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チュウカナ大陸史書 偽典 菜緒虎伝  作者: 那田野狐
ニーダ半島沖での小競り合いの章
61/81

ニーダ半島沖で所属不明艦と交戦する

環寧が知るニーダ族の海賊作法は、

・相手と正対する。

・すれ違いざま相手の船の横腹目掛けて曳航している蒲鉾船をぶつける。

もしくは蒲鉾船の横腹に装備しているかぎ爪のようなモノを相手の船の横腹に引っ掛けて船足を落とす。

・板屋船から戦闘員が、蒲鉾船の蒲鉾屋根を伝って相手の船に乗り込む。

相手が帆船の場合は帆に向かって火矢を放つことも忘れない。


実にシンプルである。


「すれ違いざま、風魔法で防禦。相手の攻撃を確認した後、風魔法で海域を離脱し反転し反撃する」

了と思念が返ってくる。


「環寧の抜刀隊はいつでも出られるように」

「おう」

環寧が応える。


菜緒虎の船とニーダ族の船の距離がどんどん縮まる。

と、いきなりニーダ族の板屋船の船速が落ちる。

それに応じて突出するニーダ族の蒲鉾船。


「とぉぉりかぁじ」

「あいあい」

環寧の副官で最年長。船の操縦を一手に担う見事な白髪を後頭部のところで縛った人族の男、公蓋(こうがい)が返事をする。

突出したニーダ族の蒲鉾船がキャラベル船の横をすり抜けていく。


と、蒲鉾船からかぎ爪の付いた縄が大量に投擲される。

しかし、かぎ爪の付いた縄は全て届かず海に落ちる。


「相手の練度、意外に高いな」

「正体不明船を相手に手を抜かない、という程度の知恵は回るようで」

菜緒虎の問いに公蓋(こうがい)が返す。


つぎに板屋船から火矢が放たれる。飛んできたのは普通の矢だ。

風よわが盾となれ(エアシールド)展開」

菜緒虎と船尾に配属された3体のスケルトンマジックユーザーから魔法が放たれる。

乾いた音が響き、帆に届く前に火矢があらぬ方向へと散る。


「とぉぉりかぁじいっぱい。最大船速」

「あいあい」

公蓋(こうがい)が返事をするのと同時にスケルトンマジックユーザーから風よ(エア)の魔法が帆に向かって放たれる。

キャラベル船が大きく左に旋回を始めた。


皇帝イカエンペラースクウィッド隊は随伴艦を潰せ」

了と思念が返ってくる。


再び距離をとって正対するキャラベル船と板屋船。

先に動き出したのは魔法の風で動けるキャラベル船。

板屋船も船腹の櫂が大きく動き出す。


「こういうとき人力だと立ち上がりが弱いな」

「我々の船の立ち上がりの速さが異常なのです」

公蓋(こうがい)のツッコミに菜緒虎は苦笑いをするしかない。


がしゃ、ばきっ


2隻の蒲鉾船から鈍い音が響き渡り、板屋船共々後退を始める。

見ると蒲鉾船の後部に大きな触手が伸びて絡み付いていた。

オクトパスや皇帝烏賊エンペラースクウィッドの足めがけて船腹から斧みたいなものが振り下ろされているのが見える。

攻撃しているのだろうが、効いてはいないようだ。


ガラガラドパーン


蒲鉾船を牽引していたであろう太い鎖が、大きな音を立てながら板屋船から離れる。

蒲鉾船から解き放たれた板屋船が船速を上げキャラベル船に向かってくる。


2隻の蒲鉾船は、さらに鈍い音をたてながら海中へと引きずり込まれていく。


軽快な音が鳴り響き、菜緒虎のステータス画面が開く。


『オクトパスの経験が上限に達したため皇帝イカエンペラースクウィッドに進化します』

連れてきたオクトパスの1匹が進化の条件を満たしたようだ。


皇帝イカエンペラースクウィッドたちに後れを取るな」

菜緒虎の味方を鼓舞する叫び声が響き渡った。

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