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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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367/390

367.【番外編】聖夜の夜にゲームする2

 赤い包装紙に緑のリボンのプレゼントボックスな俺。今、工場内に張り巡らされたベルトコンベアに乗って移動中です。


セツナ:

ベルトコンベアで移動中。完成体になってるけどサンタに攫われなかった!


ソーダ:

なにぃ!? もう周知しろ、お祭りだ!



 ソーダから許可が出たので周囲に聞こえるよう声を上げる。


「リボンまでついてるヤツ、ベルトコンベアに乗ってみて!!」


 通り道が塞がれて面倒だなと思っていたベルトコンベアだ。確かに乗って移動もしていた。だが、行きたい方向に動いているとき利用する程度で、すぐ降りていたのだ。


 出荷サンタに襲われないなんて思ってもみなかった。

 何カ所かハサミが現れるエリアがあり、使えばプレゼントの包みが破けるので破いていたが、真の攻略法は出荷されることだったのか!


「マジだ! サンタに捕まらない!」

「みんなプレゼントボックスになれー!」


 完成していたプレイヤーはベルトコンベアに飛び乗り、まだ完成していなかった者は包装紙やリボンに襲われに行く。


 移動する俺の隣にぴょいと現れたのは八海山。金色のリボンでおめかししていた。

 リボンは、箱にもかかっているが最後に頭に大きなちょうちょ結びをされるのだ。


「ずいぶん可愛らしくなりましたね」

「セツナ君もね」


 ベルトコンベアはこのマップというか、フロア全体を縦横無尽に走っている。空港にある黒い荷物を載せているアレそのままだ。

 周りでは先ほどまで追いかけ回していたリボンが追いかけ回されていた。丸いセロハンテープの芯のようなものに、色とりどりのリボンが巻かれている。それが空中をフワフワ優雅に飛びながら、包装済みのプレイヤーを見つけると、しゅるしゅるとリボンを伸ばしてきていたのだ。

 逃げ回っていたプレイヤーが一気に集まってきて我も我もと包装を頼む。それは異様な光景であった。


 包装紙は、一反木綿よろしく空中を漂っている。それが工場内のあちこちにポップするプレゼントボックスに飲み込まれたプレイヤーを包み込むのだ。目の前が暗くなったと思ったら、すでに巻かれて完成しているという、なかなかの手練れだった。


 つまり、プレゼントボックス完成体になるのはそれほど難しいことではない。


 色を選ばなければ。


「早くしろよ!!」

「オレンジがいい、オレンジのリボンがいい!!」


 ロジックのリーダー、ダインがオレンジ色のリボンにこだわってあちこち駆け回っているのをベルトコンベアーの上から眺めている。

 頭も瞳もオレンジだから緑とか黄色とかの方が似合いそうなのに、あくまでオレンジがいいらしい。


 ベルトコンベアはぐるぐる工場内を巡りながら、最終的には入り口とは逆方向の隅へと向かった。そこの先はパステルピンクとパープル、そして白の可愛い壁紙がある。

 ベルトコンベアが唐突にそこで切れているのだ。


「壁にぶつかる?」

「いや、違うな……」

 よく目をこらすと、俺より前に完成体になって進んでいたプレイヤーの姿が、壁にぶつかりそうなところでふっと消えた。


「壁の中に吸い込まれた?」

「目くらましなんだろう。あの先に次のイベントがある」


 とはいえ壁にぶつかりそうになるのはちょっと不安で思わず目を閉じる。


 が、次の瞬間、真っ暗な空間の前方に白いディスプレイが現れた。赤い文字でCautionと書かれている。

 座っていたはずなのに立っている。

 他にも色とりどりのプレゼントボックス完成体が立っていた。


『君たちは選ばれたプレゼントボックスだ。これより打ち上げ準備に入る。クリスマスツリー星団に侵入後、速やかにブラックサンタを発見、排除しろ。緊急事態発生! 緊急事態発生! ブラックサンタ襲来。クリスマスツリー星団に現れた、準備したプレゼントを持ち去ろうとするブラックサンタを捕獲、排除しろ。総員プレゼントボックスへ擬態し、占拠されたクリスマスツリー星団に侵入する。緊急事態発生! 緊急事態発生! これより打ち上げ準備に入る』


 同じ言葉を繰り返し、アラートが鳴りまくり、物々しい雰囲気に戸惑うプレイヤー。


『準備完了のプレゼントボックスから打ち上げポッドへ移動しろ』

 部屋の両脇にはINと下矢印が書かれている空間がいくつも並んでいた。


「何が起こっているのか把握する前に物語が流れていく映画のようだ……」

 八海山が呆然としていた。頭に金のリボンをつけたまま。


「とりあえず多分向こうで戦闘ですよね」

「たぶん、だけどね。パーティー作っておこうか」

 わけがわからないけどまあとりあえず行ってみるしかない。ソーダもこの中にいるらしいが、みんな箱形でわかりにくいのだ。


「八海山、俺も入れて!」

 見事全身オレンジになったダインと、猫じゃらしだ。


「うちの面子先に行ってるのがいて、わりとバラバラに落とされるから攻撃出来ないやつ気をつけてって。ツリーの木の枝みたいなところに落とされて、黒いサンタ衣装着た白髭のじーさんがいるからそいつと戦闘になるそうだよ」

 猫じゃらしからの報告に、八海山は頷いてできる限りのバフをくれた。

「公式の告知がまったく嘘で笑えるな」


 ほんとそれ!

 なんなんだよあのプロローグは。


 クリスマスツリー星団に祈りを捧げよ、だっけ?

 俺たちが捧げられてる……ってそーいうことなの!?


 クランメンバーを見つけたらパーティーへ入れるということになり、打ち上げられに参りましょう。

 古式ゆかしい発射態勢だ。縦型のポッドにこちらを向いて入る。シュッと音がして目の前にプラスチック製の透明カバーが現れたかと思えば、勢いよく打ち上げられた。


 ぴょーんってさ。

 それはもう見事にぶちあがるんだよ。

 こういったところの浮遊感はカットしてくれるのは嬉しい。感覚的には、新幹線に乗っていて窓の外側の風景がドンドン変わっていく感じだ。真っ暗な空間に光る星がとても綺麗だった。


 夜空の星が迫り、よくわからない惑星が右手を通り抜け、やがて緑色の星雲が見える。赤や黄色、オレンジの電飾風星々が光って、どさっと放り出されたのは木の枝。もさもさのもみの木。


『到着』

『こっちも~』

 猫じゃらしだ。

 八海山とダインからもすぐ着いたの連絡。みんな見事にバラバラに落とされたようだった。とりあえず上に向かって移動をすることに。宇宙空間設定で上も下もないとは思うが、クリスマスツリー星団のクリスマスツリーマップということで、一応縦に配置されている。木の幹は四方に伸びているから、その枝の先から上を見ると黄色いお星様がチラ見できるのだ。


『自分がどの高さにいるかすらわからん! 故に集合する方法もわからん!』

 とはダイン。確かに、俺の方が上にいるよとかもわからない。


 なのでみんな上を目指すのが一番のようだ。



ブックマーク、評価、いいね、感想、ありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


クリスマスに関係のある星座ってないかなぁと思ったら、クリスマスツリーがありました。

知らない方はぜひ検索してみてください。

ほんとに、クリスマスツリーだったw

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― 新着の感想 ―
〉「何が起こっているのか把握する前に物語が流れていく映画のようだ……」 ツッコミ入れようとしたら完璧なのが提示されたのウケるw ちなみにドイツにブラックサンタって実在していて悪い子の部屋に豚の内臓…
〉君たちは選ばれたプレゼントボックスだ どういうことなの…
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 宇宙空間で戦闘するのか
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