305.第7都市の代表者たち
1度寝て、起きたら完璧な手配が完了していた。
第7都市の選手枠の中で選りすぐりの4人が俺たちを待っていたのだ。
『プレイヤーにはPvPがある、アランブレの冒険者ギルドで枠が空いていれば申し込みができる、全部枠が埋まっていた場合、その選手候補を引きずり下ろすしかないということは告知しておいた』
『あ、あとあと、名前の登録だけど、あのときはもう言われるがままだったし『ピロリ』で登録したのよ。で、確認したらほら、『偽名』の方で登録できるらしいわ。私はピロリそのままでやったけど、ソーダとかは隠しで登録しておいたら?』
『あー、それならバレないやつか。期間までの間に、俺も襲われるかもしれないし?』
ソーダは出場が決まっている。
『セツナ殿の偽名は全割れしてるでござるがね』
『えっ!?』
『ミュス王倒したのばれてんだよwww』
あ……。
(アンジェリーナさんの)‡愛の戦士‡がばれているのか……。
『セツナがでるならピロリが第2都市で出場することになってるのが上手い具合に働くかな。みんな出場できるところに潜り込んでる、みたいな。俺たちのクランからは2人しか出ないように思われるかもしれない』
『しれっと冒険者ギルドで武闘会について聞いてみたけど、出場枠の空いているところと、その都市の代表として出ることになることは教えてくれた。最初は72人の乱闘になってその後トーナメント。トーナメントはくじ引きで同じ都市の選手と当たる可能性も大いにある、だってさ』
『協力できるとわかる可能性は低いってことだな。今日の夜中、ゲーム時間内朝の6時からプレイヤーも入ってくるから、そこからはスレもチェックしよう』
『拙者たちがわりと事前情報をきちんと流してる風にするでござるね』
『獣人たちの話も流したし、そちらに当たるよう動くプレイヤーもいるじゃろうね!』
『ついでにエルフとドワーフの情報も流しておいたよッ! 全然見つからないってのも一緒にッ! エルフドワーフアバターはそっちのクエスト一生懸命になるかもしれないッ』
『あーじゃあ俺が持ってるのは、第6都市エリアでミュス狩りしていたらそこの領主の息子に絡まれた。末っ子のポヨがミュスに似た愛玩動物可愛がってて、ミュス狩ったら怒られて剣抜かれたところに、兄ちゃんがやってきて怒られてた』
『また変なのにぶちあたってるなぁ』
『にいちゃんがサディアスさんというお名前で、結構イケメンだったよ』
『ヴァージルと比べたら?』
『光ってはない』
『じゃあ弱いわね~』
あのレベルはヤバいって。しかも金髪碧眼キャラかぶりしてる。
『そろそろ黒髪ロングイケメンとか、銀髪ロングイケメンとか供給が欲しいわね』
『銀髪ロングイケメンは……難しいんじゃないか?』
有名な人いるし。
「それではご紹介しますね、第7都市を中心として活動していらっしゃるレラントランさん、ミールリアさん、グウェンさん、フィンルアンさんです』
剣士男性エルフ、杖を持っているので魔法使い女性エルフ、弓矢を背負った男性エルフ、大剣を構えた男性エルフ。
「よろしくお願いします。俺はソーダ、タンクです。クランメンバーが順番に、八海山回復役、ピロリは今回は別都市からの出場になりますが、前衛です。半蔵門線斥候、セツナ斥候、案山子と柚子は魔法使いになります。魔法使い2人は打たれ弱いので今回は出場はしません。俺以外のもう1人を、半蔵門線、セツナのどちらにしようかスキルを試してみようと思っています」
紹介されて俺たちが頭を下げると、あちらも軽く頷いていた。
「我々は皆さん4人をトーナメント戦に出場させるためにここにいます。利用できそうなスキルなどを検討したいと思ってます」
ソーダの言い分に、事前に聞いていたとは言え半信半疑だったのだろう。
「我々は嬉しい限りだが、本当にいいのかい?」
「武闘会のトーナメント進出は冒険者としてかなり箔が付くことよ? たとえ一回戦敗退だとしても」
そこはNPCとプレイヤーの違いです。
「僕らは別に箔は必要ないので。むしろその都市に根ざして生活している皆さんの方がそういったことは大切だと思いますよ」
なんて耳心地のいいことを言えば、あちらの4人はそれはもうとても感動してソーダの言うことをホイホイ聞いていた。
結果。
「なんでぇー」
俺出場らしい。
「んじゃセツナはセツナか愛の戦士(笑)で申し込んでおけ。俺、偽名で申し込むわ。ピロリはピロリでイェーメール出場よろしく」
「りょうか~い」
『偽名でいけることに気付かせない方がいいのではござらぬか?』
『いやー、すぐ気付くだろ。むしろフレチャとスレで出るやつ把握しようぜ』
『トップランカーの偽名もほぼ把握しているし平気じゃないか? ソーダは誰にも言っていないし、むしろ俺すら知らない』
『八海山そういうの聞き出すの上手いよな。でもさー、ソロ向き種目だからソロランカーが入りそうなんだよなあ』
『ソロはとことんソロの人もいるからな。ただ、俺は辻ヒールしがちだから、上手いソロとは結構繋がってる。有名クランにも回復役として入りに行くのはこういったときのためだ。わからないのは蒼炎くらいだな』
『人たらしわんこ殿ぉ-!』
『MMOで人に親切にして損はない』
本音がっ!!
「ファマルソアンさん、たぶん来訪者はなんとしても出場しようと躍起になります。来訪者のスキルって結構お互い知ってたりするんですよ。事前に誰が出場するかって情報手に入ります?」
「情報ですか……まあ、入らなくはないですけど、金が掛かりますね……その来訪者の情報はどのくらいの精度ですか?」
「八海山どうだ?」
「言ったとおり、トップランカーたちならだいたいわかる。情報分析が趣味なもので」
こわーい。わんこ怖い!
「新しいスキルを手に入れたりしていたらそれはわからないが、だいたいのステータスと傾向は把握している」
「ただ……第7都市が、私が動くと問題が多いんですよね。金は出しますからそこら辺はご自分たちで探っていただけると助かりますね」
そう断られてしまった。
「情報、欲しいよね」
俺がこぼすと、ソーダがそりゃあそうだろうと言った。
そりゃあそうだろうなぁ。
「ファマルソアンさん、お金ください」
「おや、セツナさん、心当たりが?」
「ありますね……」
『おいいいいいいいいいいいいいいい!! お前かああ!!』
『せっちゃんと、私なのじゃ★』
『ちょ、お前らぁああ』
『多分普通に行っても相手してもらえないから、そのちらほら見つかってる情報ギルド関係頑張って』
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