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憧れの彼女  作者: 「」
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色なき風

旅行が終わり地元に帰ってきてしばらくは浮かれていたが、夢見心地だった俺も連続したアルバイトのシフトに現実に引き戻された。

沖縄の暑さとは違った暑さで辟易する。特にアスファルトから熱がえぐい。

夏休みの間、自宅とアルバイトの往復。

時間が合えば冬乃とデートしたり、智明たちとも遊ぶ。

4人で夏祭りにも出掛けたり、俺と冬乃のマンションの一室にて玩具の流しそうめんセットで食事をしたりなど、今年の夏はたくさんの思い出ができた。

冬乃と智明、藤井さんとの仲もあの一件以来、更に仲が深まったようだ。

良きかなよきかな。


しかし、それとは別に最近気になることが増えた。

勘違いならばいいのだけが、視線をよく感じる。

なんとなく見られてるという感覚で確かなことは言えないが、旅行開けからずっとそんな感覚に襲われる。

実害がないので俺はそこまで気にしてないけど冬乃がいるため注意は必要だ。


俺の心配をよそに何も起きることがなく9月を迎えた。

昼過ぎには冬乃は出勤しており自室には俺一人。

季節は秋になってるのだが、夕方6時を過ぎてもまだ日は高い。

夕飯の献立を考えながら、洗濯物を取り込む。

I-65の表記。

あいつまたデカくなったのか……。冬乃恐るべし。

身長は160ちょいから変わってなさそうだけど。

引っ込むところは引っ込んでいて均整のとれた身体をしている。

女体の神秘を考えているところ電話が入った。



「春人、元気か?」



低く相手を威圧するような声。

不機嫌そうにも聞こえるがこれがデフォルト。

電話の相手は親父だった。



「あぁ。なんの問題もないよ」

「そうか……。話があるんだが良いか?」



親父から話なんて珍しい。

仕事人間だが家族を顧みずってドラマのようなタイプではなく、ちゃんと家族のことを心配してくれるいい親父なのは変わりはないが、ぶっきらぼうというか基本無口だ。

職業警察官。

厳格にして真面目。

そのへんは絵に書いたような人物。



「今日はバイトも休みで時間あるし大丈夫だけど?」

「そうか」



この返しは口癖のようなもの。



「お前にも色々とあるだろうが、一度実家に戻ってこい。そこで話がある」

「わかった。ただ明日はバイトがあるから明後日でもいいか?」

「了承した。ではまっている」



通話が切れた。

電話だけで終わらない話なら、結構重要そうだけど。

なんだろう?

どのみち一度実家に帰って秋物の衣類などを取りに行くつもりだったから構わないが。




                ※




いつもより少し早い時間。

夜の9時をちょっと過ぎた辺りで冬乃が帰ってきた。



「ただいまー」



ふらふらとリビングに現れた冬乃は、胡座をかいてソファーに座っていた俺の膝もとにぽすんっと収まりだらけはじめ、背中を完全に俺に預けた。

さわり心地のいい頭を撫でながら労う。



「冬乃ちょっといい?」

「んー?」



頭を左右に振りながらぐりぐり押し付けてくる。

分かりづらいかもだが、いいよって意味だ。



「ちょっと親に呼ばれてさ、明後日から実家に行くことになった」

「春人くんの実家かぁー」

「ついでに荷物とかとってくるからさ2,3日は家あけるかも」

「うん、わかった。私もその間に一回実家にもどろうかな?」

「いいんじゃないか? 退院してからあんまり会ってないだろ」

「まぁ、どうしても顔合わせづらいよね」


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