表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祐兵さんと豊久くん ――日向の空の下で――  作者: Gさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/136

第百二十二話 冬町の歩み

祐兵さんと豊久くん 登場人物紹介


祐兵(すけたか)さん…伊東祐兵いとう すけたか。紆余曲折を経て、飫肥藩初代藩主になった。知略に優れ、学問を愛する。

豊久(とよひさ)くん…島津豊久しまづ とよひさ。島津氏家臣で、島津家久しまづ いえひさの息子。武芸一筋で、まっすぐな心を持つ。

小春(こはる)と黒猫…二人の飼い猫

朝の町は、まだ音を控えている。


白い息が立ち、瓦の縁に霜が残る。


伊東祐兵いとう すけたか島津豊久しまづ とよひさ


肩を並べて城下を歩いた。


商家の戸が一枚、また一枚と開き


箒の音が通りに広がる。


魚屋の前では、桶の水面が薄く凍っている。


祐兵(すけたか)は足を止め、指で縁を叩いた。


「今朝は、冷えたな」


「川も締まっていましょう」


豊久(とよひさ)は空を仰ぐ。


雲は高く、風は穏やかだ。


通り角で、子どもが走り去る。


先日の双六の面影がよぎり


祐兵(すけたか)は目を細めた。


町は、こうして息づく。


茶店の湯気が、ゆるやかに立つ。


二人は言葉少なに、それを眺めて通り過ぎた。


必要以上に関わらず


だが見逃さない。


足元では、小春こはると黒猫が


路地の影を選んで歩く。


猫たちの足取りは軽く


町の隙間に溶けていく。


「変わりないですな」


豊久(とよひさ)が言う。


「それが、いちばんだ」


祐兵(すけたか)は頷いた。


冬の町は静かだ。


静かなままであるように――


二人は歩みを揃え


また次の角へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ