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憧れの彼女  作者: 「」
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見た目を変えたせいで警戒されるかもしれないが、あの男はきっと自分の都合のいいように思うだろうという確信が私にはあった。

その証拠に。



「なんだ冬乃、僕の好みに合わせてきたのか? 従順な女は好きだよ」



そういって一房、私の髪を滑るように撫でる。

好きでもない男に触られるのはよくあること。



「土下座しろ冬乃。本当に反省してるのなら簡単だろ?」

「……」



流石の私もこれにはびっくりだ。

場所は駅前の広場。

平日の昼過ぎとはいえ、それなりに人通りがある。

あと数時間も経てば帰宅してくる学生や社会人も増えてくるだろう。



「できないのか? それじゃあ冬乃が改心したと信じられないなぁ」



下卑た男の顔みやる。

加虐嗜好それも征服欲か。

そのどちらでも最低なのは変わりない。


石畳の上に膝を付けて頭を地面ぎりぎりまで下げる。

これからどうせもっと酷いモノを衆人観衆のもとで恥をさらすのだ。



「あはは! 最高だよ冬乃! もっと媚びてみろよ」

「ごめんなさい」

「いいよいいよ、許してあげる。僕の女に戻してあげるよ」

「ありがとうっ」



上目遣いで瞳を潤ませて微笑んでみせた。

気を良くしたのか私の二の腕を掴み立ち上がらせ腰に手を回してくると、誘うように口を薄く開いてみせる。

男のざらりとした舌が私の口内を犯し、絡み合うように淫靡な音を立てた。

気持ちのいい音をつくり、興奮しているような気を起こさせる。



「はぁ、……むちゅ。ちゅ……ん、んんっ、むっ……」



薄めを開け、男が満足しているかどうか確認する。

上気し下半身も元気そうに主張をはじめている。

キスだけでこんなに反応するとか、童貞丸出しか経験の浅さ。

こんなもんかなっと顔を遠ざける。



「気持ちいいよ冬乃」

「わたしもっ。とろけちゃうねっ」

「それじゃ……」



男が何かを言いかけるが私は遮る。



「服と髪が少し汚れちゃったし、メイクも直したいからちょっとだけいいかな?」

「もちろんだよ」

「ありがとっ! 待っててね」



許可が降りたので構内のおトイレに向かう。

スカートと髪についた砂や埃を払い、軽くブラシを掛けると、うがいをしマウスウォッシュで20秒ほどくちゅくちゅとすすぐ。

鏡に映った自分の顔。

いつも通りのわたしだった。

店外でこんなことをするのは初めてだが、営業モードの顔つきだ。

その場の適当な表情を貼り付けている。

お金を稼ぐための顔。

でも今回は人生のチップを払ってもらう。


駅前に戻ると笑顔で手を振ってみせ、男の腕に胸を押し付けてる。



「いこっ」

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