97.親分蛙の皮
ゲーム内友人はクランメンバー以外皆無のセツナです。
さて、裁縫系かあ。
服飾系って言ってた。
フレンドリストを見るが、唯一モヤシラくらいだ。
もしかしたらクッションとかに使うかも知れないから聞いてみよう。露店面倒。
『こんばんは、セツナです。ビッグブルフロッグの皮を手に入れたんですけど、使いませんか?』
あとは返信を待つ間に本でも読んで、と思ったら即返事来た!
『こんばんは! 親分皮は洋服系ですね~私は使わないけど、結構高く売れる物なので露店がお勧めですよ!』
『露店が面倒で……』
『わはは、わかります! 私も露店許可は取ったけど数回しか使ってません。それじゃあ、私の知り合いの洋服系の人に聞いてみていいですか?』
『店売りもったいないらしいし、よかったらぜひ。10万シェルくらいでいいですよ』
『それはさすがに安すぎるや~。少しお待ちを~』
このレスポンスだとすぐ返事が来そうなのでクランハウスで【持ち物】を整理するかとタンスを開いてそっと閉じた。
ごちゃっててわけわからん。
だめだ、こーゆうの苦手。何が必要で何が必要でないかがわからん。太公望池のゴミと言われたものたちがたくさん入ってる。
裏帳簿……絶対クエストありそうだし捨てたくないなぁ~。
まじまじ見たことがなかったと思い、開いて読み始めたところで連絡が入る。
『フレンドが買い取りたいそうです。12万シェルでいかがでしょうか?』
『是非お願いします』
武器の修繕費を貯めなければならないということがわかったよ。
バキャッって音はもう聞きたくない。
待ち合わせは、わかりやすく『繊維工房わたげ』になる。
「セツナさ~ん!」
店の前でモヤシラが手を振ってる。その隣には小人族の短めツインテール、緑色の目をした女の子。
んん?
「やっほーセツナさん」
「あー、露店の?」
「久しぶり! 親分倒せるほどになったんだねー!」
以前露店を眺めていたときに色々生産職について教えてくれた人だ。
「倒したのは友人なんですけどね~俺はまだあれは狩れないかな。1人じゃ」
そして皮を取り出す。
「おお! 美品。始末するまで一瞬だったやつだね。えー、本当に12万シェルでいいのー?」
「15万くらいだって聞いたし。露店開く手間が省けたというか、露店取るところからなんですよ」
「ありがとう。蛙ちゃんパンツ作ろっと」
パパッとトレード完了。
「美品は戦闘時間が短いとそうなるってことですか?」
「モンスターによるかな? 蛙の親分は接敵戦闘開始から短ければ短いほど美品」
「【鑑定】持ちってことですよね」
「そうね~【鑑定】便利だよ。日々使わないとだけどね。最初生えさせるのにコツもいるし、掲示板見たら書いてあるよ!」
「掲示板はあまり見ない主義だけど、【鑑定】は欲しいなぁ……」
「おお。そういうことか。うーん、普通に狩りとか生活してても【鑑定】は手に入らないなぁ。お礼に【鑑定】スキル生やしに行こうか? 今日まだ時間あるし暇だよ」
「えーそれなら私も行こうかなっ! 納品終わったところだし」
悩んだが、お願いすることにする。
獣人のモヤシラと、小人族のジャンドゥーヤ。3人でまず行ったのがなんとイェーメールの鉱石ダンジョンだった。
『んおー、激混み。騎獣のご飯赤水晶らしいもんね』
『ちょっと重めだね。事故に気をつけよ~』
『了解です』
マップの隅の方に来て、とりあえず鉱石掘りをすることに。
『鉄鉱石たくさん採ってくださいな』
ジャンドゥーヤに言われて俺はせっせと採掘だ。【採掘】は地味にレベルが上がりだしている。
『いやー騎獣楽しみですなー』
『ね! ジャンちゃんは何狙い~?』
『私はもふ枠狙い。もふもふは予想屋さんが教えてくれるらしいから積極的に利用する』
『わかる。もふいいよね~』
『あ、セツナさん掲示板見ないのか。ごめんね』
『いや、大丈夫ですよ。騎獣の話は聞いてます』
というか持ってるしね。
『よかった。セツナさんは何狙い?』
ぎょろちゃんがもういるんだが、希望は――、
『希望は馬』
『馬系もいいよね、わかる。平原早いらしいし』
『先行で手に入れてるフワフワさんの見た?』
『見た見た。動画も見た。めっちゃ気持ちよさそうに走ってた。あー楽しみだぁ……』
騎獣ドリームに湧く2人を俺はなんとも言えぬ気持ちで眺めていた。
レア枠みんなが引けばいい……。
さて、鉄鉱石が50も集まった。そうしたら次はそれをよく見ろと言われる。
『【鑑定】の出し方が、この鉄鉱石をじっと見て、これだと確信した鉱石を言って割ってみて出てきたのと当たってたら【鑑定】が生える、かもしれない』
『鉄鉱石の中身がある??』
『うん、鉄鉱石の中にたまに宝石入ってることがあるんだよ。心の目で見るのよ、セツナくん』
『おー、頑張ります』
『【ビギナーズラック】もこれはノーカウントなんだよ~だからやってない人もたくさんいる。さ、モヤシラちゃん、私たちはもっと鉄鉱石採掘しておこう』
『オッケー』
50で足りない……だと?
出てくる鉱石は宝石類、金、鉄、銅、白金も出ると言う。
『まあ、宝石はどれもちょびっとだけどね。そして鉄鉱石の中の鉄鉱石もある。それは外れ』
なら、価値の低い宝石をずっと言って言ったらいいというわけではないらしい。
『見えるんだよ、本当に。【鑑定】するんだからね。ふぁいとー』
心の目で見るやつか。
鉄鉱石は手のひらに収まるくらいのグレーの石のようなものだった。もっと純度高めの鉄鉱石もあるが、これは【鑑定】すると、『質の悪い鉄鉱石』と出るらしい。このダンジョンの鉄鉱石は全部これで、中に当たりの宝石が少しだけ含まれていることがあるという。
心の目で見る、なあ。
じっと見ていると……見えないよぉ。
『エメラルド!』
ツルハシでカンッと叩くとぱっくり割れる。
『なんか赤い小さい石』
小指の爪もない。5ミリ×5ミリくらい。
『残念賞~!』
『ルビー!』
『はい、残念。ファイトー』
これ、すごい長い道のりなんだがっ!? 一応宝石で出現確率が高いものも教えてもらった。たまにまったく知らないやつも出るらしいが、諦めよう。
『むむむむ、見える、透明の何かが……ダイヤモンド!』
ぱかんと割ると、黄色の星が飛ぶ。おお!?
『お、来た? ステータス見て~』
『……特に変化なしです』
『残念。さあ続けてセツナさん』
5回ほど黄色い星が出たが、結局【鑑定】は増えなかった。
『残念、時間切れだね~』
『ここならセツナさん、1人で通えるでしょ? 時間のあるときにやってみたらいいよ。それで、生えたら今度はすべての周りの物を鑑定したおす! 【鑑定】はMP使うから、MP使わないときに【鑑定】を常に心がけていると、鑑定のレベルがあがるよ。怖いのは、【鑑定】は使わないとレベルが下がります。生えていたのに消える。手に入れたら使い続けないといけないスキルなのです。まあ、10日くらいじゃ消えないけどね』
2人に感謝して今日は終了。今度からミュス狩りと交互に通おうかなぁ。
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次、2回分使って某スレです。




