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憧れの彼女  作者: 「」
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ひとつの可能性・閑話

明晰夢。

夢の中でこれは私の見ている夢だと理解する。


夢でのわたしは職場でメイクを直している最中で、鏡に写った姿は亜麻色の髪に艶のある化粧。

今の私のものだった。

違和感があるのは、その見た目が堂に入ったもので昔からその姿だったかのように感じるところだ。


指名が入りいつもの廊下を歩き出迎え。

慣れた仕草で常連の男性を案内する。

オーラルセックスで白濁した液とわたしの唾液が混じったものを一度手のひらに吐き出して客に見せたあと、啜るように下品な音を立てもう一度口に戻し嚥下する。

こんなサービスはしたことがない。

一度たりとも。

いつも傍にあるティッシュに吐き出して捨てているはずだ。

てらてらと唾液に汚れた棒をわたしは少し乱暴に咥え、残り滓を搾り取る。


春人くんに出来なかった洗体を客に施し、二人でお風呂に入る。

マンションのものとは違い豪華なジャグジー。

自前の入浴剤を入れて、火照った身体を冷まさない程度の少し温い温度。

広々としており、二人入っても脚を伸ばせる。

そして二回戦。

やることはほぼ変わらない。

ただお風呂場ってだけ。


ベッドに移動し三回戦。

この客はマットプレイは好まない。

互いに大事なところを舐め合う。

乳房を嬲られ喘ぐわたし。

秘部はローションなしにいつでも受け入れ体制が整っている、感じやすいわたしの身体だ太腿までも自分のつゆが垂れる。

ベッドの傍の大きな鏡に写ったわたしは獣のような顔をしている。

男を餌とし貪ろうとする姿。

いや視界に捕らえているのは肉の棒だけ。

男の顔なんてみてやしない。

肉欲の獣だった。

仕事なのに悦んでやっているわたしに嫌悪する私。

なんなんだこの夢は、気持ち悪い。



『え?』



ずっと見つめていたモノを下の口に充てがいそのまま挿入。

ちょっと、待って。

夢だとしても嫌だ。



「あ、あ゛ぁあぁぁぁぁああ――」



夢のわたしの咆哮。

客を客としてみていない。

正直に言えばその感想は私も一緒。

お金をくれる装置。

ただわたしは身体の疼きを納めるための自慰用の装置に成り代わっている。

お金はオマケ。

口もとはだらしくなく開き涎が垂れる。

女ではなく雌として腰を振る。

騎乗し自分の求めるまま快楽を貪る。

肉と肉がぶつかり弾ける音。

男ばりのピストンを繰り返すと、中で弾ける。

震え吐き出す子種たち。

まだ足りないと、わたしはまだ繰り返す。

疼き、渇き、満たされない。


現実ではありえない事が起きた。

男の顔が変わる。

わたしの中に吐き出される度に変わる。

鈴木さん、呉森さん、杉田さん、川田さん、中村さん、高橋、エトセトラエトセトラ。

最後に春人くん。

彼ですら客になっていた。

一度たりともあの檻に足を踏み入れたことがないのに。

扱いは他の客と一緒に成り下がっている。

道具でお金をはき出す装置。


吐き気がする。

早く醒めてほしいこんな悪夢。

どうしてこんなものを見せられているのだろう。

私の願いは聞き届けられない。


場面が移り、同棲しているマンションの一室。

ただ彼の物と思われる荷物が一切ない。

部屋にいるわたしは誰かに抱かれている最中だった。

誰だろう。

あんまり関わりがあるようには思えない。

組み敷かれ好きなようにされている。

鏡はないが、自分から喜んで捧げている。

腕は男の首にまわし、脚は離れないでと腰をホールド。

喘ぐ声は甘い声で、男を求めるもの。

先程までとギャップがすごい。



「好きっ、大好きっ、もっと、もっとぉ」



耳を塞ぎたい。

聞きたくない。

けれど、見ているしか出来なくて。

男のもとが膨らみ震え、その時がきたのだとわかる。

でも終わってくれない。

ずっと続く悪夢。

季節が冬から春に、次第に私のお腹が膨らむ。

夏から秋になるころには、もう母体のそれだった。

それでも犯され続ける夢。

出産間近だろうか、実家のアパートに移り住み男の姿が消えて一人取り残される。

母の姿も見えない。



これは、あの冬。

春人くんと初めてを捧げあったことがなかった世界線。

肉欲に溺れ、大人の男性に寄生し捨てられた女の姿。

心が弱く手軽な快楽に逃げて、良いように遊ばれた。



マンションのベランダから飛び降りて、夢が醒めた。

閑話として書きましたが、この話はオチの一つとして考えていたものを改変してかなり短くまとめたものです。

思ったより本編の主人公とヒロインの絆が強くなってしまい、所謂キャラが勝手にうごくタイプのものになっています。

軌道修正のためにこれを与えたらどうなるだろうと自分で楽しみはじめました。

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