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憧れの彼女  作者: 「」
22/53

食事を終え一旦部屋に着替えなどを取りに戻ろうとしていたところで、冬乃が3階にあるセレクトショップに目を向けていた。



「ちょっとサングラスとか持ってきてなかったから買ってくるねー」

「ついて行こうか?」

「大丈夫、すぐに終わるから」



そう言って足早に彼女はお店に吸い込まれる。

すぐ終わるなら待ってもよかったのだが部屋で待つことした。

智明たちは中に水着を着ていたようで下着も藤井さんがまとめて持っていたそうで、彼らは先にビーチに向かっている。

床に置きっぱなしになっていたボストンバッグから水着とタオルだけを取り出し、冬乃から貰ったショルダーバッグに放り込む。

準備が終わり冷蔵庫に入れていたお茶を飲み一息ついてるころに冬乃は戻ってきた。



「はいこれ。春人くんの分ね」



手渡されたのは縦長の財布にも見える革製ケース。

開けてみると金縁ラウンドタイプのサングラス。

レンズは薄い青。

よく見ると右目側レンズに白文字メーカーのロゴが小さく入ってる。

嬉しいがブランド物ばかり貰っていて少し気が引ける。

このショルダーバッグもブランド物だった。



「大丈夫?」

「うん、そんな高い買い物でもないし。この旅行のお礼だと思って」



彼女は本当になんでもないようで、にこやかに笑っている。



「わかった」

「それよりつけて欲しいなぁー。似合うと思って買ってきたんだ」

「俺がつけるとチンピラに見えそう」



ケースから取りだし付けてみる。

鏡を見てみると、想像以上にガラの悪い男子が映っている。



「似合ってるよ?」

「ほんとかー?」

「ちょっと悪そうな人に見えるけど、服装をシックな感じにしてハットも被ればかなり似合うと思う!」

「冬乃はどんな感じ?」

「えっとねー」



お揃いのケースから出てきたのは黒縁にピンクブラウンのレンズが違うだけの同じ物。



「どう?」

「似合ってねぇ~」

「あ、やっぱり?」

「冬乃って綺麗よりも可愛いの方が配分が強いからサングラスはギャップすごいからな」

「あ、春人くんから可愛いって言われるの珍しい気がする」

「そう?」

「うん、バカップルみたいだね?」



二人してくすくすと笑い合いながら、冬乃の準備を待って部屋を後にした。

丸メガネのチンピラ二人が仲良く並んで更衣室まで歩いたのでした。




      ※            ※            ※




「ど、どうかな?」



更衣室を出てすぐのホテルの出入り口。

眩しい太陽に照らされてサングラスのありがたさを感じていたところに背後から声を掛けられた。



「ふぉ……」



息を呑む。

濃い青色のビキニに白く薄いパレオ。

髪型もハーフアップからサイドアップに変わり、あどけなさを残していた彼女は大人の女性らしい印象に変化。

私服のコーディネートは昔から変わらず基本的に大人しい傾向で可憐の文字が似合うような、そんなタイプだ。

顔だって幼さがあり無垢な少女といった感じだが、先程買ったサングラスが仕事をしていて少女の部分を隠す。

纏められた髪先は白く豊満に実った胸の谷、Iの文字に挟まっている。パレオから透けて見える太ももはほどよく肉がつき健康的で男たちの情欲を掻き立て、流れるような四肢は美術品を思い浮かぶ。

清楚と濃艶が同居していた。



「春人くん。えっちな目してるね」

「いや、ごめん眩しすぎて」

「サングラスしてるのに?」

「いや、その。えっとー……」



彼女に誤魔化そうも何もないが、気恥ずかしくてとっさに言葉を噤む。

が、視線は彼女から外すことが出来ない。

風景さえピンボケで彼女にフォーカスされている。

波の音や喧騒も聞こえなくなった。



「見惚れてた」



俺も大概自分の体温の上昇を感じていたが、それ以上に冬乃の顔の紅さに驚く。



「……。少しからかおうと思ったのに春人くんの反応がすごくて、私まで恥ずかしくなってきた」



すっと冬乃は視線を落とし、身体をもじもじとくねらせる。

俺は無意識にスマホを取り出してシャッターを落とした。

これは……。



「うっ……。なんで撮ってるの?」

「可愛かったから。待ち受けにさせてもらいます」



言ってからすぐに壁紙にして彼女に見せる。



「ずるい」

「ずるいってなにが?」

「私も写真取ればよかったー。どこかでシャッターチャンスがあれば絶対に撮るからね」



冬乃はそう息巻いて駆け足でパラソルのある方へ駆けていった。

見事に揺れる胸。

……溢れそう。

密かにもう一枚写真が増えたのである。

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