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憧れの彼女  作者: 「」
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「また来ます」



俺を恨んだままだろうが、冬乃母をずっと一人にするわけにはいかない。

毎日は無理でも時々顔を見ることにした。

翌日もまた顔を出した。

午後は高橋に動きがあるので、午前中だけ。

インターホンを押しても反応なく、ドアノブを回すと鍵が開いていた。

勝手ながら家に入ると冬乃母は布団から出ておらず、眠っているようだった。

昨日のことでエネルギーを使い果たしたようだ。

眠れるなら悪いことではないと、買ってきた食材を冷蔵庫に放り込み軽食を作って家を出た。

使わないままに終わっていたが、冬乃から合鍵を貰ってキーケースに付けていた。

初めての出番がこんなことになると当時すら思わなかっただろう。




午後になり智明と合流した。

一人で動くつもりだったが彼らの提案に乗り二人で動くことになった。

藤井さんは冬乃が泊まっているホテルで待機してもらい彼女の行動を知らせてもらう予定。

ありがたい提案だから素直に乗った。

俺一人だと自分を抑えきれずに相手を殴り倒しそう。


単純に冬乃の行動を見張るだけで、特に問題はなかった。

久しぶりに見る彼女の姿は大きく変わっていたが仕草や行動は彼女そのもので、冬乃なんだなぁーという自分でも訳の分からない感想がでる。

ただ表情が冬乃の母と同じものなのが少し気になる。

俺よりも智明のほうが驚いていた。というか冬乃だと気づいていなかった。

藤井さんも気づいたのだから、多分智明がおかしい。



「……え?」



驚いた声はどちらのものだったか。

冬乃が土下座をして、一言二言話すだけ。男は冬乃を立ち上がらせ引き寄せる。

流れるように高橋と濃いめのキスを交わしていた。



「大丈夫か? 少し顔が青いぞ」

「あぁ、大丈夫」

「今これを言うべきか悩むところなんだけどさ」

「ん?」

「白雪さんとの付き合い方考えた方がいいんじゃないか?」

「どういう意味だ」

「また似たようなことが起きるとは限らないけど、彼女は風俗嬢だ」



俺たちの視線の先、冬乃は駅へと一人で向かっているところ。

バレない距離を保ちながら後をつける。



「こんなことがある度に春人が傷つくことになるぞ」

「覚悟してたつもりなんだがなぁ」

「お前が白雪さんのこと好きなのはわかるけど、いい機会だから考えたらどうだ?」

「すまん、智明には迷惑を掛ける」

「それはいいけどよ」

「俺は冬乃を支えるって決めてるからな」

「そっか……。ほんと一途な」



智明は笑いながら、俺の背中を軽く叩く。


冬乃はトイレから出てくると高橋と合流し、腕を絡めて街に繰り出していった。

もちろん俺たちも追うが、途中で見失った。

先程まで200m先を歩いていた彼女達が急に姿が消えた。

人通りも多いため探すのに苦労する。

ガラス越しに見える店はくまなく探したが、見つからない。

諦めずに次の店を覗き込んでいる時だった。


突然、半裸の冬乃が助けを求めながら裏路地から飛び出してきた。

あっという間の出来事だと思う。

直ぐ側に警察がいて下半身丸出しだった高橋が抑えられる。

冬乃はぼーっとした表情で行く末を見届けていた。

応援と思われる警察が駆けつけ彼女に話しかけると、我に返り衣服を正した。



「すまん、春人ばっちりみちった」

「何を?」

「……白雪さんの裸」

「しょうがないだろ今のは」



今更な気がする。

衆人観衆のもとでの事件だ。

一人二人増えたところでとも思う。

場合によってはラブホに向かう二人を見届ける覚悟もしていた。

あのキスを見てから何が起きてもおかしくないと。



「春人行かなくていいのか?」

「ここは警察に任せるよ。ここで出ていけば冬乃を傷つけそうな気もする」

「わかった」



智明に別れを告げ、人だかりを抜いながら一足先に冬乃の泊まっていたホテルを目指す。

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