日本政府の方針
「一応、ここに居る土田に撮影してもらったバイルエ王国っていう国の街並みとかそこに住む人たちですし、魔物も魔法も本物ですよ?」
「そうですか、いえ、疑っていると言う訳では決してないのですが、あまりにも現実離れした映像だったので」
「いや確かに巨大芋虫の大群はショッキングな映像だと思いますけど、あれが実際に異世界で起こってる魔物の大量発生なんですよ。まああんな大量発生が何時何処で起きるか分からないので気軽に日本人探しなんかできないんですけど」
「いえ、武内さん、巨大芋虫も驚きでしたが、魔法と言うのがショッキングというかなんというか・・・・」
「あ~魔法ですね、まあ確かに地球で魔法なんて漫画の中だけの物ですしね。まあ転移者は大体使えると思いますよ。とは言え、威力や使える魔法は人それぞれでしょうけど」
「そうですか、ではあの巨大芋虫を焼き殺していた特大の炎は誰もが使える訳では無いのですね?」
そう言う鈴木さんに、あの炎の魔法は自分オリジナルで把握している中では自分だけしか使えない事を伝えると皆さんホッとした感じです。
「まあ映像についてはその辺で、今日は彼らに日本政府の方針を説明するのがメインだろう。そちらの話を進めていいか?」
そう言って声をかけて来たのは内閣官房副長官の田川さんです。
そんな田川さんの言葉に鈴木さんをはじめ出席している人たちも一様に頷き話を進めます。
「武内君と言ったかな、一応いまそこには月山さんと土田君が居ると認識しているが、今の所はここだけの話という事にして欲しい」
「それはどういう事ですか?何か不都合でも?」
「不都合はないが、この話はまだ確定ではない、とはいえそれは政府として骨子を作りその後に君たちの要望などを取り入れていくつもりだから今日話した話が変更になる可能性もある。そんな情報を大勢に聞かせるわけにはいかないだろう」
「まあ、そういう事でしたら、それで政府の方針と言うのを教えてもらえますか?」
そう言って先を促すと田川さんは少し顔を顰めたような感じがします。
うん、恐らく自分よりも年下の若造に話をせかされてるような感じが気に入らないのでしょうか。
「まあ、政府の方針としては、今しばらくは異世界に転移した人を失踪者として扱い政府としても異世界と言う物の存在を認めないという方針だ。ただし前回話していた魔物の死骸などは提供してもらいこちらで調べさせてもらう。その上で明確に異世界と言う物を国民に対して納得のいく説明が出来るようになった際に政府として説明をさせてもらうつもりだ。」
「そうですか、じゃあ政府が発表する前にこのゲートを人間が通れるくらいまで拡大できるようになって日本に転移者が戻った際はどうするんですか?」
「それについては、政府が責任を持ってまずは検疫をおこない、政府施設にて異世界の事などの聞き取りをさせてもらいながら政府が異世界について発表するまで滞在をして貰うつもりだ」
「う~ん、要は発表前に社会復帰されると都合が悪いから隔離して管理しようという事ですね?」
そんな自分の発言に田川さんをはじめ出席者の皆さんが一瞬ピリピリした感じの雰囲気を出します。
「はぁ~、君はよくも堂々とそういう事が言えるな・・・。まあ下手に誤魔化して曲解されるよりはいいのでハッキリと言わせてもらうと武内君の言う通り隔離させてもらい色々と調べさせてもらうつもりだ。病気など未知のウイルスなど持ち込まれても困るし、何より問題なのは魔法と言う物の存在だ、映像をみさせてもらったがあんなものをポンポン使える人間を社会においそれとは戻せないだろう」
そう言って田川さんは恐らく本音と思われる方針を話します。
「では、異世界から帰った人への保証や救済は無く待っているのは隔離とモルモット生活という事ですね?」
「モルモットとは酷い言い方だな、ただ我々としては魔法と言うものを使える人間が危険だと判断しているんだよ。科学で証明できないものは色々と問題があるんだ。それと君の言う保証や救済に関しては判断が政府内でも分かれているから今の所は決まって居ないのが現状だ」
それだけ言うと田川さんは椅子に深く腰掛けて口を閉ざします。
うん、この人的に言いたい事を言ったから後はほかの人に任せるという事なのかな?
「それにしても、政府の方針っていってもえらく自分達都合を押し付けてきますよね?異世界の物は提供をするように言うだけでこちらには何も利益になる事を提示しない。これじゃ協力しろといわれても、はいそうですかと言えないですよね?」
そう言う自分に対しては鈴木さんが話を引き継いできました。
「武内さんが言われることはもっともですので、政府としてそちらの世界に無い物をこちらで用意し提供する事を考えています。映像を見る限りでは生活水準は日本よりもかなり低いと思われますので、食料や日用雑貨など必要な物があれば用意させて頂きます」
「うん、残念ながらその辺には困ってないんですよ。ネレースと言う神からその辺の品を手に入れる方法を得たんで普通に手に入るんですよね。なんで実際対価となる欲しい物が無いんですよね」
どうやらこの回答は予想外だったようで集まった政府関係者の人達は絶句しているような感じです。
うん、異世界には無いはずの日本の日用品をちらつかせれば喰いつくと思っていたのでしょう鈴木さんも何を言いだせば良いのか分からず固まっています。
「というか、既に日本の新聞には政府関係者の話として失踪者は異世界に転移したんだと新聞に載ってましたけどその辺はどうなんですか?前回の接触から1週間も経ってないのにマスコミに漏れてますけど?」
「そ、それは・・・。どうして新聞の内容なんて知ってるんですか?」
「まあこれもネレースと言う神に頼んで毎日朝刊をアイテムボックスに送ってもらうように頼んであるんで一応新聞で得られる情報はこちらも把握しているんですよ」
このカミングアウトには皆さん完全にフリーズをしてしまいました。
まあ確かに日本の状況が分からないからこそ政府有利で交渉を進められると思っていたのでしょう。
それが新聞から情報を得ているという事は完全にその有利な状況が無くなってしまうどころか反対に世論を武器に主導権が転移者に渡ってしまう事を意味するからでしょう。
「では武内さんを含めた転移者の皆さんは新聞を読んでいるという事なのですか?」
「ああ、それは無いです、自分と月山部長だけが新聞を読んでるだけですね。ほかの人は自分達が新聞を読んでることも知らないですから」
そう言うと政府関係者の人達は一様に胸をなでおろすような感じの雰囲気になります。
「では武内さん達が希望する要望と言うのはどのような物なのですか?」
「そうですね、まずは検疫とかは必要でしょうから理解は出来ますが、その後の隔離は納得できませんよね。まあ自分は隔離されても普通に脱走できますけど。あとは保証、というより社会復帰をスムーズにさせて元の生活に戻れるようにすることですかね」
「それだけですか?他にも何か要望や要求は無いのですか?」
「そうですね、このゲートで人間が通れるようになったら自由に異世界と日本を行き来できますから特には。あとは戻った人達がそれぞれ何を望むかですかね?」
「わかりました、その内容は再度持ち帰って検討させて頂きます。それでよろしいでしょうか?」
「まあお持ち帰りが多いような気がしますがそれでいいですよ。それで魔物の死骸を保管する為の物は用意してきたんですか?前回魔物の死骸が欲しいって言ってましたけど?」
そう言うと鈴木さん達は思い出した!と言わんばかりに慌ただしく動き出し厳重に密閉できそうなケースを運んできます。
「武内さん、こちらのケースに魔物の死骸を入れてもらえますか?」
そう言って用意したケースをゲートの前に運んできます。
まあ日本でもアイテムボックスが正常に稼働するか試してみたかったので、ゲートから手を出してケースの上で手をかざしアイテムボックスからゴブリンの死骸、オークの死骸、4足獣の死骸をケースに出していきます。
結構大きなケースですけど、流石にオークと4足獣の死骸は大きすぎたようで絶対蓋が閉まらないパターンです。
「出し過ぎた?また今度にする?」
そう言うと鈴木さん達は、なんか話し合った後に、ゴブリンと4足獣の死骸だけ引き取り、オークの死骸は次回にとの結論を出したようです。
まあそういう事なのでオークの死骸を回収し、ゴブリンの死骸を2体と4足獣の死骸をケースに入れておきます。
うん、既にここまで大雑把に空気に触れさせてたら検疫も何も無いよね・・・。
もうそのまま運んで行けばいいんじゃない?
そう思いながら眺めていると死骸が入ったケースは厳重に密閉された状態にされていきます。
「じゃあとりあえず今回はもうゲート閉じますんで、次回はそのうちビデオカメラのバッテリーが切れたりメモリーカードが無くなったら開きますんで替えを用意しといてください」
「わかりました、できれば定期的に状況報告をして頂ければと思いますが。それと魔石を再度融通して頂けませんでしょうか?」
「魔石?それは日本で何か重要な感じになっているって事?」
「い、いえ、そう言う訳ではありませんが魔物と言う物を把握するために合わせて魔石の研究もしているので、魔物の死骸と同様に魔石もサンプルとして頂ければと思いまして・・・」
「そう、まあ自分が持ってる魔石はハイどうぞって言って渡せるサイズの魔石じゃないからその辺は土田に頼んでみたら?」
「そうですか、では土田さん、魔石を分けて頂けますでしょうか?」
そう言って急に話を振られた土田ですが、お人よしと言うのかなんというのか・・・。
巨大芋虫を倒した際に得た魔石を20個程鈴木さんに渡しています。
うん、もう少し何かしら要求して渡すとかすればいいのに・・・。
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