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人物補足
途切れた記録の、終わりを綴ろう。
この記録を流し読んだ限りでは、英雄の物語は未来から魔法を持ち込んだ者たちによる争いが発端のようだ。
魔法を最初に持ち込んだ人物。それは、長く魔法王として君臨し続けたソートリッジ家の祖らしい。この人物が魔法を島に広め、魔法王国を築くに至った。
その後ソートリッジの祖を追ってきたのが、クリストンの祖だった。この人物が「英雄」としてアルバートを見出だし、それによって現在の構図が生まれるに至った。
正確な経緯は、きっとこれから聞くことになる。だが少なくとも、あの世界において大きな役を持っていた二つの家の本性は視えた。
詰まるところ、私はより祖に近い存在として世界から弾かれたのだ。
しかしこれで、偽物の世界は元の形を取り戻すのだろう。




