「俺が門の側の兵を片付ける。その間に、無関係な人間を避難させてくれ」

「分かったわ」


 と返す間に、リンドはもう飛び出している。左手で剣を抜き退魔の力を乗せて振るって、門を(ふさ)ぐ兵たちを気絶させていく。


 役割分担としては、妥当なところだろう。

 街の人々を(おど)かして退避させるならリンドの退魔の力も有効だが、それだと広範囲に広げられた彼の力によってアリアが魔法を使えない。そうなると、先のような射に対応できない。


 分担に納得したアリアも、すぐに自分の仕事に取り掛かる。

 まずは向かってきた兵士に岩を打ち当てて、後ろから続く兵諸共倒す。

 そして纏まって倒れた彼らの手足を瞬時に氷結させて、動きを封じた。


「クソっ、この程度のことで―――!」

「この程度で諦めて下さいな」


 声を漏らす兵に、アリアはそう返す。


「協力関係にあるリンドの意向があるから殺さない方法を選んでいるけれど、あんまり足搔(あが)かれると仕方無く(・・・・)目を焼き鼻と口を凍らせて耳から耳へ刃を通してしまうかもしれませんわ」

「……」


 にこりと笑むアリアを前にして、眼前の兵たちは固まった。退魔の力を使う必要も無い。

 だが、それで全てが済んだわけでは無い。


 再び矢が飛んでくる。

 顔面に向かって飛んできたそれを見やったアリアは、微動だにせず(すんで)の所で壁を作って防ぐ。


 それで射た兵の位置も把握した。

 即座に魔法を放って、対象の身体を氷漬けにする。


 それが済むと、ようやく機会が訪れた。

 アリアはたっと前へ出て、高く右手を掲げる。


「死にたくなければ、去りなさい」


 叫ぶで無くだが明瞭な声で言ってから、その右手を振り下ろす。

 それと同時に、彼女の前方にざばと広く水が降った。


 赤い水だ。それが門から続く東西通り上に降ってびちゃびちゃと跳ねる。(さなが)ら血のように。

 それを見た人々は悲鳴を上げ、我先にと大通り上からその外へ向かって逃げ出した。


「……趣味が悪いな」


 傍でリンドが呟く。後方は既に片付いたらしい。

 その彼に、アリアは言葉を返す。


「けれど、安全()つ効果的でしょう? 誰だって血を見るのは怖いもの」

「お前もか?」

勿論(もちろん)


 と彼に答えると、疑いの眼差(まなざ)しを向けられた。


「―――一応訊くが、これはただの赤い水なんだよな」

「完全に再現しようとすると、手間がかかるからね。あなたを治療した時みたいに」

「そういう言い方をされると嫌な感じだな。何だか自分の血を()かれたみたいだ……」


 リンドの無表情に、不快感が見えた。

 そんな彼に、アリアは言う。


「あなたのものとは違うと言ったでしょう。―――けれど嫌なら、(つい)でに消してしまえば?」

「そうする」


 答えて、リンドはアリアの前へ踏み出した。

 そして駆けてくる兵に向かって剣を()いで彼らを気絶させると同時に、そこへ撒かれた赤い水を消し去る。


 通りを進んで行くリンドに続いて、アリアもその足を前へ進めた。

 東西通りを行き、その中間点辺りから北方向へ伸びる中央通りへ折れる。その北の端に、アルバートの王城とクリストンの邸宅があるのだ。


「私も、もう気兼ね無く戦えるわね」


 呟きながら、通りの先に見える兵たちを突風で吹き飛ばす。―――が、その風は突如として掻き消されてしまった。


「あら……、早速のご登場ね」


 口にするアリアの傍で、リンドも剣を構え直す。

 二人が見据えるその先―――北へ向かう中央通りの真ん中に、純白の皮鎧を着た一人の中年の男がいた。


 レイド・アルバート。ギルト王の兄だ。

 心労が多い所為(せい)(かつ)て黒かった髪は灰色に変わっており、顔には深い(しわ)が刻まれている。だがその深い皺のために、厳格な顔つきには昔よりも迫力があった。


「ギルト王に一番近い側近の方に態々(わざわざ)お出迎え頂けるなんて、光栄ですわ」

「その言い方は不愉快だ。魔女アリア」


 とレイドは、ぎろりと鋭い視線でアリアを射貫く。

 弟の使い走りのように言われるのは、彼にとって嫌なことだろう。

 無論、アリアは分かった上で言っているのだが。


「剣の技量と体力で考えれば、あんたが一番目と言うのも納得がいく。知識の集積はあるだろうが……、事実上ギルト王はあんたを捨てたみたいだな」

「口を(つつし)め、リンド!」


 レイドが一喝するが、リンドは動じない。もう幾度となく怒鳴られていて、慣れているのだろう。

 リンドは構わずに、言葉を継ぐ。


「降参してくれ。身内を斬りたくは無い」

「……お前の場合、身内で無くても斬れないだろう。大方、魔法王も討てずに逃げ帰ってきたのだろう?」


 そう言って、レイドは右手を腰に携えた剣に伸ばす。それを見て、リンドも身構える。


 だがレイドの手は、剣の柄には掛からなかった。

 その手は、傍に下げられた布の袋に突っ込まれる。


「リンド。アルバート(わたしたち)に歯向かう覚悟が、お前にあるのか?」

「ある」


 とリンドは即答する。


「だからこうして―――」


 と続けようとして、彼の言葉は途切れた。

 その視線は、レイドが袋から取り出したものに釘付けになっていた。


 髪だ。金色の髪の束。

 そのような美しい色の髪の持ち主としてアリアが思い浮かべられるのは、二人しかいない。

 一人は、ミネア・ソートリッジ。だが、彼女の髪をこの場で提示しても大した意味は成さない。

 つまり、それはもう一人の人物のものと言うことになる。


「……サーシャを、どうした」


 リンドの口から、低く若干震えた声がした。あまり聞かない感情が表出した声だ。

 その感情は、恐怖と怒り……だろうか。


 リンドの変化を見て、しかしレイドは動じなかった。

 にやりと笑みを浮かべて、彼はリンドを見下ろす。


「覚悟はどうした。お前はたった今、『覚悟はある』と言ったはず―――」

「サーシャをどうしたかと聞いてるッ!」


 リンドが声を荒げてレイドを睨んだ。

 同時に、退魔の力が発動したらしい。その威力に、アリアは思わず一歩退いた。


 レイドもまた、恐らく見たことが無いであろうリンドの形相に一瞬たじろぐ。

 だがすぐに落ち着きを取り戻して、その手に握っていた髪の束を地に落とした。


「アルバート家に生まれたお前は、よく知っているはずだ。我らはこの王国を乱す者を許さない。―――徹底的に、潰す」


 言って、レイドは髪の束を踏み付け、(にじ)る。

 その拍子(ひょうし)に束ねていた糸が解けて、髪は風に吹かれ舞い上がった。

 リンドが手を伸ばすが、もう届かない。金色の髪はきらきらと光を反射しながら、遠くへ運ばれていった。


「……」


 何も掴めなかったリンドは、肩を落とす。

 それと対照的に、レイドは勝ち誇った様子で胸を張った。


「リンド。ダートを(あや)め王都を(おか)そうとした大罪人であるお前にできるのは、もう大人しく討たれることだけだ。そうすれば、地獄でお前の使用人にも会えるだろ―――」

「この王国を乱す者を、許さない?」


 リンドが呟く。そして、(かぶり)を振った。


「国を乱しているのは、お前たちだろ……!」

「リンド、落ち着いて」


 アリアが声を掛けるが、彼には全く届いていないようだった。


「国を乱す者を叩き潰すのがアルバートの流儀なら、俺もそれに(なら)ってやる―――!」

「リンド」


 今度は肩を掴んで呼び掛けるが、ばっと強く()()けられてしまった。


 そうして、リンドは駆け出す。強い退魔の力を四方に広げながら。

 対するレイドも右手で剣を抜いて、リンドが振り下ろす刃を打ち払う。


「良い度胸だ。―――だが、無駄と知れ」


 レイドは再び斬り掛かるリンドの剣を逸らして、即座に斬り返す。

 リンドの方もそれを受け流して反撃に出るが、大振りでレイドの首を狙う直線的な攻撃ばかりだ。

 平生(へいぜい)の彼であれば優位に立つこともできようが、これでは勝ち目が無い。完全にレイドの策略に()められていた。


「さて、どうしようかしらね……」


 呟きながら、アリアは後方へ跳ぶ。

 その眼前を矢が抜けた。

 リンドの退魔の力が広く展開されてしまっているために、魔法が使えない。この状況ではアリアも、射に対して(かわ)すことしかできない。


 無論アルバートと戦う上で魔法が決め手にならないことは分かっていたので、策は用意してきている。

 その「秘策」は二つ。ここが一つ目の使い所かもしれない。―――が、


「まずは、王子様の目を覚まさせないとね」


 呟きながら、アリアは駆け出す。


 レイドに押され、リンドは(かす)る程度ながらあちこちに傷を負っていた。あまり周囲に意識を向けている余裕は無さそうだし、あったとしても彼の意識はレイドに集中してしまっている。

 だが、相手はレイドだけで無い。アリアに矢を射た兵は、リンドも狙っている。


「リンド、矢に注意なさい!」


 呼び掛けに応答しないリンドが、剣を振り薙いでレイドを撥ね除ける。

 二人の間に距離が生まれたその時こそ、射の絶好の機会だ。


 アリアは即座にリンドへ体当たりして、彼を地面に押し倒す。

 その瞬間に、右上腕を矢が掠めた。


「アリアっ、邪魔を―――!」


 声を上げようとする彼の頬を、アリアは右の平手で思い切り(はた)く。

 ぱちんっと言う音が、よく響いた。


 同時に叩いた(はず)みで、アリアの右腕を伝った一筋の血が彼の顔にぱっと掛かる。

 それで彼は、我に返ったようだった。

 そのことを確認して、アリアはふっと笑みながら彼に身を寄せる。


「目は覚めたわね。覚めたなら―――」


 声に応じて、リンドが右腕でアリアを抱き寄せながら身体を起こす。

 そして同時に、左手に握る剣を彼女の後方に向かって突き出した。


「ぐぅっ……!」


 リンドの剣の先は、襲い掛かろうとしていたレイドの脇腹を浅く突いていた。

 彼を退かせるには、それで十分だった。


「悪い」


 立ち上がりながら、リンドが謝罪してくる。


「大丈夫か」

「掠っただけよ。これであなたの目が覚めたのなら、安い代償だわ」


 そう返しながら、アリアの目はもう矢を放った兵の方へ向いていた。

 その次の瞬間には、兵士の身体が凍り付く。

 広範囲に滅多矢鱈(めったやたら)に展開されていたリンドの退魔の力は、解除されていた。レイドも力を使っている余裕は無いようだ。


「―――では、レイドおじ様を破滅させるために手伝って頂戴(ちょうだい)


 言って、アリアは剣を構え直したレイドに視線を向けながら言葉を継ぐ。


「リンドの役は、おじ様を足止めすること。できる?」

「やる」


 と答えて、リンドは駆け出した。


 それを見送って、アリアも自分の役に徹する。

 周囲を警戒しながら、その時が来るのを待つ。


「リンドォ! 現実は、何も変わっていないぞっ!」


 リンドと剣を打ち合わせたレイドが、声を張る。


「お前の使用人は、お前の軽率な行動の所為(せい)で死んだ! どれほど私に(あらが)おうとも、あの女は帰って―――」

「仮にそれが真実だったとしても、それなら尚更こんな所で俺は死ねない。死ぬことは許されない」


 リンドは静かに、だが強い口調でそう返す。

 そしてその声のように、彼の剣は粛然とした太刀筋でダートの攻撃を弾き返す。いつもの彼の強さが戻ってきたようだ。


 打ち込んでいくレイドに対してリンドが退くことは無く、何度やっても攻撃を(さば)かれて後退するのはレイドの方だった。


「……どうしたんだ。あんたは、もっと強かった気がするが」


 (あお)るリンドに、レイドが「調子に乗るなッ」と激昂(げきこう)する。

 そして正面から剣を叩き付けて、受けたリンドを押し込みに掛かる。それでも、リンドが下がることは無い。


「三兄弟の中でも、ただ一人魔法王討伐の旅には出ていない。剣の扱いは実戦に即していない。そして体力も衰えてきた。―――もう落ち目なんだ。あんたは」

「黙れェっ!」


 叫び、レイドは剣に左手を添えてさらに強くリンドを押し込む。

 それでリンドが、ざっと一歩後ろに退いた。

 レイドが不敵に笑む。


 そこで、リンドの後背からアリアが飛び出した。

 そしてレイドの横へ動くと、右手を彼に差し向ける。


「無駄だ!」


 とグレイが剣から左手を離して、アリアに向けた。

 間近で受ける退魔の力に、ぐっと胸を締め付けられるような感覚が起こる。


 魔法は使えない。

 だがそもそも、レイドを焼き払ったり氷漬けにしたりすることはアリアの目的で無かった。


「―――(おご)る老兵には、現実を」


 呟きながらアリアは、差し向けられたレイドの左の掌に自分の右の掌を重ね合わせた。

 そして可能な限り速く、頭を回転させる。


「何を―――」


 と言い掛けたレイドが、はっとする。

 彼が発動していたはずの退魔の力が、解除されていることに気付いたのだろう。


 レイドは即座にアリアの手を振り払う。

 それからその左の掌を見て、目を見開いた。


 そこに、もう黒龍の印は無いのだ。


「馬鹿なっ、これは……!」


 動揺したレイドをリンドが押し返して、力強く剣を振り薙いだ。

 それでレイドは剣を取り落とす。剣は地を滑って、中央通りから伸びる路地の方まで流れた。そこにまだ街の人々がいたのか、ざわざわっと声が聞こえてくる。


 リンドの動きは、まだ止まっていなかった。

 剣を失って焦るレイドの方へ踏み込むと、もう一度剣を薙ぐ。

 剣身はレイドの腹部に食い込み、だがその肉を裂くこと無く彼の身を撥ね飛ばした。

 鍛冶士グルードに頼んでいた通り、リンドの持つ剣は片刃になっているようだ。近くから見てもそうと分からないようにしてくれ、と言う注文にもしっかり応えられている。良い出来映えの剣だ。


「ぐ、ぅ……!」


 地を転げて通り沿いの石造りの家にぶつかったレイドは、()せ返りながら呻いた。

 そして、ぎろりこちらを睨む。


「貴様っ、何をした……!」


 それに対してアリアは、にこりと柔らかな笑みを返す。


「あなたに掛かっていた魔法を、解かせて頂きました」

「ふざけるな! 一体どんな細工を―――!」

「俺の退魔の力は、アリアから(もら)ったものだ」


 とリンドが言った。その唐突な告白に、レイドが「何を言って……」と怪訝(けげん)な顔をする。

 そんな彼を見下ろしながら、リンドはアリアに声を向けてきた。


「退魔の力を与えられるなら、奪うこともできる。―――そういうことだな?」

「ええ。もう何度も成功しているわ」


 アリアが答えると、レイドは思い当たったようだった。


「……各地での魔女の目撃情報が聞かれてから、そこにいるはずのアルバートから応答が無くなった。まさか、彼らの力を―――」

(おっしゃ)る通りですわ」


 とアリアは微笑む。

 各地のアルバートは、既に退魔の力を失っている。皆周囲に知れることを恐れて引き()もっていることだろう。


 愕然(がくぜん)としているレイドを前に、アリアはすっとスカートを持ち上げて丁寧に挨拶した。


「では、ご機嫌よう。退魔の力を失ったレイドおじ様」

「やめろ」


 言って立とうとしたレイドの脚が、凍り付く。

 ばたと転んだ彼を見下ろして、アリアは繰り返す。


「退魔の力が無くても、おじ様ならきっと生き延びられますわ。退魔の力が無くても」

「やめろと言って―――!」


 声を上げようとしたレイドが、何かを感じ取った様子で後ろを振り返る。

 そこには、無表情な街の人々がいた。


「やめろっ! 私に何かあれば、他のアルバートが黙っていないぞ!」

「他も無力化されていますけれどね」


 アリアは微笑みながら、退路を断つ。

 それでレイドは、兵たちに助けを求めた。


「おいっ! お前たちもぼさっと立っていないで、この連中を追い払え!」


 その声に、しかし彼が率いていたはずの兵は誰も動かなかった。皆声が聞こえていないかのように、行動しない。


 それを見て、レイドは青()めた。

 そして今度はリンドに声を向ける。


「リンド! 身内を殺したくないと言っただろう!? これで良いと思って―――」

「……そうだな」


 と、リンドは応えた。

 そして、レイドに迫る人々に目を向ける。


「殺すな。―――そんな簡単に楽になってもらっては、困る」


 言ってから、リンドは再びレイドを見た。

 その彼は、固まっている。


「これで、良いだろ」

「待て、リンド、待て……!」


 くるりと背を向けたリンドを呼ぶレイドを、人々が囲む。


「待てッ! 私は、国王ギルトの兄だぞッ! 狼藉(ろうぜき)を働けば無事では……! やめろッ! やめっ―――!」


 それ以後の音を聞くのをやめて、アリアも王城の方へ向き直った。

 するとその視界の端で、リンドがしゃがんでいた。


 その彼が地面から拾い上げたのは、一本の髪だ。金色に輝いている。


「死んではいないと思うわよ」


 とアリアは、彼に自分の考えを述べる。


「本当に殺したのなら、レイドおじ様なら首を持ってくるでしょう。けれどそうでは無かった。だから恐らく、他に使い道があってギルトおじ様が生かしているのだと私は思うわ」

「……俺も、そう思う」


 と応えつつ、リンドは髪をぎゅっと握ると腰に下げた袋に収めた。

 それから立ち上がって、前を向く。


 その先には王城と、そこへ繋がる橋を守る兵たちの姿が見えた。


「行こう」

「ええ」


 彼の声に応じて、アリアも歩き出す。

 そして右手を、前方に差し向けた。


「―――もう少し、派手にやっておきましょうかね」

■登場人物(キャラクターデザイン:たたた たた様)


【レイド・アルバート】

挿絵(By みてみん)

リンドの叔父。四十歳。長男として厳しい教育を受けたこともあって、伝統や格式に(うるさ)い。武術では弟たちに劣り、三兄弟の中では唯一魔法王討伐の旅に出なかった。故に兄ギルトに王位継承権を奪われ、彼を補佐する役を担うことになった。

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