表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

314/362

314.乱戦終了と、トーナメント出場選手



 俺はさらに【持ち物】から取り出したものを闘技場の外へばらまく。


「【シードウィップ】」

 可愛い可愛い種ちゃんのお出ましだ。木の種類は悩んだが、オークとバルサにした。

 バルサは世界一柔らかい木だ。まあ木材としてだけど。軽い木とも言われてる。ちなみに日本で一番軽い木は桐だ。桐のタンスは、災害で濡れても、流されても中の着物が無事だったと言われてる。花嫁道具の1つになった理由はそこら辺もあったとかなかったとか。


「【ブランチウィップ】」

 木魔法は再詠唱までほとんど時間がいらない。それがいい!


「【グローイングアップ】! いけっ! 木ちゃん! 体当たりだ」


 動きが鈍く、スキルの出ない集団に対して、可愛いオークちゃんがいつもの倒れ込むビターンをかます。

 選手たちから声にならない叫びが漏れた。


「【薄氷(うすらい)】」

 今日の俺のお仕事終わり。ソーダはパーティーチャットで漏れた選手への攻撃指示をしている。


 あとは定期的に【薄氷(うすらい)】をかけ、相手のスキルをなるべく発動させずに蹂躙していくだけである。


「【一身集中】」


 ちなみに俺は魔力回復ポーションがぶ飲みだ。このポーションもファマルソアンから供給された。必要経費だそうだ。

 いやぁ、スポンサーは金があるところに限りますね。


 俺とミールリアさんはソーダの後ろに隠れつつ、応戦する。


「徒党を組むなんてずるい!」

 誰かの言葉にソーダがせせら笑う。


「組んだらダメって言われなかったというかむしろ推奨だったが? 現地の皆さんとお話ちゃんとしたー??」


 来訪者の剣士がぐぬぬと唸って地べたに這いつくばる。


 そんな中、気付いておりましたとも。ええ……これはイベントの一環なのかな?

「か弱き獣たちの敵よ! 正々堂々と戦うのじゃー!」


 だから、のじゃはもう柚子で十分なんですよ。属性かぶりは抹殺せねば……。

 ハインリッヒぽよ坊ちゃんの登場です。


 弓と【なぎ払い】とで沈まないってことは、多分俺と対決しなけりゃならないやつかなぁ。ヘイト一番買ってたね!


 実は第2試合でも、こういったNPCとのイベントクエスト的な様相の相手はいたのだ。その人は斥候系で、相手の騎士っぽい人と一騎打ちになっていた。因縁の相手以外の攻撃が効いていなかったのだ。


「こんにちはハインリッヒぼっちゃん。【氷刀】」

 ちゃんと一騎打ちっぽくしてあげる。負ける気はしないしね。


「そなたを負かして謝罪させるのじゃ」

「じゃあ、俺に負けたらもう諦めてくださいね。ミュスは害獣ですっ!!!」


 そこは譲らねえぜ!


「【ひと突き】じゃ!」

「【突き刺し】」


 俺は避ける。俺のスキルも……逃げられた。うーん、明らかにこっちが上なんだけど、イベント効果か。


「バルサちゃーん!!」


 【グローイングアップ】で育てたバルサの木。

 その柔軟性は世界一ィィィ!!


 ぐにゃりと伸びてきた枝がハインリッヒ君をすくい上げる。


「な、何やつ!? なんだこれはっ!?」


 そのままぽーーーいってね。場外へ投げ捨てた。

 そう、うちの木、みんな枝で絡め取るの好きなんだよね~。倒れ込む攻撃もすごいけど、巻き付かれると何もできなくなる。


 領主のご子息でらっしゃいますので、突き刺すとさすがに外聞が悪いというか、俺、第6都市入れるの? ってなるから、この作戦を選びました。


 地べたに這いつくばったのはハインリッヒ君でした。


「こ、この、卑怯者っ!!」


 そんなこと言われてもね。


 いつの間にか来訪者、NPC、みんな闘技場から消え失せていた。残りは俺たち6人。


『それじゃ、トーナメント頑張ってください。パーティーチャットで支援は続けますね』

『ありがとう。こんなに楽な戦いは初めてだったよ』


 【薄氷(うすらい)】は本当に便利だ。ローランド卿に感謝である。


 俺とソーダは闘技場の端に向かうとそのままぴょいっと地面に降り立つ。


「勝者! レラントラン、グウェン、フィンルアン、‡愛の戦士‡!」


 はい?


 左手にはソーダ。

 そしてなぜか右手にミールリア。魔女子さん??


「ふふふ、これだけの働きをしたら私も十分アピールできたわ。固定砲台気味だから、私より貴方の方がトーナメントを勝ち進める可能性が高いもの」


 俺より早く地面に降り立っていた、だと……。


柚子:

せっちゃんも出場じゃー!


八海山:

2人も出場なんて、すごいな。


半蔵門線:

ソーダ殿、とっとと出場者把握して作戦立てるでござるよ。




 第5試合も順調に終わって、トーナメントの出場選手が決定した。総勢20名、見知った顔も大変多いトーナメント表だ。

 俺は【薄氷(うすらい)】が評価されたのかシードだった。

 1~16までの選手は5回勝たないと優勝できないのに、俺すでに2回分得してる。


 ソーダはトーナメント表とにらめっこ中らしく、クランチャットには現れない。俺の初手の相手は……なんとダインであった。


セツナ:

無理ぃ~


ソーダ:

まあ、無理だろうな。死力を尽くせ。


セツナ:

ちょ、それだけ!?


ソーダ:

ダインは脳筋系だから、喰らったらアウト。以上!


半蔵門線:

一対一だから、【隠密歩行】もあんまり意味をなさないでござるね。セツナ殿、気合いでござるよ。


案山子:

気合いはッ! すべてを解決するッ!


 勝機とか一緒に誰も考えてくれないぃ……。


 泣きながら選手控え室で自分のスキルを眺めてるナウです。

 魔女子さんよ……策なしだからやめてくれ~。


 ソーダ曰く、1人分考えるの減ったから助かった、だそうです。ヒドイ。



ピロリ:

セツナくん、レベル的にも結構あがってるし、付与がかなり強いから、攻撃力の底上げになってるでしょう? 素早さものすごくあるし、逃げ回ってスキを狙う戦法とか。


八海山:

ダインはそのまあ、まっすぐ突っ込む系だから。当たったら終了はたしかだな。腕力がすごい。スピードはそれほどない。だから、当てるスキルをたくさん持ってるんだよ。


セツナ:

当てるスキルに当たらない方法は!?


八海山:

スキル発動阻止かな……


セツナ:

たぶんもう【薄氷(うすらい)】は効かないかと。あれ、ジャンプして逃げるのが可能なんですよー。



 不意打ち1発屋です。だけど、モンスター相手ならそれでいいのだ。


 ああでもないこうでもないと、戦いの様相を呈するように一生懸命考えた。だって、みんなに見られてるんだよ!? あんまり無様な戦いは嫌だ。勝機見いだすために走り回るのはよしとします。


ブックマーク、評価、いいね、感想、ありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


まあまあ、主人公なんでねw



いつも感想ご指摘ありがとうございます。

助かってま〜す!!

とりま、のじゃは二人いらない!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
主人公補正わぁーい!せっかく主人公なんだから対戦相手をミュスと思ってガンバるのじゃ。 「オレこれに勝ったらアンジェリーナさんに告白するんだ」←死亡フラグw
高らかに読み上げられる出場者名「‡愛の戦士‡」。 他の商社がNPCで普通な名前な分、際立つわー笑
果たしてこれで素直にあきらめるのかねえおぼっちゃま
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ