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憧れの彼女  作者: 「」
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「え?」



わけも分からず私は口をぽかーんと開けた状態で固まった。

どうしてそういうことになったのだろう?

そもそも春人くん以外の男性と外で歩いたこともない。



「同じ学部の先輩なんですけど、ちょうど白雪先輩と同い年の人の話で」

「あ、うん」



同じ学部ということは春人くんたち経済学部の話で私は教育学部だった。

私は休学してから春人くんたち以外の知り合う機会もないので更に謎が深まる。



「その先輩に彼女が出来たようで、特徴を聞くと白雪先輩と一致してて、というか完全に白雪先輩としか思えない感じなんですよね」

「はぁ……」



私は生返事を返すことしかできない。

どこにでもいる見た目をしていると自分でも想うのだけど。顔に特徴的なホクロとかもないし。



「冬乃さんは自分のこと地味だと思ってそうよ、智明」



この部屋にきて初めて香ちゃんが口を開いた。

まぁその通りなんだけど。



「冬乃さんは自分で思っている以上に綺麗で可愛い容姿をしるわ。その……」



香ちゃんの視線が下がり、ちょうど私の胸の位置へ。

宮下君も同じ動きをしていたけどすぐに逸した。

あ、なるほど。

確かに、同年代ないしお店で働く女性の中でも私の胸は大きい。

見た目に大きな変化はないけど最近カップ数が一個増えた。

これは食生活が安定してきたので太っただけかもしれない。


……閑話休題。

私の胸の話はどうでもいい。

んー。

私に遭遇することができるといえば……。



「あ゛」

「白雪先輩のその反応なにか思い出したんですか?」

「思い出したというか、最近仕事に大学生のお客さんが結構くるからその中にいたんじゃないかなー……?」



仕事内容はもちろん伏せる。

夏休みだからね。

しょうがないよね。

こればっかりは防ぎようがないんです。



「けど、だからどういう訳で私が浮気しているって話になったのか理解できない」



ちょっと声に怒気を乗せてしまった。

ガチ恋してくるお客というのは確かに少なからず居た。

揉める原因にもなるのでそういう場合はハッキリと断るし、なんならNG指定にしている。



「それで俺、先輩がホテル街から出てくるのみたんっすよ。一週間前ぐらいに」

「ホテル街?」

「はい。俺と春人のバイト先知ってますよね?」

「繁華街の先にあるちょっと路地裏でしょ? 春人くんが働き始めたころ何度か行ってるし知ってるよ」



この街は繁華街と歓楽街が隣り合わせになっている。無垢な少年少女が知らずに歓楽街に脚を踏み入れうなんてことはまぁまぁある。

春人くんたちのバイト先と私の職場は対角の位置にあるけど、確かに宮下君とも遭遇する可能性はあるのかな?

これは私のミスだ。

一週間前といえば旅行が控えていたから提携先の病院に性病検査を受けにいった帰りかな。

あのラブホ街を抜けるのが近道だったから迷わず通っていた。



「あの先に病院あるでしょ? 小さいところだけどそこに行った帰り」

「あぁ、そうだったんですか」



誤解は解けたのかな?

宮下君たちはほっとした表情になっている。



「大学の先輩が好きな女抱いたとか俺の彼女自慢とかそういう話をしてきていたので誤解してしまったようです。すんません」

「いいよ。私もあんなところ通ってるのがいけなかったんだし」

「怒るのも仕方ないと思うのだけれど、それでも冬乃さんを怒らせたわ。ごめんなさい」

「確証もなく問い詰めるのはよくなかったっすね……」

「でも、よくこういう話を私に直接聞きに来てくれたのね? 春人くんに言うのが普通なのかなーって思ってたんだけど」

「先輩の話を聞かされてる時春人もいたんだけど、『俺は冬乃のこと信用してる信頼してるから気にしない』って、俺と香じゃないと気づかない程度には怒ってたけど」



春人くんは静かに怒るタイプだ。

高校生の頃に一度彼が怒った姿をみたことがある。

感情に任せて怒鳴るタイプとは違い、怒っているのに冷静で普段は無駄口を叩くのでギャップがすごいことも相まってもの脚が震えるほど怖かったりする。

まだ私に対して怒ったことはないけど、これからも怒られないといいな。

多分、泣いて縋る。

捨てられたら喚いて縋って、そのまま死んじゃう。

そんな自信だけはある。

あれ、私ってメンヘラ?

メンタル弱い自覚はある。

まぁそれほど私は春人くんが大好きなのだ。

浮気なんてするわけがない。



「春人くんと本当に仲良しなんだね?」

「そーっすね……。もし例えばですが、白雪先輩が本当に浮気していたといして。多分、俺と香は白雪先輩に嫌われてでも春人に嫌われてでも、アイツを悲しませるようなことがあれば先輩を許さないでしょうね。それで春人には悪いけど、白雪先輩から春人のもとを去ってくれるように頼むつもりでしたよ。単純に振られたっていうだけなら傷は浅いかと」

「ええ」



香ちゃんも同意して頷いている。



「宮下君たちは付き合いが長いのは知ってるけど、幼馴染みってそういうものなの? 私にはいなかったからわらかないんだけど」

「誤解してしまったお詫びというわけではないですが、一つ昔話を。俺はアイツに救われたことがあったんですよ」

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