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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
蜂の巣ダンジョン編
104/206

ダンジョン崩落

  丘の民の族長……つまりエルフの(おさ)から呼び出しがあったのは前夜に降った雪が厚く積もった晴れた朝だった。


「せっかく雪遊びができると思ってたのになぁ」


「昨夜に話してた雪だるま?」


「んぁ、雪だるま作りたかったなの」


 ヴァルトゼとファンデラが蜂の巣ダンジョン入りを休んでまで来たのだ無視は出来ない。

 それに何だか顔がシリアスだ。


「何か問題でも?」


 心配性ホットドッグのイドリーが更にシリアスなドーベルマン顔で質問する。


「いや……それが」


「ファンデラ! 勝手に話すのは不味(まず)いぞ」


 はっきり話さない2人だが、どうやらデスリエ王女と丘の民の族長が揉めている様子だ。





 雪で歩き辛いかと思ったがスランバーコール集落を出て少し進むと雪()きがしてあった。

 只の雪()きではないが……


「何なの? あれ」


「あらあら、面白いわ」


 魔法の雪掻きだ。


 最初に見たのは火属性魔法で溶かして進む3人組。

 これもギルドからの依頼の内らしく、あの3人はパーティなのだとペカンが教えてくれた。


「あんな方法もあるんですね」


 次に見たのは水属性の氷魔法で雪を媒介として氷の彫像を作っていた。

 魔法オンリーでない為に楽なのか広場に巨大な雪面鳥の像が完成していた。


「アーモンの作ろうとしてた雪だるまも、こんな感じだったの?」


「あ、いや……もう少し素朴な……」


 雪だるまを作ろうとしていた事が恥ずかしくなる出来映えだった。

 初めて見る魔法や雪掻きの方法で退屈するひまもなく丘の民の族長が執務しているという役場前へと辿り着いたが……


「大変なんだ! ヴァルトゼ、蜂の巣ダンジョンへ行ってくれ」


「ヘカタ様とデスリエ様が喧嘩を始めてしまった」


 あの2人が街中で暴れては街ごと消えてしまいかねない。

 そこで蜂の巣ダンジョンで決着をつける事になったそうだ。


「すまない! 着いて来てくれ」


 ここまで世話になりっぱなしのヴァルトゼ達を無視する訳にもいかず着いて行く事になった。





 ヴァガーン!


 ズザァアァァ!


「あらあら、大変」


「……入口……ない」


 地上に出ていた蜂の巣ダンジョンの入口……

 タイガービーの蜂の巣一つ分が崩落し見る影もなかった。

 しかも中からは壮絶な音が響いている。


「ゲホッ、ゲホッ」


 瓦礫の中から人が出て来た。


「大丈夫か?」


 駈寄(かけよ)るとトラブルポーターのマテオだった。


「あ、アーモン君ありがとう」


「人の悪い噂ばかり流すからバチが当たるんだぞ」


 言われてもしょうがないマテオだが、いま言ってやるのは可哀想だったかな?


「マテオどうなっている?」


「ファンデラさん、メチャクチャですよハンターズネストは無事ですが皆、閉じ込められてます」


「本当よー、無事です」


 ペカンの青い瞳が輝いて魔眼、千里眼が発動している。


「ペカン、デスリエ王女達を見れる?」


「位置が分からないよー、でもやってみる、です」


 見えたけど煙ばかりで把握出来ないとの事だった。

 だったらとピスタの解析眼を発動した。

 そのタイミングで俺も金環を発動、瞳のゴールドリングが輝く。


 ハンターズネストからは遠いエリアなので安心だが壮絶な魔法の撃ち合いなのが見て取れる。


「ちょっと待って、それなら」


 今度はラッカの山吹色の瞳が輝いて魔力視が発動。


「おいファンデラ! お前ここまでのヘカタ殿を見た事あるか?」


「いや、初めて見る」


「……直しながら……戦う?」


 入口エリアを破壊した反省なのか? 丘の民の族長ヘカタもデスリエ王女も魔法攻撃しつつ壊れたダンジョンを修復すると言う離れ技を、やってのけていた。


「それも凄いですが魔力の起伏(きふく)も半端ないですね」


「多いよー、数も種類も、です」


 2人で戦っているのに属性バラバラの魔法攻防……

 普通なら、ありえない事が起きていた。

 ただ……


「でも、母ちゃん多分これ手加減してるぜ」


「なっ!」


「いや、ヴァルトゼよ、ヘカタ殿も噂に聞いている極大魔法は一つも出しておらんぞ」


「こんな、滅茶苦茶な喧嘩しといて加減してるとか意味が分かんないんだけど?」


 そこで驚く事が起きた。

 2人の様子を見ていた我々と……


「あらあら、目が合ったわ」


 そう目が合ったのだ丘の民の族長ヘカタと……

 その瞬間、壮絶な魔法の攻防は突然終了した。

 そして、その場にもう1人誰かいる事に気がついた。

 その、もう一人が走り出していた。


「こっちへ来るのかな?」


「んぁ、イノウタなの」





「はぁ、はぁ、やっと出れました」


「抱き癒やしたまえヒーリング」


「はぁ、はぁ、ありがとうメルカ」


 ギルドやハルティス役場から大勢駆けつけたエルフによって魔法での崩落除去作業により、やっとイノウタを中から救助すると他のパーティも後に続いて出て来た。

 皆、さすがは中堅以上の冒険者パーティで特に怪我などもなく中からも崩落除去をしていたようだ。

 ……が、顔は真っ青になっていた。


「ど、どんな魔物より恐ろしかった」


「あの2人で攻略すれば早いのに……春まで待つ必要ある?」


 雪の積もる中、逃げるように皆、帰って行った。


「それで、なぜ喧嘩に?」


「それが……」


 イノウタはチラリとカシューの方を見て困ったような顔をした。


「もしかして我々のせいでしょうか? それなら構わず話して下さい」


 カシューの金眼について丘の民の族長は意味を理解していた。

 バビロニーチを敵に回す意味が分かっているのか? と丘の民の族長ヘカタは激高したのだと言う事だった。

 デスリエ王女は知らぬで通せ、いい歳をしてアタフタするなと一喝してしまったから喧嘩が始まってしまったのだと……


「ヘカタ殿に歳の事を言うとは……」


「有名よー、歳の事を気にしてる、です」


 長命のエルフが歳の事を気にするとか……意味が分からない。




「んぁ、私のせいなの……なの」


「いえ! 決してカシューさんのせいではありません」


 カシューの、お陰で古より失われていた薬草の謎が解明出来た。

 感謝しかないのだと……

 たが、それとこれとは別だろう。


 その時、遂に蜂の巣ダンジョンから2人が出て来たのだ。

 丘の民族長でありハルティス代表のヘカタと……

 花の民とハリラタ代表のデスリエ王女の2人が……





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