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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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49.錬金術師たちの現状

ゲスト?回ですにゃー

 錬金術師というワードを俺は聞いたことがなかった。

 いや、もちろんリアルではいくらでもある。本も漫画もアニメでもゲームでもお約束の職業だ。が、ここでは初めて耳にした。

 ざっと本棚を見てみるがそこにも1つもない。

 となると、アンジェリーナさんに聞くしかない!


 俺はルンルン気分でカウンターに行く。

「読書中申し訳ないんですが、錬金術に関する本ってありませんか?」


 アンジェリーナさんは座っている。


 俺はカウンター越しに立っている。


 見下ろしているはずなのに。質問を投げかけた瞬間、俺は、自分が見下ろされている気分になった。

「れんきんじゅつ?」

「え、あ、はい……」

「セツナくんはそれをどこで聞いたのかな?」

「ええっと……」

 何かとんでもないことを言ってしまった???


 答えに戸惑っていると、アンジェリーナははあ、とため息をつく。


「ごめんね。セツナくんは預言書の話を知ってる?」

「それは、……500年前に神殿から消えたという?」

「そう。その預言書。それを持ち去ったのが錬金術師と言われているのよ」


 俺は慌ててメインストーリーの項目を開き、交わしたやりとりを確認する。ベルトコンベア式だから見逃したのかもしれないと思ったが、やはりどこにも書いていなかった。


「そしてこの世から錬金術師は消え失せた」


「え……」


 カクさんは!?


「片っ端から捕まったのよ。まあ、今では錬金術師だったということが嘘だって言われているけど。……だからもし錬金術師に会ったとしてもあまり触れ回らないであげてね」


 つまり、薬師の仮面をかぶった錬金術師がたくさんいるってことか?

 しかしそれならあの人なんで俺に錬金術師だって明かしたんだろう。

 どんな意図があったのか?


 500年細々と生きて、後継に技術を伝えてきただろうに。


「錬金術関連の本もほとんど焼かれたわ」

 笑ってはいるが、怒りを感じる。

「本に罪はないのに、酷いですね」

「知識は宝よね。辛い話」

 ふぅっと息を吐いた後は、いつものアンジェリーナに戻る。


「錬金術が使えたとしても、自ら錬金術師だと名乗る人はそういないわ。もし、もしもよ? セツナくんが錬金術師だという人に会っても、何も言わないであげるのがよいと思う。よっぽどセツナくんのことを信用していたってことかしらね」


 あー、好感度アップ。しかもトウヤくんのお爺ちゃんであるスケさんとの腐れ縁。

 それで明かしてくれた、の?


「普通の調薬師では作ることのできない薬も多々あるって話よ。昔ヤーラさんが話していたわ」

 それはラッキーなんだろうけど。うーん。ソーダたちにも伏せておくか、さすがに。話したら店が消えてたとかありそうで。

 とりあえず他にも情報が流れてくるまではちょっと俺の心に留めておくことにする。

 

 そんなことを考えていたら、アンジェリーナさんが奥に入っていって一冊の本を持ってきた。


「今うちにあるのはこれだけね」

「……焚書は?」

「ふふ。この店は代々継いでいるものだけど、みんな本馬鹿なのよ。これは店内で読んでね」


 500シェル払うといつもの椅子へ。


 タイトルは『ブレーメンの錬金術師は散財したい』。とある錬金術師の、物語だった。

 猫ちゃん……またお金使っちゃってるにゃん。




 その後も他の本を何冊か読んだところで、みんながアランブレに帰ってきたようだ。眠り石を持っていかなければならなくて、後ろ髪を引かれながら退出だ。


 クランハウス集合で、ソーダにぽいっと3つ渡す。1つは見本で渡し済み。赤、これ、美少年の目玉だな。

 ちなみに出来る予定のアクセサリーはペンダントだそうだ。


「デザインなんかも全部向こう任せだな」

 そこにこだわりはない。

「明日にはできるらしいから、できあがったら美少年また狩りに行くぞ。セツナもなー」

「俺も?」

「そそ。【ビギナーズラック】に仕事をしてもらいたい」

 あーそれは、わかる。


 使えるものは使った方がいい。【睡眠耐性5】はギリギリとれたので、ネタクナイノダで7割、低品質でも8割。戦闘終わるまで転がしておいてもらえたらいいし、【ビギナーズラック】のみ狙って挑みたい所存。


 今日もいい加減にログアウト時間なのでお疲れ様でした。





 翌日はちょっと残業があり、3駅前から歩くのをやめようか悩んだが、ここでサボったらだめだということで歩いた。そうすると結構ログインが遅くなる。


『お、きたきた。部屋から出てこい。美少年狩りに行くぞ!』


 どうやらペンダントが出来た模様。

 眠り石はビー玉くらいの大きさだった。それがシルバーの輪の中に嵌っていた。


「高品質1低品質2通常品質1だ」

「運要素が強いのじゃ」

「まあ、そこは仕方ないな。セツナに高品質、俺が通常。八海山とピロリに低品質でいいかな?」

「それが無難ッ! これでセツナっちも眠らなくなるしね」


 熟練度5にネタクナイノダで2の高品質で3。簡単な足し算ですな!


「水瓶のかぶり物と同じ状態ね。八海山もかなり眠らなくなっているからいいわ」

「前回とそう変わらない手順で行きたいと思う」



 それから3日間。

 俺たちは美少年をいじめにいじめまくった。

 どうも、初回特典であったらしく、眠り石のドロップ率は低い。


 エリアボスは一度倒されるとゲーム内時間で3時間は現れないらしく、1日に7回か、ログイン時間によっては6回戦うのが限度。


 合計15回挑戦し、得られた眠り石の数は5個だった。

 そして、解放までに、さらに追加の眠り耐性ペンダントを製作してもらった。

 高品質1、低品質2、通常品質2。


 ありがたいことに高品質をいただく。余った低品質2を頃合いを見て売り出すらしい。


「店頭にネタクナイノダに替わるようなものもまったく見られないし、かなり高値で売ってやる」

「神殿から貸し出しとかあるかもしれないぞ? あの水瓶のかぶり物」

「NPC好感度高くないと無理じゃないか? しかもあれは御神米イベントの一環だったけど、それももうなくなったようだし」


 雨はとうに止んでいる。


「とにかく、明日の夜から解放されるから、すごいことになるわよ。私たちもちょっとタウンクエスト進めたほうがいいと思う」

「メイン! どこッ!!」

 そう、メインクエストの取っ掛かりが見つからないのだ。


スペシャルゲスト〜!!

『ブレーメンの錬金術師は散財したい』

https://book1.adouzi.eu.org/n8295io/


まあもうご存知かもしれませんが、

お友だちのフツカちゃんのお話しです。

冒険よりも生産(錬金術師)をしているかんじで、可愛い猫ちゃんが主人公です。仲間たちも可愛いし、大根が走ります。

もしまだ未読でしたらどうぞ〜


猫ちゃんに、評価ブックマークいいねをぜひよろしくお願いします。


番外編間に合ってよかった(ΦωΦ)ニャ~

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― 新着の感想 ―
猫ちゃん出てきてびっくりしたにゃん!
ブレーメンからここの作品知って読んでます。
猫ちゃんの話が出てきてびっくりしました。 あっちも本屋とは縁が深かったですね(しかし出禁。
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