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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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364/390

364.砂の魔人

 親切な鳥さんたちのアドバイスに則って、俺たちはプライベートビーチじゃない方の浜辺へ向かった。


「しかしでござるね、ビーチでダンジョンの話がまったくないんでござるよ」

「ハマグリや砂の魔人に関してもないな」

「セツナ、なんか情報ないの?」


 そうは言われても、ホント、貸本屋行く暇なかったんだよ。

 何もありません。


「明け方だって言ってたよな」

 俺たちが明け方に行けるのって1ログインにつき1回だ。2回目の明け方のあとはログアウトの時間になってしまう。


 つまり今日見つけるなら今回がチャンス。

 あの生意気な鳥たちが言っていたことをよくよく思い返す……。


「あ、八海山が砂を掘るって言ってた」

「砂の中からハマグリを探すとかはありそうでござるね」

「で、それをハマグリは倒さずに砂の魔人を倒せと」


 ありそうだという話になった。



 エルフの街の砂浜は大人気スポットとなっているそうだ。リアルではなかなか海に行くぞと思いきれない人たちも多い。


「可愛い水着を、衣装作家たちがこぞって売り出しているのよぉ……ぐぬぬぬ」

 クランハウスで金欠のピロリが悔しそうに唸る。


「普段の服が水着みたいなもんだろうよ」

「何言ってるのよーっ!! 全然、全然違うんだからっ!」

 八海山と同じことを思っていた。口に出さなくてよかった。だいぶ揉めてる。


 もう午前4時だというのに、ビーチは人で溢れていた。砂のお城を作ったり、埋もれていたり、花火までしている。現実で花火は怒られるもんなあ。

 海の家もあった。ここも24時間営業だそう。この海の家で積極的に花火は売り出されている。


「こっちのビーチ来てなかったけど、普通に楽しそう……」


 きっと【夜目】を持ってる人たちなんだろうな。

 パリピもいた。なんかバーベキューしてるんだが、あれ道具はどうなってるの?

 そんなキャンプ用品みたいなのもあるの!? あるなら、ちょっと島に持ち込みたいな。


 案山子の目が釘付けなので多分同じこと考えてる。

 正直、静かな場所がない。


『掘りやすそうな場所、ある?』

 とソーダが八海山に聞いた。


『え、獣人レーダーみたいなのあるの?』

『ないよ』

 笑って言う八海山だが、その視線があちこち向いている。


『だが、ハマグリというからには海の中だと思うんだ』

『潮干狩りでもしてみるでござるか?』

『効率はよくないわよね~』


 ということで【鑑定】の出番だ。干潟があればいいけども、

 よくよくしっかり【鑑定】してみると、アサリが見つかりそうな波打ち際、とかちょっとした情報が紛れている。


 俺と案山子でじっと海を……実際にはその下の砂を眺める作業をしていると、異変が。

『あったッ!』

『ありましたね』

 ハマグリが眠っていそうな波打ち際とある。海の中だがそこまで先に行くわけではない。


『八海山! ここ掘れワンワン!!』

『俺の採取の方がよくない?』

 ヤーラ婆にもらった採取道具が火を噴くぜっ!


 海に浸かりながらせっせと掘っているとすぐにがっつりあたる。

 砂がすぐ被るから大変だが一生懸命掘ったら半分くらい見えたところで突然ハマグリが飛び出した。


《ミッション! 眠れるハマグリ》


 わーお、クリア目標が告げられない。

 だが、周囲も巻き込んだミッションに、パリピな冒険者たちが瞬時に衣装チェンジした。

 慌ててソーダが周知に走る。


「このハマグリにダメージは与えないように!! たぶんすぐ、砂の魔人が……」

 そう言ってる間に浜辺の砂があちこちで噴き上がる。


「かなり強いと思われるから、無理はするな!! 第7都市のダンジョン出現クエストだぞ!!」

『たぶんね★』

『確証はまだないのじゃ』


 間違ってたらごめんなさいで終わらせるからいいんだそう。まあ、動画見たらそう思うよねーで終わってもらえるだろう。


『アライアンス組むからな』

『アイアイサー!』


「アライアンス組むヤツは受け入れるけど基本自分の身は自分で守れ。レベル足りてなさそうなら悪いけど一度砂浜から避難してくれ!」


『スレへの報告完了。バフ行くぞ』


「ハマグリへの攻撃はなしよー! 範囲攻撃も気をつけてね! 周知よろしく」


 俺は付与を悩んでいた。


『蒼炎とロジック、漆黒、来れるヤツはみんな来るって言ってる』

『重くなりそーっ! どっかで制限来そうね。1度落ちたら戻って来れないやつ。死なないよう気をつけましょう』


 砂の魔人があちこちに誕生している。ハマグリから何やら霧のようなものが出ていた。


『視界が奪われるわね』

『【気配察知】の2人はアライアンスで言うときは共有グリッドマップでちゃんと言えよ』

『えっ……何それ』

『セツナ殿はパーティーチャットにだけ言ってくだされ。共有するのは拙者がやるでござる』

 戦闘慣れしてないのが露呈する。


 できないことは置いといて、俺のお仕事ちゃんとします。


『砂相手は何を出したらいいかわからないのじゃ』

『とりま各種初期魔法いってみますかッ!』

「【ファイアーボール】」

「【アイスアロー】」

 2人の放った魔法がハマグリのすぐ横に出現した砂の魔人に吸い込まれる。

 当たった瞬間崩れて……少しだけ移動してまたすぐに出現する。


『手応えナッシングッ!』


 ピロリも斬りにかかるがまったくダメージが通らない。

『砂って厄介ね~!!』

 たいへん不満そう。


 そこへ声が降ってくる。


『砂を固めるなら、水だろう!』

 いつも元気なオレンジお兄さんダインだ。後ろにロジックのメンバーもいる。


『てことでお水魔法よろしく』

「【ウォーターボール】」

 ロジックの魔法使いが放つ【ウォーターボール】が砂の魔人に当たると、そこを中心として形を変えられなくなるようだ。すかさずダインの剣が砂を斬る。


『うーん、イマイチ』

『範囲が狭いから微妙なのかな』

『【アシッドレイン】してみます?』

『酸は拙い気がする。ハマグリに当たったらだめなんだろ?』


 水魔法の範囲攻撃は【アシッドレイン】らしい。字のごとく、酸性雨。


「【ウォーターボール】でちょこまかやるしかないかな」


 水か。【針雨】はハマグリが死にそう。

 ならば、と細剣(レイピア)を取り出す。今まで素手でした。


「【水付与】【濁流】」

 一応ターゲット1つなんだよね。俺の細剣(レイピア)から濁った水が砂の魔人1体に向けて飛び出す。


 周囲の砂までびちゃびちゃだ。


「【ひと突き】」

 ダインがすぐさま突撃すると、今度は全体がしっかり濡れていたのだろう、ダメージが通り、さらさらな砂じゃないから元に戻ることもできなくなっていた。


『セツナ! 他のところで魔法使いがいなくて戦いあぐねてるやつらのサポート行ってやって』

『了解』

『せっちゃんのMPタンクしてくるのじゃ』

『俺も行ってくるッ!』


 魔法使い改め2人の魔術師が俺のMP代わりになってくれるらしい。頼もしい。

 

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― 新着の感想 ―
みんなで「いやー、ダンジョンどこにもないねー」って遊んでたらダンジョン開始イベントがあっちから来るの面白い。 この小説はちょくちょく一般視点を想像すると面白い展開になるのが楽しくていいです。
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 楽しんでいたら、急にダンジョン出現クエスト始まるの 相当驚いただろうに
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