パルン王国
240日目
空が白みだした頃、プレモーネの練兵場にはドグレニム領兵が既に準備を整えて整列をしています。
「グランバルさん、そう言えば今回兵士を率いるのは誰になったんですか?」
「ああ、今回の指揮官は守備隊長のアモンに任せる事にした」
「アモンさん? プレモーネの守備はいいんですか?」
「守備隊には副隊長も居るんだ、アモンが居なくても問題は無いだろ。 それに今回は防塁の守備だ、だったらアモンも専門だし学ぶことも多いだろ」
そう言った後、グランバルさんは訓辞を始めましたが見ている限り今回の編成で守備隊の兵士さんが半分を占めている感じです。
グランバルさん的には今回の援軍は守備隊の訓練も兼ねてる感じかな。
まあカウア達ミノタウロスが10匹とサンダーウルフ10匹が居るから安全と判断したんだろうな。
そんな事を思っていると訓辞が終わったようでグランバルさんがゲートを開くように依頼をしてきます。
バイルエ王国に転移魔魔法でゲートを開きドグレニム領兵を移動させると、既にバイルエ王国兵も準備を終えていたのか整列して自分達を待っていました。
うん、あとは指揮官さん達に任せて自分は去りますか。
そう思いアモンさんに転移魔法でゲートを開く際の目印にする魔道具を渡して自分はプレモーネに戻ります。
プレモーネに戻るとグランバルさんが少し心配そうな顔をしていますが、カウア達やサンダーウルフ達を同行させているので大丈夫だと伝えます。
「まあ確かにマサトの言うように眷属が加わっているから万が一にも全滅って事は無いだろうけど戦いなんていつ何が起きるか分からんからな」
「まあ確かに、不測の事態が起きた際はアモンさんの指揮を信じるしかないですね」
「はぁ~、マサトは兵の命を預かる身じゃないから気楽に言えるが、兵士が一人死んだらそれだけで慶弔金など残された家族などへの支払いなんかがあるんだ、財政難の領土を持つ領主の身になってみろ、被害が出た時の事を考えたらため息しか出て来んぞ」
そう言ってグランバルさんは領主館に向かい歩いて行きます。
確かに異世界に来て忘れてたけど兵士一人死んだだけでも出費がかさむよね。
日本人では一人が死んだだけでも大騒ぎなのに、いくら命の価値が安い異世界と言ってもそれなりの出費だよな。
それにドグレニム領を守るために死ぬのじゃなくて、他国、それもドグレニム領とは関係ない国の防衛に行って死んだら遺族の人達は気持ち的にも納得できないだろうし。
最近は兵士=ゴブリンってイメージになってたから忘れてた。
そんな事を思いながら自分は二ホン砦に向かいゾルス達にフェインド王国で起きている魔物の大発生の話をし、ゴブリン軍団を援軍に派遣する可能性がある旨を伝えておきます。
ゾルスやバルタ、ハンゾウはやる気満々ですがロゼフは現在も二ホン砦の整備拡張を指揮しているようで若干めんどくさそうな顔をしています。
まあ確かにロゼフ的に二ホン砦の内部が日々見栄え良くなっていく今が一番楽しい時だもんね。
二ホン砦を後にして自宅に戻りのんびりと過ごします。
うん、明日は日本政府に依頼した本が出来るからそれの受け取りと、夕方以降にパルン王国へゲートで移動するとかやる事多そうだけど、今日は暇なんだよね。
241日目
毎朝のルーティン化した遺跡での魔物狩りを済ませ月山部長と自宅で雑談をして時間を潰していると、あっという間に昼過ぎになったのでゲートを日本の対策室に繋げます。
「あっ、武内さん、出来てますよ」
そう言って自分が声をかける前に気付いた鈴木さんが対策室に積まれた段ボールを指さします。
「鈴木さん、どのぐらい出来たんですか?」
「はい、大体1万冊です。 現在も印刷を続けていますがあと何冊程必要ですか?」
「そうですね、あと9万冊…。 いや、やっぱりあと19万冊、合計で20万冊ですかね」
「そんなにですか? そんなに作って余らないんですか?」
「多分余る事は無いです。 実際に絵が多くカラーの本ですから珍しいんですぐ無くなると思います。 場合によっては増刷をお願いするかもしれませんね」
自分がそう言うと、イマイチピンと来ないのでしょう、鈴木さんは不思議そうにしています。
「まあ日本はテレビに映画、小説や漫画にゲームと娯楽にあふれてますが異世界は娯楽も乏しくて、本自体が高価な物ですから。 それがタダで配られれば競って手に入れようとするでしょうね」
「そうですか、そんなものなんですかね…」
そう言って鈴木さんは本の増刷を手配し始めましたので、自分はまた2日後にゲートを開き出来た本を引き取りに来る旨を伝えてゲートを閉じます。
うん、段ボールに詰めてくれてるけど数が多いな。
まあ第一弾として配らせるか、もう少し纏まった数になったら配るか。
手に入ったら即配る方向でいいかな、噂が噂を呼んで欲しい人が増えそうだしな。
そんな事を思いながらも月山部長と出来上がった本を読んでみますが、誤字なども無くなかなかの出来上がりです。
「武内君、これはなかなか、急拵えの割にはしっかりした作りの本だな」
「そうですね、まあしっかりした作りで、豪華な感じにって依頼したので当然と言えば当然なんですが予想よりもいい作りですね」
そう言って本を手に取り品定めをした後、月山部長が数冊欲しいとの事なので10冊程渡し、残りはアイテムBOXに収納しておきます。
さて、後は夕方頃にゲートでパルン王国に移動して、明日は王城へ乗り込んで話を付けるだけだな。
ていうか本当に面倒な事をしてくれたもんだな、個人的にはフェインド王国で起きてる魔物の大量発生の方に行きたかったのに。
とは言えパルン王国の件はほっとけないし、まったく、どこの馬鹿だよ、異世界に社会主義なんか持ち込んだのは。
その後は自宅で寛ぎ、夕方になったので商人に渡した転移用の目印になる魔道具の位置を頼りにゲートを開きます。
ゲートが開いた先はどうやら宿の部屋のようで、ベッドと簡易的なテーブルと椅子だけがある質素な部屋です。
部屋には机に向かって何か書いている中年の男性が居ますので声をかけ中に入ると男性は一瞬驚いた感じの顔をした後、笑顔で自分に挨拶をしてきました。
どうやらここはパルン王国の首都にある宿屋の一室のようで、商人さん達は昼頃に到着した後、明日商談をする商家に挨拶回りをして先ほど宿に戻ってきたみたいです。
そして少し話をするとどうやら自分の部屋も用意してくれていたようで、部屋のカギを渡されます。
う~ん、この商人さん気が利くしなかなか見どころあるな…。
とは言え女の子は用意してくれていないようだから75点と行った所かな。
そんな事を思いながらも、日本の酒などを振舞いつつ雑談をし、途中の村々の様子などを聞くとどうやら表面上は平穏なようですが、田畑が少し荒れ気味で、人々も若干ピリピリしている感じだったとの事です。
やっぱり社会主義が浸透しつつあるんだろうな。
街道沿いの村がそんな感じだったら、街道から離れてて他国の人と接触があまりない人達なんかは盲信してる可能性もありそうだし、結構深刻な気がしてきた。
これって本をばら撒いただけで鎮静化するのかな…。
どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?
と思う今日この頃…。 自分でもこの物語のレビューをうまく書ける自信がありません。
そんな中でも読んで頂き、ブックマーク・評価、また、感想を頂き誠にありがとうござます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




