356.空の上でクランハウスの相談会
ソーダの言葉にみんなが固唾を飲む。
ソーダ:
2つ目のクランハウスを持つためには、金額倍、貢献度1.1倍」
ピロリ:
えええええ!!!!
半蔵門線:
マジでござるか……お金倍な上に……ここで貢献度とは! 拙者のお豆ポイントでなんとか。
八海山:
ちょっとランク落とさないと結局手に入らないまであるな。
ソーダ:
申請は第2希望まで受け入れてくれるらしいよ。で、上から抽選してく感じ。
第1は1番欲しいところを狙って、第2は押さえで確実に取れるようにするもよし、第1をかなりランク落としてそれでもある程度のところを狙うもよし、みたいな。まあ、1つ目持ってないところが優遇されるのはされるだろうなあ。
柚子:
今お金、お金……そんなにないのじゃ。
八海山:
NPC売りでないと、クラン者はみんな財布の紐を締めるだろうな。買い取りに期待できない。
何かあったか……。
ソーダ:
クラン資金が3億ちょいかなー。2億ちょいの物件買うためには4億必要。
個人から出すのも限界があるだろう。
案山子:
人数いるところは強いだろうね。
などとクランハウスで話をしているところにファマルソアンがカランさんからなにやら紙を受け取っていた。
「ちなみに、みなさんには希望小売価格の8割でお売りさせていただきますよ」
「えっ!? いいんすか!?」
驚きに思わずソーダが声を上げる。
「ただではあげられませんからね。エルフ舐めないでください。でも、本当に第7都市はみなさんに感謝しているんです。ぜひクランハウスを持って今後とも末永いお付き合いをしていただきたく、購入しやすい、手の届く価格にさせていただきたいと思っております」
八掛けバフはこうなるとありがたい。
「……ファマルソアンさん、ちょっとクランハウス購入について話し合いをしたいのでよろしいでしょうか」
「ええ構いませんよ、甲板じゃなんですから、お部屋を用意しましょうか?」
と気を遣ってもらって船室へ移動した。ふかふかクッションのいいお部屋だ。私船と言っていた。基本荷を運ぶためのもののようだが、いくつか客室もあるようだ。
「物件が出てからだけど、金は向こうから提示されるだろう? それの2倍の8割」
「1億なら1億6000万か」
「そこは金だから、争うのはやっぱり貢献ポイントだ。ってことでみんな提示しろ、己の貢献ポイントを」
ええっと……貢献ポイントね。これは……うん。
と思っていたらフレンドチャットだ。
『セツナ君!! 貢献ポイント話さないといけなくなった! すまんが全部ゲロることになりそう!』
ですよね、猫じゃらしさん……。
『たぶん俺らが1位2位なんだよね、山分けポイントエグかったし。だから、クランハウス同じところを選ぶのはお互いに利がない! 貢献度暴露してバッティングしないようにしたい。金がないなら問題外だけど金額出た後でいいからどっちのクランが多いか比べない? なんなら俺の方のクランの貢献度だけ言うから、そっちで判断してもらってもいいよ』
『あー、ゲロるしかないですよね……てことは未だバレていないセークティオの話を?』
『するしか……ない。他鯖でも内緒にしてるのかゲットした人がいないのか、スレでも話題にも上がってなかったんだよ、セークティオ。うちの鯖だけが異常というわけじゃなかったんだよな。他にもいくつか王様が出張ってきて刀振って片付けたところがあったから、探し当てたやつがいそうだけど、伏せてるんだ』
『みんな貢献度と金を山分けしてますよね』
『妬みがすごそうだから伏せてるな』
「おい、セツナ、お前の貢献度いくつ?」
ソーダに急かされた。
「ちょっとまって、今相談中」
「相談?」
「秘匿情報が詰まってる」
クランメンバーがんん? と疑問を顔に出しているが、八海山がなんかピンと来てる! さすがだ。
『セツナ君の方が高そうなんだよね。ダインがセツナ君が貢献度持ってるからなあって言ってるところ』
『あー、空の国の時かな』
ダンスパーティーで驚かれた。多分4桁はほぼないのだろう。
『普通にメイン進めててもらえるのも多いし、セツナ君のところってみんなメインちゃんと進めてるもんね。それでいてイベントにもしっかり参加してるイメージだ』
『この間の微睡みの地竜もけっこう針を納めましたね』
『豆まきもやってたしなー! こっちの人数は多いけど、貢献度はそっちのが高そうだなぁ。俺らの方が提示するでいいよ』
『そこら辺はトップで相談してもらいます』
話し合いは終わりだ。
みんなに向き合う。
「えー、猫じゃらしさんから連絡をいただいて、ソーダに、欲しいクランハウスが競合しないよう貢献ポイントを教え合わないか、ということです」
「おう……なに、猫じゃらしといつの間にそんなに仲良くなってたの?」
「いやー、ちょっと、ね! へへ、王様に謁見しちゃって」
「はっ?? もういい、とりあえず貢献ポイントをさらせ!」
「現在、16642ポイントあります」
む、無言が辛い。
猫じゃらしと話しつつもみんなの貢献ポイント聞いてたんだが、半蔵門線が4000越えるくらいであとはみんな1000台だったんだよね。
長い長い無言のあと、八海山が言う。
「俺たちのところは28653ポイントだな。深淵のクランメンバー拡張はマックスで1クラン20人が最大だから、1人1500ポイント平均だと負ける可能性があるということか……深淵も巻き込んで相談したいな。取りっぱぐれるのが1番キツい。ソーダ、連絡を取ってくれるか?」
「いやまてまてまてい!! そこじゃないそこじゃないだろう。いや、大事だけど、セツナお前なにしたんだよおおお」
ソーダの反応が普通だと思う。八海山は、すぐさまクランハウスへの算段し始めた。現実的。
「えー、ほら、空の国で豆の木グローイングアップした!」
「それは知ってる。3000ポイントもらってたなぁ」
「3000!? すごっ。ヤバイ。完全秘匿情報!!」
「あの豆にそんな価値がッ!!」
恐ろしく高価な豆でした。
「後はこの間の学園令嬢大爆発回でさ」
「あ、うわっ……サーバーによっては決闘なくなってたけどそれか」
「子爵令嬢ごときがのさばってるのがおかしかったのじゃ」
そうなんですよ。みんなそこから先に行けなかったのは、学園内のクエスト多すぎて忙しかったから。まさかあれが目くらましなんてな。
「子爵家を王家が押さえられなかった理由が、ちょっと前にゲート封鎖戦というのがあったんだって。そこで使われたセークティオっていう縁でも力でもなんでも断ち切ると言われる伝説の剣を、子爵家が所有していて王家を脅してたってやつなんだよねー。でも実際はもう持ってなくて、俺と猫じゃらしさんでそれを見つけて王様に献上したら凄いポイントもらっちゃった……」
なんか、ちょくちょくもらってるんだよね。記録ないからうろ覚えの分はもうわからないけど。
「猫じゃらしと、何やってんだよお前……。まあいいや、貢献度の方は1.1倍だし、条件はロジックも深淵も一緒だからな。八海山はあと競合しそうなところをピックアップしてくれるか?」
「たぶんないと思うが」
「俺はジラフとダインに連絡取るよ」
そんなことをしている間に飛行船は第7都市ミラエノランに到着した。
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