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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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385/390

385.ウロブルで見つかったもの

 俺たちがクリアしたことで、他のプレイヤーも風輪の層を進めたそうだ。一番大変なのはやっぱり火の層の攻略。紐ぶん回しがくると、やけど状態になるし、スキル発動率が体感50%になるという。スキル使えないの怖い。


 あと、蓮の花びらは、それぞれ一枚ずつ四枚で一組になった。地、水、火、風で一輪になる。

 蓮の花を最上階で池に浮かべると、シェルが手に入った。直で金が財布に転がり込む。


 初めてクリアしたときはウインドウから宝珠を選択してそのまま入り口に飛ばされたが、二回目以降はもう宝珠は手に入らない。その代わり、貯めていた蓮の花を浮かべて金を得る。花一つで5万シェル。蓮の花びら〈火〉だけがやたらと多く出るので他の階を周回することが流行っているという。


 そう、どの階からでも始められるようになるのだ。


「たぶん、クランハウス費用を放出したから手っ取り早く金を集められるダンジョンにしたんだろうな」

「水輪の層が協力しないといけないから、ちょっとギスギスしているらしいわよ」

 と楽しそうなピロリ。揉め事好きだなー。


 俺たちの当面の目標も目減りしたクラン資金補填なので、金稼ぎには間違いない。レベル上げを考えると、火の層だが、他より花びらがよくでるので周回はしない。楼閣でレベル上げはほぼないのだ。


「バブーンと戦って、ブルーアドミラル狩りからの木の実と枝拾いが、レベル上げと金策には一番かしらね~」

「枝は大量供給するのだ。枝と魔石のどちらかの比重を多くしておけば、マッチングが行き届くのじゃ」

 とにかく木の実が高値で売れるので、金欠の俺たちにとっては助かる。


 柚子と案山子の返済を心配したソーダと八海山が、二人の分配分を直接俺に流すようになってきた。

 手元からすぐ消えちゃうから、その方が安心安全なのじゃと、己をよくわかっている柚子は納得し、食材を買いたかった案山子は口を尖らせていた。材料費は俺もお世話になるから渡そうと思うのだが、そこはクランで定期的に払っているからいいそうだ。


「その辺りの金の計算は俺がしているから大丈夫だ」

 わんこがキリッとしていた。頼りになりそうだ。


 とにかく個人への借金を早く返済しろと言われていた。今お金に困ってないから別にいいのだが、それはそれ、これはこれと怒られました。


 まあ俺も金はちゃんと貯めておこう。一億もらったのに一気に半分減ったってことだしね。



 今日は本当にお久しぶりの図書館修繕だ。

「こんにちはセツナ君」

「よろしくお願いします」

「こちらこそ」


 本当はもっと真面目に取り組めばクエストが進むのだろうけど、ついついみんなと狩りに行っちゃうな。こちらに全振りがなかなかできなかった。


 今回も直接ハトメールが来たのでアンジェリーナさんに一応報告してやってきたのだ。だって師弟ですもの!!


 ここでの仕事はもう慣れたもので、さっさと捌いていく。溜まっていた仕事を終えると、最初案内してくれた司書がやってきた。


「いやー、助かったよセツナ君。もうすっかり修復師の顔になってるね!」

「そうですか、お役に立ててよかったです」

 どんな顔だよ。


「ところで、ウロブルにはよく行ったりするのかい?」

「あー、まあ、ここのところミラエノランでしたけど、行くことは行けますよ」

 何かおつかいかな? ウロブルは学院があるので移動が楽だ。


「実はね、ウロブルの図書館で何か古い文献が見つかったとかで騒がれていてさ。もしよかったら修復師として行ってみるのはどうかなと。いい勉強になるよ、きっと」

 ほうほう。


 つまり、ウロブルまでのデートに誘えってことだね! 任された!!


 びっくりするほど安い報酬をいただいて、アンジェリーナさんのお店に移動だ。

「こんにちは~」

「いらっしゃいセツナくん」


 季節感のないゲームの中では、アンジェリーナさんはいつも刺激的な格好でいらっしゃる。

「お仕事どうだった?」

「ばっちりです。それで、なんかウロブルで古い文献が見つかったとか。司書さんに、修復師として行ってみたらって言われたんですけど、アンジェリーナさんは……」

「ああ、聞いているわ。興味はあるんだけど、ちょっと行けそうにないのよね」

 NPCとしてはアランブレからウロブルまでは遠い場所になるのだろう。気軽にひょいひょい移動する俺たちが異常なのだ。


「そうですか」

 じゃあいっか。


「セツナ君が行くならどんなものがあったか教えてくれると嬉しいわ」

「おまかせくださいっ!」

 行ってきますよ。そして微細に語りますよ。


「何か仕事になるかもしれないし、少し道具を持って行った方がいいかもね」

 そう言って渡されたのは、ちょっと難しい仕事でアンジェリーナさんが使っていた道具だ。俺は見ていただけ。


 つまり、修復師レベルアップ! 次の段階へときたということ。嬉しい。アンジェリーナさんに認められちゃってる! とっても嬉しい。


「使い方はわかると思うけど、困ったことがあったら連絡ちょうだいね」

「はい。ありがとうございます。何かお土産買ってきますね」

「土産話で十分よ」


 カウンターの向こうでにっこり笑うアンジェリーナさんに手を振って店を出ると、俺は意気揚々とウロブルへ。ポチッとな。


 一瞬で移動できるのは嬉しい。

 ソーダたちは相変わらず学園に籍を置いているようだ。学園は結構秘密があるらしく、動く石像の謎を追うと、闇魔法の痕跡を見つけたりするクエストがぞろり出てきているという。あちらも楽しそうだ。

 が、特に必要性を感じない。そこまで手を広げては本当にやりたいことを見失う気がする。


 というわけで、俺のやりたいこと、アンジェリーナさんの望みを叶えることを進めるとする。

 準備室から出ると、エナドリの時の先生と我らがブラウン先生がいた。


「お久しぶりです!」

「よ、セツナ。ご無沙汰だったな」

「ちょっとミラエノランに行っていました」

「おお、あのエルフの里か」


 ちなみにメインクエストはまだ進めていない。忙しくって。忙しくて忙しくて、アンジェリーナさん成分を補充する方に意識を傾けてしまった。


「今日はウロブルの図書館で古い文献が見つかったという話を聞いたので、行ってみよっかな~と」

「本当に来訪者は好奇心がいっぱいだな」

 エナドリの先生が笑う。


「行っても見られないだろう。俺たちだって見せてもらえなかったぞ? 学院はわりと優先されるってのに」

 なあ、と二人がうなずき合ってた。そしてエナドリの先生が立ち上がる。


「それじゃあ俺はこれくらいで研究に戻るよ。エナドリEXの開発が忙しくてね。紅茶をありがとう」

「おう、まあほどほどに頑張れ」


 EXとか、やめろよ……あれ以上うちのヴァージルを鬼化しないでください。ホントおそろしかったんだから。

ブックマーク、評価、いいね、感想、ありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


うちのヴァージル認識なんだなって、文字にしてみてわかった。

最近ヴァージル出てないね〜と思いつつ。

あいつくると全部持ってくから出す加減が難しい。


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― 新着の感想 ―
貸本屋の人達って個性的な方々がいますねでもアンジェリーナさんもしかして結構なお家柄のご令嬢なんじゃ・・・・・・・まさか護衛がヴァージルさんなんじゃ無いかな?
「まあお金を貯めておこう」って言えるのはいいゲーム。世の中お金は余って、使うのは別の資源になるゲームのなんて多い事w
しかしホント、楽しそうなゲームですね〜。実際にあったらやりたいです
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