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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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47.ネタクナイノダ

 砂金採りを堪能した後、俺も街の道具屋を巡ってみる。

 いわゆるNPC店の道具屋は、ラインナップが回復薬、毒回復薬でほぼ終わっている。あとは小物。ナイフ程度の武器。バリエーションの幅は皆無だった。

 なので次は薬師を尋ねてみることにした。

 最後の道具屋さんに、薬師の店舗を聞いてやってきました。なんかおどろおどろしい店舗だ。今にも落ちそうな看板。『屋りわさ』とある。右から読むやつ~! 『さわり屋』て、お触りではなく、お障りの方だな。え、こわっ!


「すみませーん」

 中はヤーラの店と同じようなたくさんの草の匂いが渦巻いている。

 天井からぶら下がっている草じゃない怪しげなものにちょっと怯えた。だって棚のところまがったら突然現れるんだもん。目玉付いてた気がする。


「何かようか?」

 こちらの薬師は婆でなく爺でした。

「こんにちは、少しおたずねしたいことがあって、薬師ならこちらだろうと紹介してもらいました」

 カウンターがあるのは変わらないので、そちらへ近づきながら説明する。

「山のモンスターの眠り系攻撃を緩和したり治したりする薬ってありますか?」

 側に置いてあった眼鏡を掛けながら、ふむ、とうなる。

「あるかないかならない。作ることは出来るが材料が足りない」

「材料……」

「事前に飲んでおくと、眠りを誘う攻撃に対してある程度抵抗することができる」

 あるじゃん!! ってか、ソーダたちなんで見つけられてないんだろう? ……店員と話してない??

「まさにそういった薬が欲しいんですが、材料ってなんですか? 取りに行けたら取ってくるので、作っていただけませんか?」

「ふむ。お前さんアレだろ。定食屋のじじいんとこの孫を救ったやつら」

「あー、タイミングが良かっただけですが、そうですね」

「あそこの爺とは腐れ縁でな。仕方ねえな……材料を本当に持ってこられたら作ってやるよ。手間賃だけでな」

 おおー!

 で、提示された材料ってのが、ドルミレ草と、眠り薬。


 ここで使うんかぁぁぁ!!


 しかし、美少年倒して手に入る眠り薬。美少年を倒すのに作りたいがその材料が倒したい相手から出るって。もしかしたら、超レアで手前のフェアリーサルースからも落ちるとかいうやつかなぁ? そうじゃないと攻略難しそうだよな。

「ドルミレ草の生息地を教えていただいていいですか?」

「おう、地図がここいらに……と、これだ」

 ガサガサと開いて一点を指す。ローレンガへ来た道を少し戻ったところにあるようだ。しかし、俺はここも普通に歩けないところ。これはクランメンバー招集だな。みんなが欲しがってたものだし。

「それじゃあなるべく急ぎで採ってきますのでお願いします!」

「あー、ドルミレ草はそう難しくはないが、問題は眠り薬だろ。あっちは今じゃ幻っていわれてるよ。入荷もない。なんでも山の向こうの街の植物から採れるとか採れないとか。その採取法が今は失われてしまったとか」

 山の向こうの植物……美少年山向こうからきた?? まさか、美少年のよだれ詰めて売ってた?

「眠り薬はたまたま手に入ったのがあって持っているんです」

 俺の返答にお爺さんはくわっと目を見開いた。

「そいつはすげえな。よし、早く採ってこい!!!」

 はーい。


セツナ:

先に飲んでおくと眠りに対抗できる薬の材料がわかった。

眠り薬とドルミレ草。ドルミレ草はローレンガに来る途中にあるらしいから俺だけじゃ死ぬ。

八海山:

待っていてくれ。すぐ戻る。



 本当にすぐ帰ってきた。

 そしてパーティーへ入れられる。

『どこでそんな情報を!』

『薬師のお爺さんから』

『薬師の店には俺も行ったんだけどなぁ……』

『やっぱりセツナくんのNPC親密度異常よぉ~』

『みんなNPCと会話しないからじゃないかな?』

『NPCと会話……じゃと?』

『店舗のNPCってわりとビジネスライクだよねッ!』

 天気の話とかしないの?




 すでに来た道だ。今回も俺は後ろからついて行く係。道案内だけした。

 で見つけましたドルミレ草。ヤーラの採集キットで丁寧に掘り起こす。どれくらい必要かわからないのでとりあえず10本ほど。

「わりと近いし、足りなかったらすぐ採りにこられるな」

「結局みんないくつ眠り薬もってるんだっけ?」

「1人1本は確実に持ってたはずよね」

「私は3本持ってるのじゃ。せっちゃんよ、これをそのじーさんに渡すとよい。自分の分はそのまま持ってるのじゃ。せっちゃん今のところ戦闘に来ないし。出来たのもらうのは私たちじゃしー」

 ということで柚子から眠り薬をいただく。

「金も渡しとく」

「いや、いくらかかるかわからないし、たぶん法外な値段にはならないと思うから後でいいよ」

 腐れ縁の縁で、高額なら先に言ってくれるだろう。

「とんでもない値段だったらすぐ呼べよ」

 本当に少しの時間も惜しいらしく、ポータルで帰って彼らは即狩りという名のソーダの睡眠耐性熟練度を上げる旅に出た。かなり過酷らしい。案山子や柚子は詠唱中で動けないことも多いので、殴るのが半蔵門→八海山→ピロリの順番らしいが、ピロリに殴られたらダメージがでかい。





「早かったな」

 そういって俺の持ってきた材料を見た爺さんは、頷いて奥へと向かった。ついてくるように言われて、カウンター横の出入り口から向かう。

「薬師には2種類あってな。鍋で火にくべて作る調薬師と、俺みたいな錬金術師だ」

 そういってバサッと錬成陣を広げる。なんか、少し薄いヨガマットみたいなやつ。深い青色で、白で色々な模様が描いてある。部屋は四畳半みたいな感じだがそのほとんどを覆い尽くすほど大きい。

 さらにその上に鍋を置いた。両手で抱えるほど大きい。学校の給食室みたいな感じ。

 俺から受け取った材料を、ぽいぽいと鍋に入れると、怪しい煙がわきたってきた。材料に対しての素材の量よ!

 煙の色は深い緑。匂いは……カットされたのかな? 全然、異臭すらしない。

 自分の身長くらいあるへらでかき混ぜると、やがて煙が消えた。


「よし、成功だ。瓶は……ないよな。適当なもんに入れといてやる」

 ……ニホン酒のボトルだよそれ!! 生活魔法の洗浄で綺麗にしていたけどさ。

 しかも720ml瓶じゃなくて、一升瓶の方!

「いいか、1回に飲むのはこの蓋にすり切り1杯だ。それで大体1時間しのげる。2時間分といって2杯一気に飲むのは厳禁だ。薬も毒になる」

「わかりました。ありがとうございます」

「材料がたくさんあったらこっちにも回してくれ。買い取りたい」

「了解です」

 まあ、サーバー全体が解放されて、他のプレイヤーも美少年倒す頃に、かな。そこら辺の見極めは出来る気がしないので、ソーダに任せよう。


 ということでできあがりました。

 『ネタクナイノダ』

 ……ネーミングセンスよ。

ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


某ネ◯ノダの逆を行く感じの。

てかあの商品のネーミングすごい好きなんですよ!!

初めて見たときの衝撃というかなんというか。


ちなみに私はネタクナイモン(念タイプ)に毎晩やられてます。そして翌朝今日こそ早く寝ると誓ってる。

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― 新着の感想 ―
小◯製薬が販売してそうな名前だなぁ… ネルノ◯は確かによく効く
翌朝今日こそ早く寝ると誓って ←当日、「まだ〇〇時だし」「……まだ、早いし?」「あと三十分、い、いや、あと一時間……」、そしていつもの時間に、、、なんていう自分との戦いを、毎日飽きもせず繰り返してるん…
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